五目御飯

関東地方某所に居住する人物です。主にTwitterにいます。 noteでは、地理学関係…

五目御飯

関東地方某所に居住する人物です。主にTwitterにいます。 noteでは、地理学関係のことなど、140字では言い切れないことを中心に深く掘り下げて不定期に投稿します。 ※投稿記事の内容など各種活動は個人的なものであり、所属歴のある各組織の公式見解ではありません。

マガジン

  • 人文地理学のための数学

    大学の学部1・2年次で勉強する数学の知識を人文地理学にどう応用できるかを紹介した記事群です。

  • 人文地理学のおすすめ専門書

  • 水戸巡検20200218

    2020年2月18日(火)に実施した水戸巡検のまとめ

最近の記事

人文地理学のための数学(2): 数理モデル

2022年3月に「人文地理学のための数学・統計学(1): 多変量解析」という記事で、人文地理学における多変量解析の利用例をいくつか紹介した。今回は、数理モデルを取りあげ、大学で学ぶ数学の知識を使ってどのようなことができるのか紹介していきたい。 人文地理学で数理モデルと聞いて、人文地理で数学?物理?と思う人もいるかもしれない。しかし、人文地理学の論文の中には数式が何十個も出てくるものもあるし、物理学のアナロジーで考案されたモデル式も実在する。 私自身も以下に紹介する数理モデ

    • 五目御飯的睡眠導入のご紹介

      今回は、私にとっては効果抜群なものの、その原因はわからないうえ、さらに他の人にもなかなか理解してもらえない睡眠導入法を紹介する。 睡眠導入法に出会う前の私の有様私は今月まで大学院生であったが、大学院生生活では時刻固定の予定がかなり少ない。私の場合は、木曜午後のゼミと金曜午後の授業TAくらいであった。研究は自分の好きな時間帯に進めれば良く、1限開始の8:40から始める必要はない。極端な話、ゼミさえ出られれば、夜中に研究を進めて朝は遅くまで寝ていても問題はない。こういう無制約な

      • 途中下車したくないけれど、名古屋できしめんを食べたい!

        先日関西に行ってきたのですが、関東まで帰ってくる途中で名古屋できしめんを食べたいなと考えていました。京都から東京まで新幹線に乗ったのですが、名古屋で途中下車すると特急料金が数千円跳ね上がってしまいます(のぞみ通常期指定席の場合、東京~京都は5,810円、名古屋で途中下車すると(4,920+3,270=)8,190円と、(8,190-5,810=)2,380円高くなる)。今回は費用をできる限り抑えて移動していたので、新幹線改札口を出ずに食べることを考えました。名古屋駅の新幹線ホ

        • 大都市にしかないもの

          私は生まれも育ちも東京であるが、現在は1都3県外のA市に居住している。A市は県内で一定の中心性をもつ都市である。東京とA市は鉄道で1時間弱で移動でき、東京大都市圏内に位置づけられはするが、私が東京に戻ったことは一度もない。私の生活において、大都市との対面接触はなくなってしまった同然ともいえよう。それで失ったものもあれば、得たものもある。 大都市の魅力大都市の魅力とは何だろうか。中心地理論によれば、より大きな都市ほど、高次の財やサービスを享受することができる。また、イノベーシ

        人文地理学のための数学(2): 数理モデル

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        • 人文地理学のための数学
          2本
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        記事

          人文地理学のおすすめ専門書(3): 都市地理学

          2021年3月に「人文地理学のおすすめ専門書(1): 全般的なもの」、2021年9月に「人文地理学のおすすめ専門書(2): 特に都市圏構造変化に関する専門書」という記事を書いたのですが、都市地理学全般に関する文献紹介はしていなかったように思います。なので、今回は都市地理学全般に関する書籍を取りあげていきたいと思います。 1. よくわかる都市地理学 都市地理学に関する書籍で最も有名なのではないか?と思う本です。近年の都市地理学の知見などを幅広く解説した書籍で、都市地理学で卒

          人文地理学のおすすめ専門書(3): 都市地理学

          文献購読の授業でやったこと

          文献購読の授業で何を行うのかは、講義科目と比べてあまり知られていないように思う。そもそも他学類生お断りの授業も多く、気軽に履修できるような科目でもないので尚更である。私が学群生のときに履修した経験をもとに報告したい。 ただし、ここで記載された内容が2022年度の授業内容と同一とは限らないので注意されたい。 対象科目似たような科目名があり紛らわしい。地球学類の場合、 「人文地理学・地誌学セミナーA」「人文地理学・地誌学セミナーB」 「人文地理学演習A」「地誌学演習A」「人

          文献購読の授業でやったこと

          人文地理学のための数学・統計学(1): 多変量解析

          出身学類の中で、「人文地理学には数学は不要」「数学ができない人が人文地理学に来る」などといった話を聞くことがある。その主張が根本的に誤っているとまでは思わないが、数学や統計学の知識があることで人文地理学に生かせる可能性がないとも私は考えていない。このことを踏まえて、学群1・2年生を主想定読者として、「微積分」「線形代数」「地球基礎数学」「地球統計学」などで扱われた内容をどう人文地理学的に応用できるか概観していきたい。 なお、筆者は数学がそれほど得意というわけではない(数学類開

          人文地理学のための数学・統計学(1): 多変量解析

          測量士補登録

          先日、測量士補に登録されました。 しかし、履修要覧や学群入学時のカリキュラム講習会で、地球学類で測量士補がとれるという話は聞かないと思います。実際、履修要覧で測量士補に関する言及があるのは数学類・物理学類・生物資源学類のみです。ひそかに転学類したわけでもありませんし、測量士補試験を受験し合格したわけでもありません。私は測量法第51条第1号「大学において、測量に関する科目を修め、当該大学を卒業した者」に該当する者として登録されています。 では、なぜこのようなことができたので

