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かわいくても怖いから好きでも嫌い

怖いものというのは、人それぞれです。

幽霊が怖いという人もいれば、幽霊より人間のほうが怖いという人もいるし、人間を狂わせるお金はもっと怖いという人もいます。

逆にいえば、幽霊なんて友達になれば怖くないじゃんという説もあり、人間が大好きですという考えもあり、お金が人生であるというふうに煽る、スクロールがやたら多いブログも存在します。

自分はいわゆる「みえるひと」ではないので、幽霊は未知なので対処法がわからないという意味で怖いし、基本的に親鸞さんの悪人正機の思想をリスペクトしているので、人間は好きだけど嫌い、というツンデレみたいな気持ちで過ごしているので、どうしても素直になれなくて怖いし、スクロールが多いブログは、必ず最後に怪しい教材を売りつけてくるから怖い。

多くのものに怯えながら生きているので、他人の恐怖にも寛容でありたいのですが、ずいぶん前に知り合いに聞いた怖いものは、なかなかに自分にとっては予想外でした。

『名探偵コナン』の犯人が、本気で怖かったのだそうです。

あの、全身が真っ黒で、目と口だけが見える状態の犯人。最近は『犯人の犯沢さん』というタイトルで、彼(彼女かもしれんが)が主人公のスピンオフ作品もありますね。あいつです。

いやいやいや。

どう考えてもあんな人は現実にいないし、漫画的な表現だし、むしろ松本警視の外見のほうが怖くね?と思ったのですが、作中に出てくる誰よりも、あの犯人が怖かったのだそうです。ちなみに「松本警視って誰?」と言われました。最近は出てこないんですかね、松本警視……。娘の小百合さんは新一たちの高校の音楽の先生だったという設定も、もう忘れられているんですかね。

自分にとっては見慣れている黒い犯人も、人によっては恐怖の対象なのです。そういえば自分も、理解されづらい恐怖の対象があります。

犬さんです。

あ、うん、そうそう。dogのこと。

ドーベルマンみたいな巨体の犬や、吠えまくり噛みつきまくる犬ばかりが怖いわけではなく、チワワやトイプードルのような、人なつっこくて小さめな犬も怖い。

オバケのQちゃんでも、子犬なら平気だと思うので、自分はQ太郎くん以上のビビリということを露呈していて恥ずかしいのですが、怖いものは怖い。

あいつらは距離を置くということを知らず、クンクンと人の匂いを嗅ぎつけては近づいてくる。「くぅ〜ん」とか言いやがる。もっとあざとい奴は、我を撫でよとばかりに頭を差し出してくる。つらい。僕はQちゃんよりも犬には弱いんだ。弱いんだ。

ああ、温かい。柔らかい。だかしかし、吠えたり噛みついたりもする種族なんだ。だがしかし、こんなにかわいいのなら、話せばわかり合えるような気もする。

でも、こんなにかわいいからこそ余計に怖い。普段おとなしい人のほうがキレたら怖いし、こういう犬と付き合うのは地雷なのかもしれない。ああ怖い。無理。しんどい。ギャル語的な意味でも本来の意味でも無理でしんどい。

などと困惑しているうちに、犬さんは飼い主のおじさんに引っ張られてどこかに去っていきました。犬は好きだけど嫌いです。


サウナはたのしい。