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経営者がブランディングとして露出するのは、有効か?

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Voicy No.0075 2021年11月16日放送
「経営者がブランディングとして露出するのは、有効か?」

社長が有名な会社はすごい会社なのか?

これを話そうと思ったきっかけは、
kinaさんという方から頂いた質問です。

コメントは、結構前のコテツラジオ
「ブランディングとマーケティング、
集客の違いについて」

という放送をお聴きいただいたものです。

中身はブランディング、マーケティング、集客
ビジネスに関する
基礎的なことをしゃべっているので、

過去の放送をさかのぼって、
売れたい人、ビジネスをやっている人には
ぜひとも聞いてほしい放送回です。

『会社経営をしていて、マーケティングで集客しています。
組織化、仕組み化し拡大していく話と
個人にブランドを付ける両立ができるのか
わからなかったので質問させていただきます。
代表者ブランディングをすると、
組織で仕事がやりづらくなるように思います。
個人ブランディングと組織・会社ブランディングは
両立しますでしょうか。
もしくは最初からスケールするもの、しないもので
個人か組織ブランディングか選んだほうがいいでしょうか。
両立が可能な場合、進め方の概要だけでも
ご教示いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします』

この方は結構工夫してやっていらっしゃる感じが、
質問からも見て取れます。
がんばっていらっしゃるんだなと思っています。
頑張っているから出てくる濃い悩みだなという解釈です。

