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絶対の愛(2006)

美しさとともに手に入れた重い罰
異才キム・ギドク監督が欲深い人々にメスを入れる?

『サマリア』(’04年)、『うつせみ』(’04年)、など、独特な映像センスと奇想天外なストーリーで、国際的に高い評価を受ける韓国の異才キム・ギドク監督の作品です。

絶対の愛はあり得るのか? そんな純粋な疑問に寄せるギドク監督の答えは痛烈です。

【ストーリー】
主人公の女性セヒ(パク・チヨン)は、恋人のジウ(ハ・ジョンウ)を深く愛するあまり、整形手術を受けます。時が経ち、自分の顔や体に飽きれば、彼の気持ちも離れてしまうと考えたからでした。
顔を変え、新しい女性スェヒ(ソン・ヒョナ)となって、再びジウと恋人同士になったものの、セヒの心は満たされませんでした。ジウがまだ前の自分に思いを寄せていると知ったスェヒは、再びセヒとしてジウに会い、真実を告げますが……。

永遠に変わらぬ絶対の愛を求めて、整形手術をしたヒロインの悲劇が描かれます。

ギドク監督は過去の作品で、倫理や人の道にはずれた主人公たちに残酷な罰を与えてきましたが、本作のヒロインに下される罰は相当重いです。

韓国で手軽に行える整形手術への批判か、何でも手に入れようとする傲慢で欲深い人間たちへの見せしめか。

ギドク監督の用意した衝撃的な結末に深く考えさせられる作品です。

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本作を観て、キム・ギドク監督の作品にとても興味を持ったのですが、いかんせん、本作が衝撃的過ぎて、他の作品を観る勇気がありません。

観た人に聞いても、「重いよ……」と答えが帰ってくるので💦。ギドク監督に限らず、重い韓国映画はとことん落ち込んでしまいます。

ただ、いつかは観てみたいです。ギドク監督が放つメッセージにとても興味があります。

そんなギドク監督は今年、新型コロナウイルス感染が原因で亡くなられたそうです。まだまだ素晴らしい作品を作ってほしかった――。本当に残念です。


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