Z世代の生存戦略

 前回、最近の若者の積極性の無さを指摘する主張が発生する原因についての考察を書きました。「最近の若者はハッキリ意見を言わない」等の批判が何故起こるのか。
 今回はその続きです。3つの仮説、
①Z世代メンタルが弱い説
②多様性社会仮説
③インプット思考仮説
の①は前回「Z世代メンタルが弱いのか?」で記載したので、②の多様性社会仮説から解説していきます。

②多様性社会仮説

 多様性社会仮説とは、社会の多様化によって人々の意見が合わなく(批判されやすく)なったのではないか、と言う説の造語です。言い換えると、色んな意見を持つ人が(SNS等によって)可視化され、極端な意見を発信しにくい社会になった、と言う事です。
 従って、個人の意見には、多少なりともの偏見やポジショントーク的な要素が入る事から、「極端な意見が言いにくい=個人の意見が言いにくい」と言う図式が成り立ちます。次に、具体例を見ていきましょう。

 例えば、「映像コンテンツ」と一言でいっても、昔と今とで意味の範囲が違います。
 昔:ほぼテレビのみ
 今:テレビ、サブスク(Netflix等)、YouTube、TikTok、など
 また、このような多様化が進んだ環境では、発言に対する気まずさリスク(勘違いの割合)の高さが変わります。例えば会話で、
 Aさん「私はアニメが好きです。」
 Bさん「じゃあ、最近テレビでやってる〇〇見てる?」
と、言う会話を想像して見てください。
 昔だと、「映像コンテンツ=テレビ」と考えていても、ほぼ当たっているので、Aさんの回答は、
 Aさん「あー、見てますよ!」
と、会話が弾む確率が高いと言えます。
 一方、現在ではコンテンツが無数にあるため、テキトーにテレビ番組を言っても当たらない方が普通です。従って、Aさんの回答は、
 Aさん「見てないな…(気まずい)」
と、気まずくなる可能性が高いと言えます。
 まとめると、現在の方が特定の話題に対して、話が合わない確率が高く、極端な発言が通りにくいと言えます。

 第2の例として、自分の意見を発信の場合を見ていきましょう。今と昔では、発言に対する批判リスクも違う事がいます。
 まず、自分の意見を発信する場の違いは、
 昔:一部の(対面)コミュニティに発信
 現在:不特定多数(SNS等)に発信
と、なってます。
 また、この違いが、発信者の意識に関係します。昔の様に、一部のコミュニティに対して発信する事を想定する場合、そのコミュニティに気を使った言葉選びや行動をすれば、トラブルが起きる確率は低く、少し気をつければ安心して発言ができます。
 一方、不特定多数に発信する事を想定する場合を考えます。発信先の人数が増えれば増えるほど、反対意見を持っている人に遭遇する確率が上がるため。SNSに慣れ親しんでる世代では、「極端な発言=炎上」チラつき、以前より発言しにくくなっていると考えられます。
 まとめると、若い世代の方が自分と違う意見の持ち主に遭遇する可能性を高く見積もっているため、意見の発信により慎重にになっていると、言う事です。よって、多様化が進んだ社会では、意見を明言しない事がトラブルを避ける手段として、正当化されます。
 故に、若い世代では「ハッキリ意見を言わない」事が、経験的に高く評価されている、可能性はあると考えます。

次回は、③インプット思考仮説について書きたいと思います。

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