          測量士補登録

          人文地理学のおすすめ専門書(2): 特に都市圏構造変化に関する専門書

          2021年3月に「人文地理学のおすすめ専門書(1): 全般的なもの」という記事で、人文地理学全体にわたる書籍を紹介しました。第2弾がかなり遅くなってしまいましたが、今回は、私の興味のあるテーマに関連する専門書を中心に取りあげます。都市地理学に興味のある学部生を主対象読者としています。 1. 大都市圏の構造的変容1990年頃までの三大都市圏の都市圏構造変化に関して詳述されている図書です。少し古いですが、個人的には都市圏構造変化に関する重要文献の1つと考えています。 あとは都

          人文地理学のおすすめ専門書(2): 特に都市圏構造変化に関する専門書

          人文地理学のおすすめ専門書(1): 全般的なもの

          地球学類人文地理学・地誌学分野を希望している新3年生・興味のある新2年生を主対象読者と想定して、人文地理学関係のおすすめ専門書をいくつか紹介したいと思います(あくまで個人的な意見です)。 今回は、関心のある分野等によらず全般的に関わりそうな本を選びました。(私の興味のある分野に関しては続編で取りあげる予定です) 1. ジオ・パルNEO 地理学・地域調査便利帖 1冊だけ選ぶならこの本を選ぶ人も多いと思いますが、特に地域調査の方法を学ぶうえで参考になるかと思います。例えば文

          人文地理学のおすすめ専門書(1): 全般的なもの

          人文地理学関係の古典的な重要文献リスト

          どの分野でも古典的な重要文献はあるはずである。人文地理学でも例外ではないだろう。 ただ、人文地理学では古典文献の重要性が他分野より低いかもしれない。例えば私の所属大学でも哲学主専攻でカントの原著を読む演習の授業が存在する。しかし、古典文献の講読を目的とした人文地理学の授業は存在しないものと思われる。文献講読の授業自体はあるが、『地理学概論』(朝倉書店)などのように近年発行された人文地理学の教科書の講読であった。(ただし、所属大学では伝統的に地理学専攻が理学部にあった大学であ

          人文地理学関係の古典的な重要文献リスト

          緯度経度からの距離の計算

          こんにちは。こちらは実家待機となり、大学に行ける見通しが立っていません。 地理愛好会の定例ミーティングでの室内実験のネタとして準備していたのですが、できる見込みも立たないので、こちらで紹介することとします。 今回は、緯度経度の情報から距離を求める、をテーマにします。 地域間の距離は、地理的事象を捉えるうえで重要な要素の1つでしょう。高校地理でも立地論は出てきますし、トブラーが提唱した「地理学の第一法則」(距離が近いほど関係性が強い)も、距離と関係しています。 では、距

          緯度経度からの距離の計算

          水戸巡検のまとめ~自分で企画した巡検~(4)成果と課題

          (3) 当日の様子 からの続き 今回の巡検を振り返って、私なりに感じた成果と課題を以下にまとめる。 参加者もそれぞれ関心は違えども、少なくとも一定の満足度はあったのだろうと思う。私が事前準備で投資した時間と労力分は回収できたかと思う。 ただ、偕楽園の梅の開花状況を考えるのであればもう少し遅くても良かったかもしれない。咲き始めの時期であり、満開ではなかった。ただ、帰省する人が増えると参加率が下がるおそれもあるので2月下旬および3月の実施は慎重になるところはある。 また、

          水戸巡検のまとめ~自分で企画した巡検~(4)成果と課題

          水戸巡検のまとめ~自分で企画した巡検~(3)当日

          (2) 事前準備 からの続き 当日は参加者5名であった。内訳は比較文化学類3年が2名、地球学類3年が1名、人文学類2年が1名、日本語・日本文化学類2年が1名。 今回は私が企画・行程作成・現地解説等を行ったので、都市地理学的なテーマがメインとなっている。また、午前中は郊外、午後は都心という対比となっている。 移動経路は下図の通りである(地理院地図を加工して作成)。茨城県庁を起点に午前中は郊外を、午後は水戸駅を起点に都心を対象とし、偕楽園まで歩いた。 茨城県庁 集合は1

          水戸巡検のまとめ~自分で企画した巡検~(3)当日

          水戸巡検のまとめ~自分で企画した巡検~(2)事前準備

          (1) 企画背景からの続き ここでは、当日までに行った準備について紹介していきたい。 巡検の案を考えるのは自由だが、巡検の準備は簡単ではないと考える。任意参加ではあるものの、参加者全員が時間や費用を出して実施するものであるから、一定のクオリティは要求されるだろう。当然ながら事前準備には手間がかかる。 まず、企画・行程作成・現地解説等の担当者は、まず訪問地域についての知識を得る必要がある。そのために地理学の書籍・論文などを調査することになる。今回参考にした文献は以下の通り

          水戸巡検のまとめ~自分で企画した巡検~(2)事前準備

          水戸巡検のまとめ~自分で企画した巡検~(1)企画背景

          2020年2月18日(火)に、地理愛好会の活動として、茨城県水戸市で巡検を行った。 私は水戸巡検の幹事として、企画・行程作成・現地解説等をほぼ全て担当した。本稿では、水戸巡検で得られた成果や課題などをまとめていきたい。 なお、かなり長くなるため、記事は4分割している。 (1) 企画背景と訪問地の選定理由 (2) 事前準備 (3) 当日の様子 (4) 成果と課題 各自興味のあるところを読んでいただければと思う。 企画背景地理愛好会では定期的に巡検・旅行を行っている。第1回

          水戸巡検のまとめ~自分で企画した巡検~(1)企画背景