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クチャラーだらけの我が家で

モノを食べる時はね、誰にも邪魔されず、自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで……。とは、ひとり飯の素晴らしさを提唱する井之頭五郎さんの至言ですが、自分もごはんはなるべく誰にも邪魔されず、独りで食べたい派です。

飲み会が嫌いなわけではありませんが、10人以上いる場に1時間以上いたくないし、そもそも酒は自分のペースで呑みたいので、他人にビールを注ぐのも注がれるのも、正直なところ面倒に感じることがある。

よくそんな奴が7回もオフ会やったなと我ながら思う。まあ、後半は4~5人規模だったし、ワーキャー騒ぐ類の席でもなかったからこそ成立していたところがある。

note公式イベントの雰囲気がどんな感じかはよく知らんが、現在のnoteユーザーの規模と動向を考えると、10人以上は確実にいそうだし、私のような毒にも薬にもならん、コンビニで売っているゼロファイバーなんたらかんたらみたいなよくわからん文章を書いている者などあまりいなさそうだ。

ちなみにこれは卑下でも謙遜でもなく、むしろ自慢である。ナンバーワンになれなくてもいい、もともと特別なオンリーワン。よって今日もひとりで食したいところなのですが、あいにく今は実家におり、弟もいる。我が家では珍しく、ファミリー勢揃い。

何度か書いていますが、自分は弟と会うことは普段はほとんどないし、会っても話すことはなく、ふたりとも30分間ずっと無言で『こち亀』の再放送を視たり、1時間ずっと無言で部屋の窓ふきをしたりするような関係性です。

別に仲が悪いわけではなく、子供の頃はむしろ超仲良しで、同じタイミングでポケモンを買ったので同じタイミングでマサラタウンにさよならバイバイしたし、段ボールで作ったオリジナルミニ四駆コースが一晩でぶっ壊れて一緒に泣きました。

いつからか忘れましたが、成長するにつれてなんとなく疎遠になり、だんだんこういう感じになってきたのですよね。

なのでLINEアドレスも知らない。今すぐに訊けば即座にわかるのだけど、今すぐに訊く理由もそんなにないよな、電話番号はわかるからいいか、となる。恋人の有無も知らない。これも訊けばわかるはずだが、そんなことを知って何になるのか、という気持ちもある。

そんなこんなで、実家に立ち寄ったとしても、いつもはひとりだけどっかに行ってテキトーに外食することが多いのですが、今日はなんとなく、家族で家で食事をしました。といっても、会話はほとんどないのですが。

それでも今日は団欒が欲しかった理由は、皆様もご存知のとおり、漫画『Dr.スランプ』『ドラゴンボール』、ゲーム『ドラゴンクエスト』シリーズのキャラクターデザインで有名な、日本を代表する作家である、鳥山明先生が逝去されたからです。

うちの家族は趣味嗜好がそれぞれバラバラで、ユーミンさんを崇拝している両親の元で育ったのに長男の自分は1990年代のヴィジュアル系オタクだし、自分以外はキノコが大好きなのに自分はキノコなぞ核爆発で滅べと思っているアンチキノコ過激派だし、のび太とジャイアンとドラミちゃんの誕生日を即答できる程度にドラえもんに思い入れがあるのも自分だけである。

そんな中で、『ドラゴンボール』は唯一の、家族の共通言語でした。ずっと当たり前に、そこにあるものだった。水曜日の夜の7時、いつまでも終わらない魔人ブウとの戦いを視ながらの食卓。

引っ越したので今は違う食卓だし、テレビに出ているのは聞いたこともない芸人さんだが、家族は今でもいる。非常にありがたい。

……のだが。

困ったことに、我が血族、なぜかクチャラー率がめっちゃ高いのである。はっきりいって、俺以外のほとんどがクチャラーだ。

お婆ちゃんは高齢なので仕方がないところもあるが、両親の癖を見事に引き継いだ弟もまたクチャラーなのだ。おまえ、俺より若いだろうがよ。

私は14歳だが、弟はもう30歳である。世の中にはたまにそういうことがある。17歳の井上喜久子さんのお子さんの井上ほの花さんは、先日26歳の誕生日を迎えられた。

30になったんだから、クチャラー、やめよ?ね?……と、口に出して言うはずもなく、静かに空になった茶碗を置きました。ごちそうさまでした。両親も鳥山先生のことは知っているはずですが、特に何も話しませんでした。でもおそらく、それでいいのだと思う。

クローゼットには、カバーが外れて、ページもいくつか抜けて、ボロボロになった『ドラゴンボール』の単行本が仕舞われています。

ドラえもんやアンパンマンと同じく、物心ついた頃にはすでに知っていた悟空は、架空の人物とはいえ、友達のような存在です。

そして、平和な食卓は、『ドラゴンボール』とともにありました。ありがとうございました。

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ぷらーな
サウナはたのしい。