羽根

塒を巻く
綾を成す
潤む手首に張り付いた
棘の群れをいなして
羽根が舞う
憐れみを
隠すつもりもなく
緩やかに舞う
夢はとうに忘れて
灯した花を
慎ましく両手に隠して
深泥を湛えた眼に
喰わせるべく
羽根が舞う
音も無く
私達の息が
全く絶えるのを
見届けるまで
円を描く時
柩が独りでに
綴じられるまで
幾千幾億
天空から
地の底へ
水の底へ
永久に
舞う

#詩

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