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NOSIGNER代表・太刀川英輔さんに聞く、「共創を促す"関係性"のデザイン」【後編】

こんにちは。カンバセーションズ原田です。
今日は、カンバセーションズにもインタビュアーとして参加してくれたことがあるNOSIGNER・太刀川英輔さんへのインタビュー後編をお届けします。

前回は、共創が生まれる場やコミュニティの条件について、太刀川さんが関わっている「コクリ!プロジェクト」を例に挙げてお話し頂きましたが、
今回は、イノベーターをサポートしていくプラットフォームという観点で、先日NOSIGNERがフェリシモとともに立ち上げたプロジェクト「RELAY」のお話から伺っていきます。

太刀川:RELAYは、幸せの経営を掲げる代表の矢崎和彦さんのもと、ソーシャルな事業体をつくりながら一部上場を果たしているフェリシモと僕らNOSIGNERが共同で行っている活動兼組織です。次世代につなげるべきものをしっかりつなげていくこと(リレー)をミッションに掲げ、その視点からサービスを固めて法人化をしようとしています。世の中には、”リレー性”がない大企業の事業や、事業継承ができずに消えてしまう中小企業などが少なくありません。つながってほしいもの同士を時間・空間的につなげていくことで、リレーを実現する事業が生まれていくプラットフォームをつくりたいと考えています。

RELAYは現在、今後の方向性やサービスの内容を模索している段階だそうで、その一環として先日、神戸と横浜でショーシャルイノベーターを招いたイベントなども行なっています。さらに今後は札幌や福岡などでも同様のイベントを予定しているのだとか。

太刀川:イベントでは、矢崎さんと僕がホスト役になり、リレー性がある事業を展開している社会起業家たちをお呼びし、取り組みについてお話し頂くとともに、どんなサポートがあると彼らにとってプラスになるのかということなどをヒアリングしています。
その過程で登壇者たちの課題感が浮き彫りになったり、来場者や僕らが彼らの取り組みを肯定的に受け止めることで場に一体感が生まれるなど、一定の手応えを感じています。
また、地銀の方もお呼びしているので融資の話につながることもあるし、スピーカー同士の新しい関係性が生まれるということも起こり始めています。
カンバセーションズにも近いかもしれませんが、いまは「こういうことが起こったらいいはずだ」という思いで取り組みながら、どうすればこのチームのポテンシャルを最大限に活かせるかということを模索している段階です。

お話を聞きながら、カンバセーションズのインタビュアーとなる人たちが、RELAYのイベントのような場に登壇し、さまざまな分野のプロから逆に質問をされるというのも面白いかもしれない、なんて想像をしてみました。
少し脇道にそれましたが、RELAYでは、ソーシャルな経営を掲げ、企業を成長させてきたフェリシモ矢崎さんと、大企業のコンサルティング、事業創造などに携わってきた太刀川さんの経験やノウハウ、さらに100万人以上の会員を抱えるフェリシモのアセットを最大限活かすことで、企画から実践までを一貫してサポートするスタートアップのアクセラレート及び大企業の持続可能な事業創造を促すプラットフォームの構築を目指しているそうです。

一方、100万人の読者も、大企業のコンサル経験もないカンバセーションズは、いかにしてインタビュアーたちの新プロジェクト実現をサポートしていけるのでしょうか。
そのポイントは、メディアとしてのカンバセーションズの特性や資産を最大限に活かすことだと思っていますが、太刀川さん、いかがでしょうか?

太刀川:RELAYではつながるべきものをつなげることをテーマにしていますが、まさにカンバセーションズにはその力があるし、僕自身、参加できたことをとても感謝しています。
以前にインタビューした東大i.Schoolの堀井秀之先生や、横浜美術館の逢坂
理子さんとはいまも関係が続いていて、事あるごとにご連絡を頂いたりしています。人と人のつながりというのは目には見えないものですが、そこには確実に価値が生まれていますよね。
また、カンバセーションズに登場する人たちは、インタビュアーもインタビュイーも面白い人たちばかりで、それは先ほど話したコクリ!キャンプに近いところがある。それこそ肩書きを外してみんなが繋がれるようなコミュニティを、カンバセーションズがつくっていくというのも面白いと思います。

今年6月に行った、カンバセーションズのリニューアル記念イベントは、インタビュアーそれぞれがゲストを招いて開いた会でしたが、こうした場を継続的に発展させていくことは、カンバセーションズにとっても大きな資産にもなりそうです。

リニューアルによって、カンバセーションズはインタビュアーたちが立てた「問い」をカタチにしていくまで伴走していくメディアへと生まれ変わりましたが、プロセスの段階から発信を続け、共にゴールを目指していくというメディアのあり方やその可能性についてもご意見を伺ってみました。

太刀川:人と人が出会い、そこから何かの形が生まれるまでの間には、ディスカッションやコンセプトメイキングなどのプロセスがあり、この部分はブラックボックス化されているところがあります。
通常のメディアは、プロジェクトがアウトプットされた段階で、それを伝えていくための役割を担うわけですが、そこまでのプロセスが可視化され、アーカイブされることにも大きな意義があると思っています。
同時に、企業などには守秘事項というものがあるので、それらも想定しながら、例えばプロジェクトが動き出してから3ヶ月に1度くらいのスパンで、
プロセスをアーカイブしていくということができると、そこにはニーズが生まれるような気がします。

今後カンバセーションズでは、企業の新規事業や商品開発などの局面にも関わっていけないかと考えているので、非常に参考になるお話です。
最後に、企業や自治体などに対してカンバセーションズが提供できそうな価値についても考えて頂きました。

太刀川:企業がオープンイノベーションで新規事業をつくりたいと考えている時に、社外のリソースとして関わってほしい人たちと接する最初の機会として、インタビューというのはちょうど良いと思うんです。
例えば、カンバセーションズがその間に入り、5~10回ほどインタビューの機会を設けるとともに、そこでインタビューされた5~10人の人たちが集まるクローズドなサロンのような場までつくれると、そこから何かが生まれそうですよね。
オープンイノベーションのための受粉をする役割をカンバセーションズが担い、最初の出会いはもちろん、2、3回目の受粉もしっかりできるようになれば、企業からのニーズも間違いなく出てくるはずです。
さらに、そこから新規プロジェクトが生まれた場合、そのアーカイブもカンバセーションズで行うということも自然な流れになっていくと思います。

企業向けの営業資料、いますぐにでもつくってみようと思えるお話です。
そして、太刀川さんが言う通り、2、3回目の受粉というものが大きなポイントになるような気がします。
太刀川さん、長時間相談事にお付き合い頂き、ありがとうございました。
またカンバセーションズでご一緒できることを楽しみにしています!

太刀川さんのお話から学んだことを、忘備録的にまとめておきます。

1.「共創のプラットフォーム」には、参加者が信頼してつながれる「土壌」が不可欠
2.人と人をつなぐことに、カンバセーションズの大きな価値がある
3.インタビューは、企業のオープンイノベーションの入り口になりうる
4.複数にわたる”受粉”のプロセスが、共創のコミュニティを醸成する

最後までお読み頂き、ありがとうございました!


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