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グレるとお雛様

『グレる』

少年や青年が反抗的•反社会的行動をとること。不良になる。

と辞書的には説明される言葉です。

『半グレ集団』
という言葉は時折ニュースでも目や耳にします。

この『グレる』という言葉は3月と縁が深いことをご存知でしょうか。

蛤という貝

先日のひなまつりには、蛤(ハマグリ)の吸い物を召し上がった方もいらっしゃると思いますが、

この蛤は名前からわかるように、もとは『浜の栗』に由来するといわれます。

蛤は二枚貝ですが、元々の貝殻同士はピッタリと合うのですが、異なる貝殻同士だとスキマが空いたり大きさが異なったりと上手く合いません。

そこから他と合わず→1人の人と生涯添い遂げるという夫婦円満の象徴ともなってきました。

そこから、『将来良い夫婦になれるように』、『ピッタリの相手が見つかりますように』と、蛤のお吸い物が食べられるようになったというのです。

漢字の『蛤』も『合う』という字が入っていることからも特徴がうかがえます。

似て非なるものホンビノス

蛤と似た貝に、『ホンビノス貝』というものがあります。
最近はスーパーでも見かけ、蛤よりも安価で通年出回っていますが、1998年に我国では発見されてから爆発的に生息域が広がったという外来種です。

いわゆる『クラムチャウダー』とはこの『ホンビノス貝』を用いるのですが、なんだか『ホンビノス』という名前にどうも「しっくりこなささ」を感じるのは私だけでしょうか。

固有名詞、とくに生物の名称には、その名前の由来になったであろう語句が入っていることで納得したり、理解している節があるのではないでしょうか。

それが『ホンビノス』ですとなんとも引っ掛かりがない。

『ホンビノス貝』は、漢字表記は「本美之主貝」と記します。

この『美之主』というのはローマ神話のビーナスを意味する当て字となります。

現在ホンビノス貝はメルケナリア属に属していますが、かつてはビーナス属に分類されていたことから、この当て字が考えられました。

しかし、もともと日本にはビーナスを語源とする『ビノス貝』という別の貝が存在していたため、それと区別する必要があったのです。ややこしいですね。

そこでこちらが正真正銘の『ビーナス』であるということから、名前を『本ビノス』として、カタカナ表記で「ホンビノス貝」となったようです。

この『ホンビノス貝』、美味しいのですが、毒性があるという話もあります。
しかし、しっかりとした調理法を行えば心配はないようです。

蛤と不良

さて、冒頭の『グレる』ですが、蛤はピッタリ合うことから、『ハマグリ』をひっくり返すことによって、物事がピッタリと噛み合わない、食い違うことを意味することを『ぐれはま』というようになりました。

この「ぐれ」に活用語尾「る」を付けて動詞化した語を『グレる』といい、不良になる。という意味になりました。

おわりに

かつて平安時代には、蛤の貝殻の特性を利用して、貝殻同士をピッタリと合わせる『貝合わせ』という遊びが流行ったようですが、
グレてしまった若者が、やがてピッタリと合う相性の社会や人間と出逢えることこそが、より良い更生に繋がるということがいえるのではないかと思いました。

おしまい

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