経営者・社長・代表者・個人の
ブランディングをやるのが有効かどうかは、
事業の内容、ビジネスの内容によって変わってきます。
いくつか分けて説明をしましょう。


インフルエンサー型ビジネスモデル

インフルエンサー型ビジネスモデルが
今すごく増えています。

インフルエンサー型ビジネスモデルは
個人事業主がよくやりがちですが、
「やりがち」という言い方は、
それしか知らなくて皆さんそれをやってしまうから。

別にそれをやらなくていいと思いますが、
個人でビジネスを始めると、
なぜみんなインフルエンサーを目指すのでしょう。

自分が有名になったら
商品が売れると思い込んでいるのでしょうか。

ビジネスのやり方は、
それしかないわけではありません。

ここは本題からずれてしまいますが、
フリーで独立して仕事をすると、
ビジネスモデル、事業モデル自体に価値付けをして
そちらにブランドを付けるか、

会社が小さい場合は
経営者がインフルエンス能力を高めて
結果として物が売れるようにするか。

この2つのやり方に関しては、どっちがいい、悪い
どっちが上か下か言い切れないのです。

ですから、独立したばかりとか起業したばかりで、
経営者がどんどん露出したほうが有効かというのは、

別に経営者が露出しなくても
ビジネスモデルと
事業自体のブランドが確立されていけば
成立するわけです。

20万、30万ダウンロードして、
アプリとして
ブランドになっている会社の社長の名前なんて
顔も知りません。

例えば、バルミューダとかバルクオムは
最近、経営者の顔が出てきていますが、
経営者の顔を知っていても
知らなくても買いますよね。

バルミューダは新進気鋭の家電ブランドで
バルクオムはメンズ化粧品ブランドです。

これらは結局、商品カテゴリー自体とか
ビジネスモデルのブランド化が
うまくいっているケース。

ですから、経営者が露出して有名になったほうが
ビジネスにとって有利かというと、
そうとも言えないと思います。

では、なぜ会社立ち上げ当初、経営者が露出して、
「自分の露出=ビジネスの成功」と
思い込むのでしょうか。

経営者になるような人は
自己顕示欲があふれている人が多く
人から称賛される喜びから離れられなくて、
とにかく出たがる人が多いと見ています。

それがビジネスの成功よりも
上の目標になっている人は、

自分が有名になれば
自分がやっている商売やサービスが売れなくても
心の底ではいいかなと思っているのかもしれません。

そうすると事業をやっているのではなくて
ただのインフルエンサーを目指していることになる。
それなら勝手に
インフルエンサーを目指せばいいと思うんです。

これをご自身で整理できているかいないかが、
1つのポイントです。


事業モデルのブランド化

フリーで始めたビジネスとか起業したばかりのときに
事業モデルを磨いて、
それをブランド化していくほうが
収益の拡大は早かったりします。

個人のインフルエンサーで
100億、500億、1000億は目指せないけれども、

事業モデルや製品カテゴリーのブランド化だと
50億、100億、200億、500億、1000億ぐらいは
やれるのではないでしょうか。

それぐらいは軽く目指せると思いますが、
個人のインフルエンサービジネスは
俺の言い方だとスケールが小さいので
優秀な人が会社に来なかったりするのです。

これは話が本題からズレてしまいますが、

起業当初に経営者が露出して有名になることを
個人のブランディングを中心とするか、
製品カテゴリーとか事業自体のブランディングを
中心とするかに関しては、

ただ自分の自己顕示欲とか目立ちたがり欲で
出たいと自覚しているのであればやってもいい。

けれども、
代表者のブランドが上がったからといって、
はっきり言って製品は買われません。

事業がうまくいっているか
うまくいっていないかと、
まあまあな規模になってきて
経営者が有名かどうかは全く別の話です。

例えばキーエンスは給料がめちゃ高くて
数千万円もらっている社員がごろごろいますが、
キーエンスの社長の顔と名前も知りません。

とらやの社長の顔と名前をわかりますか。

自分は「とらや」の18代目とは
仲良くさせてもらっていますが、
優良企業で小林製薬の社長の顔と名前は
全然わからないですよね。

もう少し小さいブランドとか事業でも、
100億、200億でも経営者が個人として露出せずに
売れていて好調な会社はいっぱいあります。

でも、
俺の言っている本当のブランディングとは違って、
多くの方の言っているブランディングは
ただ露出することを言う人が多いので、

あえてそっちの間違った解釈に合わせて言うと
経営者がいくら露出しても消費者は買わないです。

青汁王子を知っていても、
青汁王子から青汁を買った経験がある方は
どれぐらいいるのか。

まこなり社長のサービスは、どうなんでしょうか。

ということで、
事業を大きくすることにおいて、
あまり社長の顔と関係がないといえます。

kinaさんの質問に戻らせてもらいます。

質問の出だしに
「会社経営をしていて
マーケティングで集客をしています。
組織化・仕組み化し拡大していく話」
となっているなら、

完全にマーケティングして、
新規のお客様に来ていただいたら
ファン化していくというブランディングを
しっかり始めたほうがいい。

ブランドづくり、ファンづくりをやる段階で、
個人のブランドをつけるのはどっちでもいい。

では、個人のブランドを代表者、社長が
ブランディングしたほうがいいケースについて、
この後のチャプターでお話しします。


社長が露出してやることとは?

代表者・創業者・社長がブランディングしたほうが
有効なケースがあります。

それはまさに俺がヨーロッパで触れてきた
高級ブランドのビジネスが全部そうです。

創業者・創業家のやっていること、
やろうとしていることが
志とか生き様がそのままブランドに乗っていて、
そのブランドでやっている事業や製品が
全部その生き様とマッチしているときは、

ヒューマンブランディング、
創業者ブランディングがとても有効です。

シャネルが、
ココ・シャネルが
女性の解放をブランドの中心に据えて、
いまだにシャネルスーツを大事に売っているのは、

創業者のヒューマンブランディングが
ブランド自体の魂と一致していて
製品にまでつながっているから。

だから
シャネルはどんなに「売れるよ」と言われても
メンズをやらないのです。

それはシャネルが
「女性がもっと
開放された生き方をしたほうがいい」という
ココ・シャネルの遺志の下やっているブランドだから。

カール・ラガーフェルドという伝説のデザイナーが
近年亡くなりました。

その人がお気に入りのメンズのデザイナーがいます。
エディ・スリマンという人で、
ディオールオムとかサンローランとか、
今セリーヌをやっている人です。

メンズで、
めちゃくちゃタイトでセクシーな洋服をつくる
その人をスカウトして、シャネル・オムをやるとか、
やらないとか何度もうわさが出たけれども、
結果的にやりませんでした。

それはココ・シャネルを考えたときに
ブランドと商品が一致しないからです。

ですからkinaさんのご質問で
個人のブランディングをもしやるのであれば、

kinaさんのやろうとしている生き様が
今会社で扱っている商品と
完全一致しているのであればやったほうがいいです。

完全一致とは、どういうことでしょうか。

自分がフランスとかでよく触れてきたブランドでは
創業家が「ひいおじいちゃんとか、もう一代前から
同じことをずっとやっています」みたいなことが、
ヨーロッパブランドは中心にあるのです。

ですから代表者のブランディングが
そのまま商品のこだわりと一致すれば多分意味がある。

ただ、日本人は
単純にインフルエンサービジネスしか
ビジネスのやり方がわからないか、
出たがりの社長が出ているだけですよね。

優良企業やすごい経営者は、
実際はメディアに全然出てきません。

自分が今リブランディングをかけている企業で
100億ぐらいで歴史が40年の会社があって、
製品自体がとても売れています。

ある看板商品があって40年にわたって売れていて、

おそらくこのコテツラジオで言ったら
半分ぐらいの人はわかるのでは
という物を扱っているところの
リブランディングをかけているのです。

そこは商品がめちゃくちゃヒットしたので、
あるときからマーケティングをかけて
商品を売ることだけに集中していたのです。

でも、だんだんそのお客様、
ファンの方が高齢化していって、
リブランディングをかけたいということで、
ある方を介して2年前かな、ご相談があった。

行って話を聞いてみたら、
結果的には創業家がまだその会社をやっていて、
創業者の方が人生掛けてあることを成し遂げたものが
その製品に直接つながっていたので、

今は創業家・創業者の名前を
ブランドの頭に持ってきて、
代表者個人のブランディングを中心に
「その思想・スタイルが好きだから
結果的に製品を買う」
というリブランディングをかけています。

でも、これは今売れている看板商品が
創業者の命を賭けたチャレンジのおかげで
生まれたという完全なるストーリーに
つながっているから
代表者をブランディングできるのです。

それだったら、やったほうがいいです。


採用のブランディング

『両立が可能な場合、その方の概要だけでも
ご教授いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします』というkinaさんの質問は
本当にいい質問で何段階にわたっているのですが、

両立が可能な場合というか、
もしkinaさんが
まあまあ人を雇ってお仕事されている場合、
経営者がやったほうがいいのは
採用のブランディングです。

経営者が出たから製品を買うかというと、
自分が消費者だったら
経営者が好きで買っているものはありますか。

自分は、そこには懐疑的なんだよね。

kinaさんのところが
マーケティングをかけて集客しているなら、
組織とか商品のマーケティング
ブランディングをかけつつ、

経営者が個人ブランディングで出てくるのであれば、
会社自体を働く人を集めるためのブランディングとして
機能すると特化したほうがいい。

消費者向けで、
トップ営業が売れることはなかなかありません。
BtoBなら
経営者が全部法人の話をまとめたほうが早いのです。

そういうところでしょうか。

頂いた質問とかコメントに関しては
いつも目を通させていただいて
非常にうれしく思っています。

以上、久々野智小哲津でした。

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このコラムは、コテツが
Voicyの「ブランディングと商売の話」で語った
内容を文章化し加筆したものです。
Voicyアプリをダウンロードして『コテツ』で検索、
無料で聴けます。

今日の内容はこちらでお聴きください。https://voicy.jp/channel/2089/234737

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