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高年齢者雇用~クオラの今昔~

あけましておめでとうございます。経営企画室 亀崎です。

これまでの『外国人採用シリーズ』の記事を通じて、クオラが多様な人材を活かしたダイバーシティ経営に力を入れていることが伝わっているのではないかと思っています。

「多様な人材」とは、性別、年齢、人種や国籍、障がいの有無、性的指向、宗教・信条、価値観などの多様性だけでなく、キャリアや経験、働き方などの多様性も含みます。

多様な人材の中でも「年齢」の多様性が近年注目されています。皆さんもニュース等でよく「定年廃止」とか「年金受給年齢の引き上げ」などを耳にすることがあると思います。

令和3年4月1日より、改正高年齢者雇用安定法が施行され、定年年齢を65歳以上70歳未満に定めている事業主又は継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く。)を導入している事業主は、70歳までの就業機会の確保に努めるようにと国からの方針が打ち出されました。

少子高齢化が問題となっている現在、国として定年関係なくいつまでも働き続けていくことが求められるようになってきています。

ということで今回は、クオラの『高年齢者雇用』についてお伝えしていこうと思います。

現状について

法律(高年齢者雇用安定法)

現在の高年齢者雇用制度の概要です。

●60歳未満の定年禁止
→事業主が定年を定める場合は、その定年年齢は60歳以上としなければならない

●65歳までの雇用確保措置→定年を65歳未満で定めている事業主は、以下のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じなければならない
 ①65歳までの定年年齢を引き上げ
 ②65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)を導入 
 ③定年制を廃止
※いずれかの措置を会社の制度として導入する義務であり、個々の労働者の雇用義務ではない

これらに先ほども説明した70歳までの就業機会確保措置が努力義務として追加されています。

●70歳までの就業機会確保措置
①70歳までの定年引上げ
②70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
③定年制の廃止
※以下、創業支援等措置(計画を作成、労働者代表の同意を得て導入可)
④70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
 a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
 b.事業主が委託、出資(資本提供)等する団体が行なう社会貢献事業

クオラの制度

●定年:60歳
●雇用確保措置:②65歳までの継続雇用制度を導入

※平成24年度の法改正により、平成25年以降、制度の適用者は原則として「希望者全員」となった。ただし、平成24年度までに労使協定により制度適用対象者の基準を定めていた場合は、その基準を適用できる年齢を令和7年度までに段階的に引き上げること(経過措置)が可能。

クオラはこの経過措置が適用していますので、60歳に達した月の末日をもって定年退職となり、希望される方は翌月から嘱託職員として再雇用される形となります(詳細は就業規則をご確認ください)。

データでみるクオラ


データから分かる特徴としては、
・医療法人の平均年齢は全産業平均や医療、福祉業界と比較すると少し若いが、社会福祉法人は平均を大きく上回っている
・医療、福祉業界は業界内でも勤続年数が特に短い

医療法人に関しては平均年齢が全体または業界を下回っていますが、クオラでは新卒採用だけでなく中途採用も積極的に行なっています。採用にあたり年齢制限がないことは大前提ですが、40代、50代の採用はもちろん、なんと70代の方を採用することもあります。年齢が高い方はパート職員として、ご自身の状態に合わせて勤務時間や仕事内容を調整したうえで働いてもらっています。

また医療、福祉業界は慢性的な人手不足で悩ましい業界であることは皆さんも感じていると思います。そんな医療、福祉業界で事業展開をしているクオラでも、各法人それぞれに驚きべき勤続年数を誇る職員さんが現役で働いております。今回はそんな長年にわたりクオラでご尽力されている職員の中から2名の方にお話しを聞いてみました。

永年勤続職員のプロフィールとインタビュー

【医療法人代表】上野 るり子さん(72歳)

“直前にいい感じの写真が撮れて「オッケーです」に対して「オッケーだった?」”のシーン
できるだけ顔が隠れている写真を希望のためこちらの写真を採用させていただきました。

