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個人のブランディング 『なりたい自分』とかなくていい。

Voicy No.0217 2022年9月19日放送 
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理想のライフスタイルを考えるとき、現時点で打ち出すことは意外と難しいもの。いろいろな人生の組み方があると知ることが先です。理想がわからない人にヒアリングして新しい解決策を提示するのも、その道のプロの大切な仕事なのです。


理想の〇〇はありますか。


前回、セルフブランディング(個人のブランディング)に関して、過去の自分から無理やりこれからの自分の中心軸をつくるようなことをしなくていいという話をしました。

もう一つ、個人のブランディングを考えたときに「理想の自分はありますか」とヒアリングするように、何でも「理想の〇〇はありますか」と聞こうとすることが、めちゃくちゃ多いと感じているわけ。

結論から言うと、そんなものは別になくてもいい。

理想があろうがなかろうが今の時点ではどっちでもいいと考えて、プロデュースやブランディングのアドバイスをしています。


あなたの理想の住宅は。


異なるようで全く同じエピソードをお話しします。

ある県でトップの最も価格が高い注文住宅をつくっている会社のブランディングをやって、一区切りついたので3年半でいったんおしまいにしたことがありました。

注文住宅をゼロからつくるので価格も高かった。

その企業と商品のブランディングをして、どうやってお客様と接客商談しているか見ていると、理想の家はとか、理想の生活はとか聞いているのです。

いや、聞くんだなと思って。

住宅業界に限らず、仕事でヒアリングする人はみんな聞きます。

オーダー家具をつくっているところな「理想の家具は」「理想の棚は」、オーダースーツの会社なら「理想のスーツは」、オーダーで指輪をつくるところは「理想の指輪」とかなります。

オレには正直、理想はなくて、理想の生活って何?という感じです。
理想はこれからつくっていくものです。

3年半商談やイベントの現場をずっと見ていると、お客様も大人なので、「理想はないです」とか「雑誌やWebを見ているけれど全然固まっていないです」とは言わず、一応言ってくれるわけ。

「天井は高く」
「家族の声が聞こえるようにリビングは広くて」
「みんなの動線が」といったようにね。


理想を引き出すのがプロの仕事だ。


元々オレは建築が好きで、アマチュアとしては建築に関して結構勉強をして、いろいろな建物を見に行ったりしています。

住宅メーカーのブランディングをするには、3年半やっている中で住宅のことがいろいろわかってきますが、結局プロから提示したほうが早いこと、しっくり来ることがある。

「吹き抜けが」「天井は高く天窓で」とか言いますが、聞けば聞くほど冷暖房効率が悪かったりして、吹き抜けで天井が高いところは掃除しにくかったりします。

プロの建築家でも意見が分かれるところですが、「天窓や吹き抜けをつくっても、長く住んだらいいことない」と言う人もいたりするわけ。

そして、それを言うのがプロの仕事だったりします。

なぜお客様に委ねるのでしょうか。
プロとしてのあり方から言えば理想なんてないし、大人が皆かっこつけてしゃべっているだけです。

それか、ものすごく少ない選択肢や参考例を元に、今の時点でそれがいいと思っていることが多いのです。

ありたい自分がないとダメみたいな大人の暗黙のプレッシャーというか、暗黙の前提があると感じていて。

でもオレには、理想の住まいはと聞かれても「ないです」という感じ。

自分の最近の動きを言うので、いったん理想と思えるものを2~3パターン提示してみてよ、でいいのです。


なりたい仕事 プロ野球選手 YouTuber


なぜありたい自分とか、あなたの理想とするライフスタイルをいきなり固めなくていいかというと、ほとんどの人が参考にしているライフスタイルや生き方のカードが少なすぎるから。

それしか知らないから、いったんそれを言っていることが非常に多い。

小学生になりたい仕事を聞いたら、目立つ仕事がなりたい仕事と勘違いしています。今だったらYouTuberとか、昔から日本の男の子だったら定番のプロ野球選手。昔はテレビで見ていたからね。

今はゲーム実況を見ているからプロゲーマー。

それは目立っているからで、子どものときに知り得ない仕事、例えば事業のコンサルティングや死体解剖学者のような仕事は「なりたい仕事」には出てこないでしょう。

ありたい自分を考えるときに、いったんいろいろなライフスタイルや人生の組み方を知ることがまず先です。

そのほうがよっぽど重要です。

今のところ「ない」と思っているか、もっといいものがもしかしてあるかもしれないと思ったら、さまざまなライフスタイルとか、ありたい自分というか、ロールモデルに関してはいったん幅を広げることが先決です。

そこで「こういうふうに自分をバージョンアップ、バージョンチェンジして、未来へのステップアップとしては、こういうものを目指したらいい」と思う順番のほうが、よっぽどしっくりくる。

それなのに、なぜか今の時点で「ありたい自分」を聞かれてしまいます。

1枚か2枚ぐらいしかない、少ないカードを自分の身の回りの人を参考にして、ちょっと目立っている人を参考にして言い始めますが、研究していないでしょう?

「手札がないのだから、今は出せません」でいい。
手札を先に増やしたほうがいいのです。

本当に自分が歩んできた道のりと、自分の周りの人ぐらいしかわかっていないのです。

だからビジネスをやるにしても、X(Twitter)とかインスタを賑わしているビジネスが世の中のビジネスと思っている人がいます。

しかし、日本にはキーエンスとか信越化学工業とかダイキンとか、とても強いビジネスですが、経営者が表に出てこない会社がたくさんあって、オレはそっちを研究しているのね。

「目立っている人=すごい人」ではありません。
「目立っているライフスタイル=自分に合っているライフスタイル」でもありません。

早めに少し資産をつくって、ビジネスする側ではなくて、ビジネスに投資する側になるライフスタイルだってあるわけです。

「それは今勤めているからできません」と言いますが、できます。
バージョンチェンジしていくことは可能です。

ただ、それがわからないから、ありたい自分を無理して主張しなくていいので、本やネットで、人生の歩み方のバリエーションを見てみたほうがいい。

「ありたい自分」を持っていないとかっこ悪いからと、無理してつくって「これを目指している」と思い込まないほうがいいと考えています。

以上、久々野智小哲津でした。

本文は
コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で語った内容を
文章化し加筆したものです。
Voicyアプリをダウンロードして『コテツ』で検索、無料で聴けます。
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久々野智小哲津
二十数年にわたり、のべ7社ほど(8社目準備中)会社を経営。ITの会社を大きく成長させた後、新規事業でさまざまな事業を立ち上げ、フランス、イタリアを中心にヨーロッパからブランドを日本に持ってきたことをきっかけに、ブランドづくりができるようになった。
海外ブランドの日本進出や、日本国内の会社、サービス、商品、人(タレントさん、議員さん、スポーツ選手など)のブランドプロデュースにも関わっている。
Instagram https://instagram.com/q.kotetsu/?hl=ja
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