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5 幼いながらに 


*【有料】過去と向き合い中。ショックを受けた出来事を思い出す執筆のため、中盤から¥300で公開させていただきます。今後の執筆状況により、増額・減額の可能性もございます。予めご容赦ください。


覚えているのは、西日がさしかかる夕方だった。
ある一本の電話から、私は人が怖くなった。


お星さまはともだち


その頃、祖母ががんになった。元々子供のときから病弱だったらしい。体調が悪く、毎週末に3時間半かけて祖母宅に帰っていた。父の仕事が終わり次第、出発だったので、いつも夜の高速道路を走る。祖父母宅に着くのは真夜中だ。

そのあいだは子供にとっては退屈で仕方がない。けれど、車窓から見える夜空がとても綺麗で、いつまでも追いかけてくるお月さまと、お星さまをずっと眺めていた。流れ星を見ることはしょっちゅうだった。何度も同じ道を走るにつれ、だんだんと、その一番キラキラ輝く星たちに名前を付けていた。
“ピピーちゃん” “ピッピちゃん”と。

そして、祖父母宅に鳴り響く一本の電話。


電話で知った事実


祖母の固定電話は、いつも玄関近くにあった。電話が鳴るたびに少し歩かなければならない距離。祖母の体調が悪く、歩けないため、すぐに受話器を取れるように、その固定電話は、居間に移動してあった。だから、祖母の代わりに電話にでた母の声が、居間にいる私たちにもはっきり聞こえた。

-なぜか母が困惑している。泣いている。
さっぱりわからなかった。
電話を切った母が、怒りと悲しみが入り混じったかのような声で震えている。私は聞かないフリをして、話に耳を傾けた。

どうやら、祖父に何かあったらしい。祖母に母がこう言った。

「お父さんのせいでこんなことになってしまった」


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