勤続年数:41年8ヶ月
職種:准看護師
経歴:准看護師として41年間勤務。
   外来の副師長を経て、令和3年9月に勇退。   
   今年の10月に療養病棟の介護職として再雇用。
理事長からの愛称:るりちゃん

令和4年12月時点

ここまで長く働き続けられている理由は何でしょうか?
-目の前の仕事をこなすことで精いっぱいで転職することを考える余裕がなかったっていうのもあるけど、長く勤めているからこそ患者さんから頼ってもらえることも多くて、コミュニケーションをとる中で元気がもらえて、肯定感が生まれてここまで頑張ってこれました。患者さんはじめ、数えきれないほどの医師や職員の人たちとも関わってきて、多くのつながりができたことがクオラで長く勤めてきた財産だと感じます。

辞めたいと思った瞬間はありますか?
-自信がない、努力が足りないなと感じたときです。研修に行かせてもらっても表面上しか学ぶことができず、深める時間も余裕もなくて、それらのプレッシャーから逃げ出したくて辞めたいなって思うことが何度かありました。辞めたいなと思ったときに、ありがたいことに周りの人から引き止めてもらえて、頼られるのはやっぱり嬉しいことだから。それでここまで働き続けられています。

クオラの今と昔での大きな変化を教えてください
-昔は働きながら学校にいけたんですよ。社会人になって最初は事務職で、手に職をと思い始めていたときに、ここが働きながら学校に通えるということを知って魅力に感じて就職することに。午前中は働いて、午後は学校行って勉強して准看護師の資格を取得することができました。町内でそういうことさせてくれる企業が他にもあったかもしれませんけど、当時はクオラが一番良さそうだなと感じましたね。結構の数の人がそんな働き方をしていた気がします。

これからのクオラはどうなっていくと思いますか?
-今すごく時代に沿っているよね。だから、その延長でまだまだ求められていくんじゃないかなって思います。だんだん大きくなっていく間でいろいろ取り入れてきたものが今活かされてきている感じがします。町のみんなも敷地内で完結することをありがたがっていて、今では地域になくてはならない存在になっていますもん。ここまでくるのにたくさんの試行錯誤があって、結果今のクオラになって、今後何か起こってもガーっと崩れていくことはないようでしょうね。崩れそうになってもすぐにフォローできる組織になっているように感じます。ここまで作り上げてきた人たちが偉いよね。私が偉いとかいうのもおかしいけど(笑)

ストレス解消法は?
-前はお酒を飲むことだったりしたかな。今ではあまり飲まないけど。嫌なことがあってお酒を飲んでとかではなくて、“飲み会があった。結果、楽しかった”みたいな感じでストレス発散になっていました。そういえばこの前家の整理していたときに、自己啓発の本がたくさん出てきました。好きだったわけではないんですけど、落ち込んだり自信がなくて悩んだりしたときに、自分を奮い立たせるために読んでいたのかもしれません。

今はほら、すごくいろんな人がいて当たり前ですが、昔は男だからこう、女だからこうみたいな時代があったじゃないですか。そういうのがあって自分で自分を窮屈にしていたんじゃないかなって最近になってすごく感じて、時代の変化がやっと自分にマッチしてきたように感じています。今では嫌なことがあっても、全部はそう思えないけど、人は人、私は私ってほんの少し思えるようになってストレスを感じることも少なくなってきた気がします。

最後に、僕ら若い世代に一言お願いします
-今のままでいいよと伝えたいです。みんなそれぞれ悩んだりすることがあると思うけど、自分を信じて、自己肯定感を持つことが必要だと思います。
あとは、信頼できる人を大事にすること、便利になったからこそ間違った情報が入ってきてしまいやすいからなんでもかんでも流されないように気を付けることも大事ですね。いろいろ言ったけど、なんだかんだで健康であることが一番です(笑)


【社会福祉法人代表】満園 政子さん(75歳)

クオラ内最長の勤続年数を誇る満園さん。松下医院時代は泊まり込みで仕事をしていたため、現理事長とは家族みたいな関係性。幼少期の理事長は満園さんの卵焼きがお気に入りだったそうです。

