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「手っ取り早く儲かる」と「ブランディング」のバランス。

Voicy「コテツのブランディングと商売の話」コラム
読めばブランディングができて商売が上手くなる

このコラムは、コテツがVoicyのブランディングと商売の話で語った内容を文章化し加筆したものです。
Voicyアプリをダウンロードして『コテツ』で検索、無料で聴けます。
Voicyもお聴きください。

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Voicy No.0044 2021年9月24日収録
手っ取り早く儲かる。とブランディングのバランス。


ブランディングは時間がかかる

「ブランディングはブランドづくり。ブランドづくりはファンづくり」ということで、コテツのブランド論とクライアントさんとの接点をやっていますが、そうすると「時間がかかります」みたいなことを言われます。時間がかかりますどころかブランドは終わりなき活動なので、「ファンとの関係づくりを100年やってください」という話だよね。

実際きっちりやっていけば、そんなに時間がかからないことも多いです。けれども、大本のブランドの在り方、ブランドコンセプト、ポジションが定まっていない企業さんや人の場合は、そこに時間がかかることがほとんどです。

ブランドコンセプト・ブランドコア・ブランドのポジショニングができれば、そこからはそんなに時間がかからずに、ファンの方がどんどん増えていく流れはつくれます。けれども、ファンづくりとかブランドづくりで、大本の整理とか構築に時間がかかる。これがなぜかというのはほかの放送で話しているし、これからも掘り下げてお話しするとします。

俺がなぜ「経営者で」と自己紹介するかというと、実務家でたたき上げだからです。日々お客様やファンの方に認めていただいて、お金をお支払いいただくというのを自分のビジネスでも毎日やっているし、クライアントさんのお仕事でも一緒にやっているから、「そんな悠長なことを言っていられないよ」というのは、俺もすごくよくわかる。会社を常に立ち上げているような状態なので、やはり事業を回していかなければいけないと思っています。

まず、ブランドになっていくための事業戦略は2層構造です。

1つはマーケティングで新規を獲得するという戦略。
もう一つがファンの方と丁寧に関係をつくっていく戦略。

この2つを同時にやっていく必要があります。

ただ、ビジネスをやり始めたときは食えないから、売れていなかったりすると、とにかく新規新規、集客集客で、手っ取り早く効率良く、魔法みたいに新規が取れる方法に集中しているので、新規のお客様が購入してくれたり知ってくれてもファンづくりを丁寧にやらないので新規のお客様が常にザルから逃げていく。これではずっと悪循環ですよね。だから新規を取るしかありません。

ですから新規で集客策をやって、ビジネスとかご自身のブランド自体に触れた方にファンになっていだくために、丁寧な活動とコミュニケーションを同時にするというのがポイントです。

俺は最近「興味のフックと愛される理由」と言っていますが、何かで興味を持ってもらわないといけないので、それはもちろんつくる必要があります。これがマーケティングや集客に当たるところです。

興味を持ってもらっていっぱい接点があっても、その人を愛する理由がなければ続けられません。だから愛される理由をつくって、それを伝え続けたりイベントをやったりコミュニケーションに取り込んでいったりするのが、ブランドづくりです。

「興味のフックと愛される理由」は、ブランドをつくる上でも両方必要です。

手っ取り早く儲かる話を求めている方は多いし、その気持ちはわかります。商売をやっていて、最初からそんな崇高な理念でやっているわけはないだろうから、手っ取り早く儲かることならやるのは当然だと思うし、構わないと思う。

でも、ブランドと自分の在り方と手っ取り早く儲かるが、一致しない場合があるよね。自分のやっていることが自分のクリエーティブとか自分の思想とかに基づいているけれども、とにかく手っ取り早く儲かることをやって、キャッシュフローを回さなきゃいけないような現実問題がある。

そのときに、すぐ売れるものをやるのはアリです。
アリというか、やらないと死んでしまう。

実際に、自分も会社を経営し始めたときは26だったんだけど、1つめの会社はIT関連の特殊技術の会社でした。とてもニッチな分野だけど、日本で自分のところしかできないぐらいのニッチ分野で日本一になりたかったので、それをやり始めたんだけど、当初は技術が足りないのです。

だから同じIT分野の日銭を稼ぐビジネスをもう1個やっていました。IT関連のライトめの商材、すぐ話が決まるものを売ってお金を稼ぎながら、会社の中心事業である特殊技術の技術を高めていく活動を、当初の2年ぐらい時間をかけたかな。

手っ取り早く儲かることをやりながら、ブランドの在り方を着実に磨いていき伝えていく活動をするというのを分けてやるのはアリなのよ。

気を付けないといけないことがあります。そのときにメインのブランド名と同じサービス名で金稼ぎビジネスをやってしまうのは、よくないんだよね。

はやりものに手を出すなとも思わない。もっと言うと、ブランドなんか全然つくらずに、自分の在り方とかでファンなんかつくらずに、常にそのとき一番儲かるビジネスをやりますという事業のやり方も当然アリです。そういうやり方をしていくのであれば、それを割り切ってやったほうがいい。そうしたら、ブランドづくりなんて、やらなくていいのだから。

フランチャイズというビジネスのやり方があって、メガフランチャイズという、フランチャイズをいっぱいやっている会社があります。優良フランチャイズビジネスと言われているものにはケンタッキーとかタリーズがあって、ある会社は5ブランドぐらいやっている。さまざまな売れるビジネスシステムにお金を払って買って、そこはフランチャイズだけで30店舗ぐらいやっていました。ちょっと内訳は忘れちゃったんですが。

