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退職を相談されたら聞く3つの質問

この記事の文字数:6239文字

チームや部署を管理する上で避けて通れないのが
退職」です。

もし退職がない部署があるとするならば、1人職場だけです。
(その時には中間管理職と部下の概念はありませんが・・・)

「あのー、お時間をよろしいでしょうか」

という言葉を中間管理職にかけられた時に勘づくものですが、相手も勇気と覚悟を持って相談してきていますから、「辞めないでくれ」という言葉かけをしても引き止められる確率は極めて低いものです。

退職をなぜ決めたのか?
転職を考え直して欲しい
という伝え方をお伝えする記事ではありません。

しかし、退職の理由はしっかりと聞かなければいけません。


退職理由を中間管理職が聞く理由

1.中間管理職には見えていなかった人間関係の悪化がわかる
2.中間管理職が無意識に振り分けていた仕事量の違いがわかる
3.転職先の情報をどこまで調べたかによって、仕事における退職希望者のみている視点がわかる
4.退職を決めてしまう程、職場の「魅力のない部分」がわかる
5.自分の管理不足がわかる

どの理由も正直なところ、上記の5項目は、お金を払ってでも聞きたい情報です。
退職希望が出る事は、ポジティブに捉える事ができれば、現在の職場の問題点を明確にするチャンスでもあります。

そして、退職希望者に「退職」が
・やりたい事が見つかっての退職
・今の現実から逃げ出したいための退職
では大きく意味合いが違ってきます。

今の現実から逃げ出したいのであれば、転職しても同じ理由で、転職を繰り返すリスクがあります。

退職理由が「人・時間・金」のうちで環境を整えて解決できる問題であれば、対策を立てて離職を防ぐ事ができます。

退職の理由を聞く事は、職場内の問題点を明確にする事と、
退職希望者が転職ループにはまらないように中間管理職として説明する必要があります。

もし、退職を考えている方がいたら、動画や記事を読んでいただき、もう一度考えてみて下さい。

そして、中間管理職に抜擢されて、退職希望者が出た時に頭が真っ白になる感覚はわかりますが、管理者として何を聞くべきなのかという話を進めていきます。

まずは退職理由によくあるお金の話を動画と共に説明します。

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解剖学の授業や医療の中間管理職育成の情報、セミナー情報は下記画像からご覧ください。

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退職でよく聞く理由「お金」

退職の大きな理由は「人、時間、金」のどれかだと断言しても良いと思っています。

人間関係を改善する事は、簡単に文字にはできますが、現実は簡単ではありません。
対人なので、退職希望者と誰かもしくは複数の人間関係が関連するので、原因追求と双方の話を違和感なく聞き取りを行う必要があります。故に時間がかかるわけです。

ここではお金にまつわる「給与」の話をします。

「お金」で転職を希望する部下に伝えること

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仮に図のように年収400万円の方が転職を希望するとします。
総支給:30万円×12ヶ月=360万円
ボーナス(夏):10万円
ボーナス(冬):30万円

(この収入の方が、お金で転職というのは中々考えにくいかもしれませんが)

求人広告を見て総支給が35万円の会社に転職しようかと悩んだ場合

総支給が35万円になるから、上の計算式に当てはめて
総支給:35万円×12ヶ月=420万円
ボーナス(夏):10万円
ボーナス(冬):30万円

これで年収60万アップだ!
とはなりません。

(注:動画では総支給換算にボーナスの額を含めた話になっておりますが、図が正しい数字です)

何月に就職活動をするのかは分かりませんが、4月に再就職しても、夏のボーナスが満額もらえるとは思いません。
そして、就職先によっては試用雇用期間もあるので、冬のボーナスも減額となる医療機関もあります。(結構多いイメージです)

そもそもボーナスですから、法人の売上で変動するのは仕方ありません。

そうなると、長期視点で働く場所を考える方にとっては、一時的な減収は致し方ないと捉えられますが、目先の給料に視点がある場合は落とし穴にハマります。

退職者:「書いてあった事と違う、詐欺だ」

そんな事はありません。医療法人を始め企業側は、昨年度もしくは一昨年度に、この額面を最高額として払っていますという情報開示をしています。

試用期間がある事も記載している事も多くあります。

情報をしっかり読んで落とし込まないと「後悔」します。
もし「お金」理由の退職を考えている職員で、伸び代に期待している部下であれば、しっかりとお金の話を伝える事も、中間管理職の大事な仕事です。