勤続年数:43年5ヶ月(社会福祉法人での年数)
職種:看護師 
経歴:昭和39年8月に松下医院に就職。
   昭和43年10月に結婚を機に退職するが、
   昭和51年1月に松下病院に再就職。
   昭和54年8月から社福に異動、現在に至る。
理事長からの愛称:まさちゃん

令和4年12月時点

ここまで長く働き続けられている理由は何でしょうか?
-松下医院時代に住み込みで働き始めて、兼一先生(現理事長)の小学生時代からお世話になっています。当時の松下先生は、毎朝卵焼きと赤いウインナーがないと納得がいかない様子でした(笑)そんなこんなで今までお世話になったから、もう働ける間はいつまでも(クオラに)いたいという気持ちがあります。他に仕事に誘われたこともありましたが、私はここでと思い頑張ってきました。

長く働く秘訣があれば教えてください
-元気であることですね。農業をしていて今でもコンバインに乗って稲を刈ることがあるくらい元気です。だからこそ今まで働くことができていると思います。まあ、クオラが嫌だなって思ってたらここまで続いていないでしょうね。

その元気の源は何でしょう?
-温泉ですね。やっぱり体が痛いとか疲れたなと思う時には、温泉に行くのが一番です。自分のお家のお風呂よりも疲れの取れ方が違うんですよ。そして温泉に入るとよく眠れて気持ちがいいです。おすすめは紫尾の温泉です。

働いていて楽しいと感じる瞬間を教えてください
-踊りを習っているもんだから、ちょっと間があって手真似をしてみたもんなら、利用者さんから「わあ、姉ちゃんよかよか!」と喜んでもらえます。その喜ぶ顔を見れるのが一番楽しいです。自分も利用者さんたちに近い年代だからこそ分かることも多いので、そこは親しんでいきたいと思います。
入浴介助も好きなんですけど、やっぱり体がついていかなくなってきて。ありがたいことに私でないと嫌だと言ってくれる利用者さんもいたりはするんですけど、腰が痛くなっちゃって勤務する棟の調整をしてもらったりしました。

クオラの今と昔での大きな変化を教えてください
-以前は、いろいろな交流の場がありました。外部の施設との交流会ではソフトボールや卓球をやったりしてかなり楽しかったです。クオラ内部での交流も盛んだったので、誰がどこの事業所の人なのか分かるくらい顔見知りが多かったです。コロナの影響もあっていろいろな交流の機会が少なくなったことやクオラグループも大きくなって人がたくさん増えたため、今ではもう全然わかりません(笑)

最後に、僕ら若い世代に一言お願いします
-これからまだまだ働かないといけないから健康が第一。それとやはり笑顔が大事です。ここはサービス業だから笑顔で人を迎えてもらえたらなと思います。マスクで顔が見えにくいですけど、笑っているとか怒っているとかはしっかり分かるので、利用者さんや患者さんにも伝わると思います。ですので、笑顔を忘れないように!


お二人のように長年働き続けていただいている職員や高年齢者雇用に対してクオラが取り組んでいることが主に3つ挙げられます。

高年齢者雇用に対するクオラの取り組み

・定年を迎える職員との個別面談の実施
・永年勤続表彰制度
・地域とのつながりを活かした採用活動(高齢者インターンシップ、オレンジカフェからのつながり)

定年を迎える職員の方とは、事務部から定年を迎えるにあたり個別で定年後の働き方等についての説明をさせてもらっています。また、永年勤続表彰制度に関しては過去に記事にしていますのでそちらをご覧ください。

今回の取材を通して、仕事もですが人生の先輩として、ありがたいアドバイスをいただくことができました。私自身も本を読んで自己啓発することもありますし、家族湯にもよく行きます。これからも元気に働いていくために適度なストレス解消と健康に気を付けて頑張っていこうと思います。

取材にご協力いただきました上野さん、満園さんありがとうございました!

次回以降、高年齢者雇用第2弾としてクオラの取り組みの一つである『地域とのつながりを活かした採用活動』についてお伝えできればと思います。

以上、高年齢者雇用~クオラの今昔~でした。

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