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これだけ読んで!いわいエッセイ

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更新は不定期です。エッセイ。
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#日記

春の底

4月。友人とお花見をした。
と言っても、桜がたくさん植わっているところに行ったわけではなく、互いの勤務地付近に咲いている桜の木の前で昼食を食べただけのことだ。

その友人とは中学と高校が同じで、その間部活も一緒だった。
大学進学や就職で数年離れたところにいたが、今は隣のビルに勤めている。
いなかから出てきた友人が大都市で偶然隣のビルにいるなんて、不思議な気分だ。

私は駅からオフィスに行くときも、

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ベーコン_20240515

ベーコン_20240515

とある喫茶店に行った。
Instagramで知り、そのうち行けたらな~と思っていた店だ。近くで用事があり、チャンスとばかりに建物に足を踏み入れた。

その店には入店人数や時間制限などいくつもの注意事項があり、入口の扉には「NO PHOTO」と書かれていた。
おそるおそる店内をうかがうと、ちょうど客が全員帰ったところだった。
カウンターの向こうの渋そうなマスターに、好きな席に座るよう促される。

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『夜明けのすべて』を読んだ_20240514

『夜明けのすべて』を読んだ_20240514

「夜明け前が一番暗い」。小4で知ってからずっと好きな言葉だ。
書店で帯に「知ってる?夜明けの直前が、一番暗いって」とあるのを見て、『夜明けのすべて』を手に取った。(このフレーズはおそらく登場しなかったが。)

PMSで月に一度感情がおさえられなくなる藤沢と、パニック障害を抱える山添。小さな会社の同僚のふたりを中心とした物語だ。

私はPMSと診断されたことはないが生理にはかなり悩まされているし、パ

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世界一と言えたら_20240509

世界一と言えたら_20240509

自分に人生経験があればもっと自信をもって断言できたんじゃないか、と思うことがある。
例えば「この絵が世界一だ」と世界中の絵を全部見たから自信をもって言える、のような。

好きなものに熱中しているとき、心の中では世界一だ!最高だ!と思っていても、それを表に出そうとすると「本当に世界一なのだろうか?」とよぎってしまう。
心の底から世界一だと思っている。それは嘘ではない。でも、大海には似たようなものがた

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傘_20240621

傘_20240621

しっかりした雨だった。

私はいつも折り畳み傘を持ち歩いている。晴雨兼用で、どちらに対してもわりと強い。毎日持ち歩くための小さめサイズ。今日は小さいそれをかばんに入れっぱなしにして、普通の雨傘をさして出かけた。

屋内で用事を終えて外に出ると、晴れていた。マジ晴れ。すごい晴れ。太陽のパワー。あんなにたまってた水はどこへ。もう雨が降っていた痕跡もほとんどわからないくらい晴れていた。
理科で天気の単元

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