さいのめつるぎ(旧ルコ)

詩書き Dead stockの溜まり場 投稿物は基本全てUnder construct…

さいのめつるぎ(旧ルコ)

詩書き Dead stockの溜まり場 投稿物は基本全てUnder construction

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最近の記事

ずっとかぶき続けなければいけない理由

自分の作品は全てフィクションだ、と言い張ることにしている。 もちろん人間の作ることだから「これは実際に何かしらの経験をした者しか書けない」というような箇所は、これまで書いてきた作品中、そこかしこにあるだろうとは思う(どれがそうなのかもはや自分では全く分からないが)。ただ少なくとも、「身の回りに起きたことをそのまま書いた」作品、あるいはそう判断されることを望んだ作品はこれまで一切ない、という自負がある。全て筆者である俺による、無意識・意識的問わず何かしらの強烈なフィルターを配

    • 5,4,3,2 (proto type)

        Delete the streaming frequency from the fear side     ———THE MAD CAPSULE MARKETS『SCARY -Delete streamin' freq. from fear side-』 「やっちまえと空砲が轟く  ボイラー室の吹き抜けで  反響音に首を締め上げられる  懺悔に足るってことらしい  中空からスコールに襲われ」 「それであたしはいつしか  腕をクロスしてTシャツを脱ぐことを  覚えたん

      • Flanger(償いなさいと彼女は云った)

        握り潰せる程の細い首 耳鳴りにもう飽きてしまった 不感症共に つける薬はない 「償いなさいと  掠れた聲が聴こえる」 何をすれば喜んでくれるの 貴方達はおそらく 使い方を忘れただけ 嘘も吐けない舌は 裂くしかないんだってね 骨だけになった空を もう一度掌の中で壊してゆく 「償いなさいと  彼女は  その幼顔に似つかぬ寂聲で  云った」 湖を揺らす音が 解いた髪を伝って膚を断ち切るように #詩

        • 羽根

          塒を巻く 綾を成す 潤む手首に張り付いた 棘の群れをいなして 羽根が舞う 憐れみを 隠すつもりもなく 緩やかに舞う 夢はとうに忘れて 灯した花を 慎ましく両手に隠して 深泥を湛えた眼に 喰わせるべく 羽根が舞う 音も無く 私達の息が 全く絶えるのを 見届けるまで 円を描く時 柩が独りでに 綴じられるまで 幾千幾億 天空から 地の底へ 水の底へ 永久に 舞う #詩

        ずっとかぶき続けなければいけない理由

        マガジン

        • 閉架A-1
          12本

        記事

          ジャガー

          歌うには隙があり過ぎるんだ 貴方のためだなんて云えはしない ボロ切れになって捨てる前に 僕を包んではくれないか 雪をやさしく触る掌が この眼を見て怯えるのが判る 泣きたいよね ごめんね 聞こえないよう呟いて 髪を解く ねぇ 何処にだって行かせはしない 少しだけ傷つき過ぎるから ねぇ 笑っていてもいいかな 二人して探した ハッピーエンドの童話みたいに 夜を歩くたびに 脚は冷たくなっていくけれど 背中合わせでいいから それを残しておきたいと願って #詩

          拘置所の向こうに

          拘置所の向こうに 花火が上がる 端末越しに観る 金麦を飲みながら 誰よりも 高いところで #詩

          log

          (彼は  いつも  こんなふうに、  細胞一個 残さず  つらつらと  なぞる  染み付いた痣を  全部溶かして  消そうとする 浴室の雨、42℃ 叩きつけた唄と除光液 #詩 #過去作

          シノニム

          逢魔が時の今頃 私のすぐ下の部屋で多分また 幸薄げな占術師が 香を焚き染めている 三日前に拾った猫は それにつられて しばらく目を覚まさなくなる あまり意味を望まずに 日記をクリップで纏めた 爪は噛みすぎてもうボロボロ 後輩が腫れ物に触るように 「作業中は音楽聴かないんですか」 (歌詞があると、気が散るから) 手製のシェルターの裾が破けて でも何をするわけでもなくて 何かできるわけでもなくて 「あたしらどうせ捨てられるんなら」  「死んで生まれたほうが」   「よかったかもし

          Dicotyledon

          醒めた顔を隠す。 (肩を掴まれ  見えない弦が鳴る) 甘えてなどいない、よ、と 助手席に爪を立てる。 (どのみち袋小路だ、 気休めの約束。 絶対なんて求めてない。 (血の透ける腕  摘まれる。)  擦れる。 (消される、 突き当たりで 駐まる、 そのまま手を引かれる。 羽根が生えてくるまで 放されないこと、 止まれないこと、 全部聞かされてる。  せめて指を咬む) (アンプリファー、 真空で 壁は溶かされ、 ぜろぜろと 息を吐く。 黒い。 踏み潰されたコウモリ #詩

          淫血症

          ドレインアウェイ 役立たずの血を棄ててしまえ 化学物質が 誰にともなく呟く 都合良く 体温は下がってきている 神経尖らせた方々に 噛み付く隙を与えないように 循環と連動して雨を降らせる だから外に出られる 滅菌されるような 管理ではないこと 蛋白質の融ける匂い 生存からあぶれた 式蜘蛛を燃やしている 「淫血症」 聞こえてるけど 知らないふりをする #詩

          Anti-topologist

          耳鳴りがする 黒も白も 剝がれ落ち ざらざらと 混ざる 特に言及はしない したくない 無責任だと 解っているよ Anti-topologist #詩

          剥落

          それは矛盾しないこと 廃棄されずに こびりついた感情を 無計画に 奪い去ってゆく 盗賊のような それはおそらく正しいこと それは反駁すべきこと 取り憑かれた壁が 慈悲をもって 誰にも拾われぬよう 崩れる 僧侶のような それは受け容れ難いこと #詩

          cyanosis

          Eli, Eli, Lema Sabachthani 扱える武器が足りない Eli, Eli, Lema Sabachthani 僕の中で暴れないで 救いを求めるだけの 業を抱えるか否か 振り向かないと知ったなら さっさとこっちに寄越せよ Eli, Eli, Lema Sabachthani 錨は長く冷たく Eli, Eli, Lema Sabachthani 記憶は混ざるばかり 愛を与えるだけの 血を有するか否か 偽光に縛られたまま 静かに眠れ 二度と醒めないように Eli

          Judy Danny fix me kill me up

          ねがいごとに嘘はない? 私だってまだ 与えられるものはない 開いた手で期待したかしら 少し歩くだけよ 気晴らしに 降参のポーズをとる貴方 どうやって見下ろせばいい? 選ばせてあげる 秘めた欠片はそのままに ちぐはぐな翼をほどく あからさま過ぎるかな だって私に もう それは 必要ないから

          擦過傷

          「止まり木になりたい」が口癖だった 通り雨を待つ明日 針よりも細い月を狙う 春にしがみつく無垢なる身体 ハート型の神経衰弱に 1枚だけ黒が混じる ざらざらと溢れる 粘液の多くは回収されず それでもまだ生きることは 許されている #詩

          Hello Mr. Wound

          逃げる手筈を知る 黒ずんだ ピアス 宿主を急きたてて 「ものわかりの良いふりはもう機能しない」 で、排泄 極論を申せば 油が切れた 糖分が切れたという事 逆流する可塑性樹脂 調理前の心臓 「眼を背けるのは貴方ばかり」 排泄 鬼子 それも半分の半分 吊り上がる身体 ギプス 揺られるのは惑星 Hello #詩