誰かが教えてあげなければ、その部下は理想の職場を探し続けます。
期待している部下であれば、伝える事で現在の仕事に向き直る可能性も生まれます。

大事なのでもう一度書きます。
中間管理職として退職を希望する部下へ
辞めるのなら「お金」を真剣に考えなさい
と伝えてあげて下さい。

退職は勤続年数で積み上げた「発言力」を失う

お金という視点に補足すると、お金には勤続して積み上げた信用と信頼にも関係します。
信用と信頼は似て非なるものなので、別の記事でも説明しますが、概略だけ伝えます。

信用:自分から相手、もしくは相手から自分への片道方向の関係です
信頼:自分と相手との双方向の関係です

現在の医療法人に入社してから、コツコツと質の高い仕事を積み上げ、懸命に働いて積み上げた信用があるはずです。

信用は退職者の上司だけでなく多部署のスタッフから得る機会も多くあります。信用は目には見えませんが、多部署の方は頑張っているスタッフを見ているものです。頼りにもしています

そして、仕事の結果とその姿勢、職員からの信用で徐々に生まれるものが「発言力」です。

(仕事の結果+取り組む姿勢)×共に働いた多職種のスタッフ=「発言力」

信頼はその先で、相思相愛の関係になって初めて信頼です。

コツコツと誠心誠意仕事に向き合っていた人間が、退職で失うものはお金よりも、信用の部分が大きいと断言します。

退職したら次の職場で「0(Zero)」から信用を得るよう働き、発言力も「0」からスタートです。
目先の1万円増収よりも、仕事の人間関係の再構築の方がストレスが大きいものです。

21〜22歳からがむしゃらに働く人
25歳からがむしゃらに働く人
30歳からがむしゃらに働く人

転職したら条件は同じではありません。
経験年数や年齢によって、共に働くスタッフから求められるものが違うわけですから、がむしゃらに働けば解決とはいきません。

転職は楽な道では決してないのは理解できると思います。

現実は○年目というだけで期待される

転職に関して大事な視点を伝えます。
これは会社側の視点ですから、中間管理職のあなたも理解をしていて欲しい視点です。

採用側は、入職希望者の実務経験をちょっとだけ買います
ちょっとだけです。理由は以下の通りです。

ちょっとだけの理由
1.面接で人間性や仕事力が全てがわかるわけではありません。
2.家庭の事情や余程の理由がない限り、エース職員は退職しません。
3.前の職場をなぜ退職したのか。
4.また退職されるのではないか。

実務経験と実力はイコールではありませんから、実務経験よりも疑いの目で採用面接をするはずです。
さらに、実務経験○年目という、未だに蔓延するこの考え方が転職者にストレスをかけます。

例えば5年目で求められているものはなんでしょうか?
・バリバリと現場の業務ができる
・後輩にも少し指導ができる
・前の職場での経験を、次の職場に良い点だけ応用して欲しい

5年目というだけで、このくらい共通感覚はあるのではないでしょうか。

退職を希望された部下がバリバリ仕事ができるならば、この重圧は全く問題ないと思います。

しかし、仕事に対する責任や人間関係のもつれから退職を希望する場合に、実務経験がのしかかる重圧がある事も、期待する部下が退職希望する場合は伝えて欲しいと思います。
(人間関係による退職は解決しにくく、非常に難しいものです)

転職する時にはお金と責任を天秤にかける必要がある

6-2天秤にかける図

前項でも説明しましたが、転職すると人間関係を再構築する必要があり、発言力はなくなります。

中間管理職として1人の人間育成として、明確な退職理由を考えさせる必要があります。

どうしても退職希望を出す部下は、辞める大前提で中間管理職へ相談します。
考えてみて欲しいと伝えても、すでに盲目な状態かもしれません。

もうすでに部下自身の進みたい方向へ進み、内定を決めた状態で退職届を出す部下もいますが、その場合は応援してあげて欲しいと思います。

問題なのは自分の進むべき道筋が決まっておらず、辞めてから就職活動をしようかな、何となく今をリセットしたい、そんな感覚での退職です。

ダメとは言いません。
令和の時代、退職も一つの選択肢です。

採用側の法人からすれば、新人と数千円しか基本給の変わらない人材であり、社会人としての初等教育が終わった状態の人材が手に入るならば、「ラッキー」くらいなものです。

しかし明確な理由のない退職は、次の職場の面接に受からない可能性も秘めています。

面接をする立場でお伝えすると、
「前の職場をなぜ退職したのか?」
は必ず聞きたい質問です。

明確な理由がなく、ふわふわした内容を面接で回答された後で
「就職したい理由は、御社の社風が・・・」
と言われても絶対嘘だってわかります。
取り繕っても、理由のない退職をされたんだなという事はわかります。

だからこそ中間管理職が退職前に退職理由を明確にして欲しいと思います。

明確にするメリット
1.やっぱり退職はしないとなるかもしれない
2.退職しても再就職に繋がるように思考が整理される

2はメリットか?と言われそうですが、現在は、あなたの部下である以上、人材育成は中間管理職の仕事です。

部下の人生を棒に振る事をさせてはいけません。

部下に退職の気持ちを作ってしまったと言う事実は、組織構造だけでなく、中間管理職も反省するべき点はあります。

なので
辞める直前までしっかりと人材育成して欲しいと思います。
是非、上図の天秤の絵を描いて、具現化してから説明して下さい。

もし辞めないから年収を上げて欲しいと言われたら・・・

「もし」と書きましたが、結構あるあるです。
年収を上げてくれと言われて、中間管理職にはどうする事もできないでしょうか?

