#読書と学び_ 『食農倫理学の長い旅』〜〈食べる〉のどこに倫理はあるのか_グラレコリーディング
長い旅は長かった
昨年2022年の6月から読み始めたこの本、読了までに約9カ月かかりました。著者はポール・B・トンプソン氏、翻訳は太田和彦先生。
ページ数にすると416ページなので自分の通常ペースだと集中すれば2週間程度で読めます(グラレコ付きで)、がこれは1センテンスだけでも30分とか1時間とかかりました。本は読めれば読めると思っていたのですが、読んでも読めない本があるということを思い知らされた1冊でもあります。(その間にも挟んだ本もあります)
自分にとっての倫理学という未知との遭遇
ワタクシ、倫理学・哲学というものをわかっておらず、、人間生きていればそこそこわかるんじゃないかという思い込みは全くの誤解でございました。ちゃんと勉強しないとわからないし、人と歴史の文脈を読むとことにもそれなりの教養や訓練があったほうがいいんだいう理解に至りました。一方でこの「食農倫理学」というものを知りたいというモチベーションだけで、亀の歩みでなんとかゴールにたどり着きました。メモは35ページになりました。
読み終わってみてよかったところ3つ
①ジョン・スチュワート・ミルが思い描いた自由主義哲学の主張
ミルは、個人の選択を尊重し多様な価値観による選択を支持しているという認識が得られたこと。ここはさらに奥行きを持って学んでいきたい。
②食品業界で雇用されている人々は、貧困レベルか貧困レベルをわずかに上回るだけの収入で生活してるという、富の分配の不平等な現実。
私たちが食べているこの食品は誰かの犠牲の上に成り立っていないか?の懸念がさらに顕在化した箇所でした。このあたりは、IUU漁業を取り扱った映画『ゴーストフリート』でもレポートされていました。何ができるかは今はわからないけど、こういう現実があることは頭の片隅に入れておきたい。
③対話の態度
科学をもとに置くとつい「正しい、正しくない」でついジャッジしたくなったり、倫理や道理的な問題に感情的になったりする自分をちょっと横に置いて対立しない対話の態度を学びたいと思いました。ただいまNVC(Nonviolent Communication=非暴力コミュニケーション)にチャレンジ中。
栄養学以前と栄養学と栄養学以降
自分の中では、栄養学を中心に食を見ていましたが、今回この本を通して、栄養学が出現する以前があり、栄養学が出現し、そしてフードサプライチェーンが複雑化する現代においては栄養学だけでは語られないフェーズになっていることを初めて認識しました。
翻訳の太田和彦先生に会えた!
読み終わってまもなくの昨日(2023/03/11)、翻訳の太田和彦先生にお目にかかれる機会をいただきました(お写真とらせていただくのを忘れた!)生読書メモを見ていただけて私にとっても励みになりました。だいじなポイントを思わずここ!っておっしゃっていただいたりで、ありがたい限りでした。感謝◎
付記:倫理学入門を教えてもらった
昨日(2023/03/11)たまたま、慶應大学の杉本俊介先生にこのメモをみていただいたら、描いてある顔をみただけでどんどん名前をあてられるのがおもしろくてたまりませんでした。倫理学は「人」をみるということの象徴的な知の形なんだなぁと思いました。
そして、倫理学を学ぶならとおすすめをおしえていただいた幸運。
この中でも一番おすすめが「プレップ倫理学」ということで、さっそくポチりました。他の本も何冊か。
最後にもういちど貼っておきます。登場する人物とわからない言葉を調べて追記しています。誰かの読書のたすけになれば幸いです。
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