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垂れ下がるアレの役目って一体…

あるとき、

子供から、

のどちんこって何のためにあるの?」

と訊かれて、「たしか役に立っていないのでは…」

と答え、あたらめて調べてみました。


のどちんことは

「口蓋に垂れ下がるもの」という意味から「口蓋垂 (こうがいすい)」といいます。

睡眠時の呼吸に伴い、この口蓋垂が震えると「いびき」が生じるそうです。


発音の補助、誤飲防止、不要な部位など。

あるいは、口腔から鼻腔への異物の侵入を防止する役目があるとする説など、

諸説あるようなのです。


「のどちんこ博士」として知られるという、大阪大学大学院教授の古郷幹彦先生は、以下の記事にて、のどちんこの重要性について記しているのですが、

正確には、垂れ下がっている「のどちんこ」ではなく、その根元にある「軟口蓋」のことを記しているようです。


もう少し知ってみようと…

のどちんこの謎についてもう少し迫りたく、それでは「のどちんこ博士」がお書きになっている著書を読んだら判るのでは?と思い入手してみました。


その本は「のどちんこの話」です。


博士の意見

というわけで本書の「のどちんこ」はなぜあるのか?の項目を読んでみましたところ、

人体では「のどちんこ」そのものにはあまり重要な役割はないようです。

という文章から始まりました。

口から息を吸う時に、のどちんこは短くなるそうで、

「これだ!」

と期待して読むと

(のどちんこが)口から息を吸うときに短くなって口峡を広め、吸気抵抗を減じているのは合目的的で理解できますが、「のどちんこ」がなければその分もっと抵抗が少ないはずなので、積極的な「のどちんこ」の存在理由にはなりません。

とありました。

さらに著者は続けます。

「あー」と音声を出すときにぶらぶらして、ときに共振することで音色に変化を与え音声の個性をつくっていることがあるかもしれませんが、必然性のある行為とも思えません。

おお、のどちんこ…。

たたみかけるように

「のどちんこ」は嚥下のための特別な受容器ではありません。

として

いびきや呼吸閉塞の原因の一つとなっています。

と前述でも記した説を挙げ、

このように、「のどちんこ」はポジティブな面で存在しなければならない理由が見つからないのです。

と結んでいます。


進化における「のどちんこ」

著者は進化過程に言及し、

四足歩行哺乳類では「のどちんこ」は喉頭蓋と重なっています。また喉頭はヒトに比して高位にあります。このため咀嚼の最中に食塊が喉頭口に吸いこまれないように、あるいは食塊やミルクなどの流動物が直接喉頭口に運ばれないように、口腔の食塊や流動物を「のどちんこ」で左右に分離し、そのうえで左右の梨状陥凹に導いていると理解するのが正しいのかも知れません。人では「のどちんこ」と喉頭蓋が離れており、舌と軟口蓋で口峡をつくっていますので、もうこのような働きはいらないのかも知れません。しかし、軟口蓋の進化の過程ではきわめて重要な意義のあった器官なのかも知れません。


結論

「のどちんこ博士」の意見をもってしても「のどちんこ」の有用性はわかりませんでした。

それでは参考にした著書「のどちんこの話」とは何を記しているのかといいますと、呼吸や嚥下などについて紹介するために、口腔内の「軟口蓋の重要性」についてわかりやすく説明する1冊となっているようです。

おそらく「のどちんこ」はその「軟口蓋」付近を親しみやすく感じて貰いたい、との思いから、タイトルに使われたのだと個人的には感じました。


おわりに

今回、

「のどちんこ」は、現在のところ、何のためにあるのかわかっていない。

ということがわかりました。


今後も新たな知見などがもたらされないか、注視していきながら、

「まだまだわからないこと、知られていないことが世の中にはあるのだ」

ということと、それゆえ、サイエンスが重要であるということを子供には伝えておこうと思います。



おしまい


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