そこは社長さんに思い入れがないんですよね。それがいいとか悪いとか、別にいいじゃないですか。ちゃんとフランチャイズの仕組みにのっとって、お客様に認めていただく範囲内でやり取りが成立していれば。

その方は、次に売れるFCビジネスはないかなというので、いろんな説明会に行って、次はブタカツだなとか串揚げだなとか、24時間フィットネスだなとか見ていました。だから、別にケンタッキーに入れ込んでいるわけでもなければ、タリーズコーヒーを心から愛しているわけでない中で何でもやる。教育で塾でもやる。こういう人は結構、日本では多いです。

そういう場合、その会社自体をブランドとしてつくっていくことはできません。儲かって、今の時代に合っていればやりますということなので。でも、それが1つのビジネスとしてのやり方です。このビジネスを自分は下に見るどころか、潔いなと思っています。

この数年間、ブランディングとかブランドという言葉が一人歩きしている関係で、全員がブランドビジネスをやらなければいけないのかと思っていることもあるけれど、そんなことはないですよね。タピオカ屋を1年で投資回し、2年で利益を出して、3年で閉めるみたいなのを戦略的にやるのであれば、それは別にいい。それをやった人が、ブランドになるかどうかは別として。

ちょっと話が混ざってしまいました。

ブランドづくりをやりながら、ファンづくりを丁寧にやっていく中で、手間と時間が必要なことは結構あるので、手っ取り早く儲かるという事業をもうひとつ持っておいて、決してそれをブランド名と同じ名前じゃない形で展開するというのは、1つのやり方としてアリだなというところです。

フランチャイズたくさんやる作戦

補足しておきたいことがあります。ジョルジオ・アルマーニに対するエンポリオ・アルマーニみたいな感じで、ちょっと価格を下げて普及価格帯でやるようなやり方は、いっとき結構多かったんです。

SONYはアイワというブランドを持っていました。結構前ですけど、SONYの技術で特別な技術でお金がかかるものを入れていると高くなるから、それを普及価格帯にして、アイワという別ブランド化というか、兄弟ブランドのようにしました。

ただ、これを手っ取り早く稼ぐかたちでサブブランドのほうでやってしまうと本体のブランドに傷が付くので、同じ名前では絶対にやらないほうがいい。

これは自分がちょっと関わっているブランドでも実際現在進行形で起きていて、ブランドを特定しない範囲で説明するのが難しいな。結構この分野では日本一のブランドではないかと言われているブランドが、そこのブランドのメインのものは自前でつくっているけれど、いろいろなところとコラボしていく中で、OEMで、同じブランド名で、ライトめの価格のものを出した。

そうすると当然、自前でつくっているものに比べて、OEMというのは外に任せて生産をやっているから、やったもののクオリティーがあまり良くないのです。それが同じブランド名でマーケットに出ても、消費者の方やお客様がわからないじゃないですか。

よく見たらわかりますが多くの人はわからないから、自前でつくっているクオリティーが高いものと同じブランド名がついた安めの商品が出てきたら、意外とそのクオリティーが良くないとなって、ブランド自体の在り方にファンの人が疑問を持ったことがあったので、完全に分けたほうがいいです。

ですから、自分でブランドづくりをしっかりやりながら、手っ取り早く儲かる方法で乗り切らなければいけないのであれば、数年腹を決めて同時進行でやる。

手っ取り早く儲かるだけに時間を使ってしまって、ブランドづくりやブランドの在り方、メインのブランドのことを考えていなければ、ファンの人にはそれが伝わってしまって、いつまでたってもブランドが立ち上がらずに、手っ取り早く儲かることを繰り返しやるしかなくなってしまう。

逆に、手っ取り早く儲かる話であれば何でもやっていくのだ。ブランドづくりなんかやらない、本来やりたい活動やブランドづくりなんてやらないならいいけれど、本来やりたい活動やブランドづくりがあるならば、それは着々と時間をつくって、ちょっとずつでもお金を回して、ファンの方に認めていただいて、ファンと関係構築するようなことをやりながら、手っ取り早く儲かるほうでお金を稼ぐのは大事です。

今の時代「あるある」ですけど、起業しようと思って今、会社で働いている方がいますよね。これは女性の方に向いているやり方ですが、17LIVEとかSHOWROOMとか、最近はVTuberライブ配信もあって、表面がアニメで声だけしゃべってギフティングをもらって稼いでいる。会社勤めをしながら夜家に帰ってきたら、LIVE配信で、ギフティングでお金を集めて起業資金をためるみたいな。これもそのやり方だと思います。

VTuberのライバーになれば顔も出ないので。声だけでも特定されるだろうと言われたらそれはそれだけど、そうしたら自分のブランドにそういう印象がつかないから、普段は会社で頑張って、起業したいんだとか、自分のビジネスをこうありたいという話を、化粧とかもしながらメインでやりながら、お金を手っ取り早くVTubeライバーとかで稼いで、お金をためて、起業とか自分のブランドの本業にお金を回していくみたいなやり方は当然ありです。

決してVTubeライバーでギフティングをもらうことがいい悪いと言いたいわけじゃないですよ。自分のブランドとフィットしていなければ、「何を大事にしているんですか」と言われてしまいます。

ですから、ブランディングの手を休めずに「手っ取り早く儲かる」でつないで、早くいいブランドになって、ファンをつくっていきましょう。

以上、久々野智小哲津でした。


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