当然、基本給を中間管理職のさじ加減で上げる事はできないと思います。

中間管理職のできる事は2つです。
1つ目
圧倒的な仕事量と仕事の質と言う結果を出していると中間管理職が判断するにも関わらず、基本給が上がっていないのであれば、管理職に相談するべきです。
(正直、お会いした事はないです。上記の部下は、既に会社がちゃんと評価しています)

2つ目
何故その部下の給与が(希望額通りに)増えないか、どうすれば基本給が上がっていくのか、はたまた、医療のお金の入る仕組みを含めて教えてあげて下さい。

部下「私がこんなに頑張っているのに給料が上がらないから辞める」
きっと次もこの理由で退職します。
頑張るだけでは売上は上がりませんし、何より皆頑張っています。

退職者に聞くお金に関する3つの質問
自分の売上が毎月いくらなのかを理解しているのでしょうか?
そのうちの約何%を給与としてもらっているでしょうか?
会社から人件費の割合を上げたいと思わせる事をしているでしょうか?

この上記の3つの質問に回答できて退職希望をするならば、きっと転職は成功すると思います。
辞めないから給料を上げてくれで、給料を上げたら全スタッフが同じ事をします。
(正直、私も言っちゃうかもしれません 笑)

そう聞かれたら、中間管理職としてうろたえず、3つの質問を聞いてみて下さい。
まずはじっくり話を聞く事から始まります。

番外編)4月以外に転職した場合の給与について

お金の事を考えて退職を希望する時に、
何月に退職するのか?は非常に重要です。

退職の多い時期は、6月or7月、12月、3月です。
年度末か夏冬のボーナスを受けてから退職する、ケースが多い傾向にあります。これは何となく予想がつきますよね。

しかし、12月に退職希望があり、現在の給与で満足していないケースでは、中間管理職として説明しなければいけない事があります。

12月で退職しても、概ねの医療法人で夏のボーナスは評価されないケースが多いという事です。

そもそもボーナスが多い、少ないと意見は出ますが、ボーナスはボーナスです。前述していますが、医療法人の業績が悪ければ「0(Zero)円」でも何も言えません、というより、無理ある額をボーナスとして払った時点で倒産するリスクもあります。

200名の職員がいて、冬のボーナス30万円としても
200名 × 300,000円 = 60,000,000円です。
6千万円です。売上が上がっていなければ払えません。

このボーナスをどうやって評価するでしょうか?
大きく項目は3つです。
1.業績
2.貢献度
3.人員として働いた期間
1と2はもう説明不要だと思います。
圧倒的な結果を出していれば、ボーナスで加味される部分があると思います。そのために組織化して、中間管理職をおいているわけですから、圧倒的な結果を出している部下を適切に評価するのが仕事です。

ここで言いたいのは3です。
勤続を1年間した職員と、12月に入職した職員の働いている期間、会社に寄与できた期間が違うのに、夏のボーナスを満額払いたいと思うでしょうか?

きっと社長、病院長、理事長の視点で考えれば、そこは1年間しっかりと勤務に穴を開けず働いた職員にボーナスを渡したいと思うのが普通ではないでしょうか。

つまり、前職場で冬のボーナスをもらって辞めても、次の職場では夏のボーナスが減額もしくは寸志となれば、年収で考えた時にマイナスになるというケースは山ほどあります。

お金が理由で退職する部下がここまで考えて、覚悟を決めて退職なのかを聞いてあげて下さい。

退職の相談を受ける事は、中間管理職のトップクラスに気が乗らない仕事だと思います。
しかし、中間管理職に抜擢されたあなたならできる仕事です。
是非、動画とこの記事を何度も復習して、いつ来るかわからない退職相談に備えて下さい。

退職を相談されたら聞く3つの質問

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閲覧できる動画:【完全版】退職を相談されたら聞く3つの質問

今回は中間管理職について退職を相談された時の3つの質問とその理由について説明しました。
医療関係者の中間管理職に突然させられてしまった方へ、あなたが組織のいなくてはならない存在、つまり、中間管理職のあなたが「会社の関節」となれるよう情報を発信していきます。
ご感想をコメントや下記のお問い合わせメールアドレスよりいただけますと、大変励みになります。
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今回のまとめ
・退職の相談は組織を俯瞰するチャンス
・退職するという事は職場での発言力を失うということ
・退職は選択肢の一つだが、理由がないとまた辞める可能性が高い

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