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読書録

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2021年12月の記事一覧

【読書録】セシュエー『分裂病の少女の手記』

 前に読んだ、吉村萬壱の『哲学の蝿』の中で紹介されていたので、読んでみた。みすず書房の薄めの本で、既に家にあった。のみならず、一度半分ほど読んでみている。しかし、途中からそのことを思い出す、というくらいには内容を忘れていた。
 吉村萬壱は、「物書きになった人間が、公には言っていないけれども、実は読んでいて書くことの大きな養分にしている本があると踏んでいて、この本もその一つだ」といって、本書を紹介し

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【読書録】吉村萬壱『哲学の蝿』3

 最後までこの本を読んだ。色々感想はあるが、最後まで読めば、当初思っていたよりいい本だということがわかった。吉村萬壱は、もう80になるのか。あらゆる作家の中でも、努力によって、努力というより、ひたすら書くこと、しかも文章を周りに読ませるためというより、純粋に、手で書く、書くという行為、文章というより文字を書き続ける、紙面を埋める、ということに情熱を傾けることによって、ここまで来た作家なのだというこ

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【読書録】吉村萬壱『哲学の蠅』2

 中盤に差し掛かって、俄然面白くなってきた。題名の「哲学の蠅」の意味も明かされた。というか、吉村萬壱はバリバリ哲学に浸っており、ちょっとずつ齧っている、などと言っているがぜんぜんそうは思えない。いや、哲学の全体という、とても踏破しきれそうもない荒野の存在を、少しでも感じたからこそ、そういう言い方をするのかもしれない。前半ほどは、変態だとか、虐待だとか、目を封じたくなるようなことは、なくはないが、少

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