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軸がブレなきゃ強くなる

こんにちは。

株式会社プロタゴワークスあかねです。

「自分には自分の、他の人には他の人の価値観とか考え方があるから“もっと効率の良いやり方があるのにな”と思ってもなかなか言えないんですよね」

ある会社の社員さんがそんな話をしてくれました。

聞けば、その会社では“作業の進め方”についての大枠を示したマニュアルがあるけれども、そのマニュアルを作るに至った経緯を知っている人も少なくなって、なんのためにそのマニュアルがあるのかを理解している人もほとんどいないとのことでした。

冒頭の話をしてくれた社員さんは周囲の方々よりも社歴が長いらしく「○○をするならこうした方がいい」というのを感覚的に理解はしているとのことでしたが、それはあくまでも“自分のやり方”と考えているようで、そのやり方を自分以外の人に伝えるというのは、相手の価値観や考え方を侵害することになると捉えているようで、そういうことはあまりしたくないとのことでした。

ただ、「もっと効率の良いやり方があるのにな」と思ったことを伝えなかったことによって起きた“ミス”や“ロス”については、「自分が思ったやり方を伝えてその通りにやっていたらこのミスもロスも起きなかったんだろうな」とも思っているとのことでした。

その話を聞いて、「確かに、そういう教え方もあるのかもしれないなぁ」と納得する部分もありましたし、もし仮に僕がその会社に入社した若手社員で「仕事ってそうやって覚えるもんだろ」と言われたとしたら「そうかもしれない」と思ってしまうかもしれません。

とは言え、それによって起きたミスやロスはその仕事をするうえで“折り込み済み”で考えられているモノなのかどうかというのは大事なところなんじゃないかと思っています。

もしも、そうやって「まずは“自分なりのやり方”でやってみる」ということが推奨されていて、それをやることで人を育てるという“方針”が決まっているのであれば、その中で発生するミスやロスは最初から“折り込み済み”にしておく必要があって、当然ながらその分の“マイナス成果”を穴埋めするための成果だったりそれをフォローする“誰かの労力”だったりをあらかじめ設計しておく必要もあるわけで、そこまでやってはじめて「まずは、何も言わずに“自分なりのやり方”でやらせてみる」ことがその会社にとっての良いことになるのかもしれません。

だけど、もしもそれが“方針”として決まっているわけではなく、ある程度多数の人達の経験則から導き出されたものでもなく、その時その場にいた誰かの個人的な価値観や考え方から出てきているだけのモノだったとしたら、それは果たして“会社全体のやり方”として上手くいく結果に繋がるんだろうか?なんてことを考えてしまいます。

そもそもから考えてみると、該当の“その業務”に携わっている経験が長く、しかも、"その業務”で成果を出し続けている人でも無い限りは「その人の考え方や価値観があるんだから仕事のやり方は任せる」としてしまうと、「“その業務”で成果を出せるのかどうかはわからない」という状態になり、今までの蓄積も積み上げもない状態でスタートすることになってしまいます。そして、当然ながらミスやロスは発生するのでそれを穴埋めするための余分な成果や余計な労力が必要になりますが、それも「“その業務”で成果を出せるのかどうかはわからない」けどやっていることによって発生してしまいます。

そして、そんな「成果を出せるのかどうかはわからないけど、その人の考え方や価値観があるんだから仕事のやり方は任せる」というのが常態化してしまうと、見るに見かねた人が「そのやり方だとミスが起きるから、こっちのやり方でやりましょう」という真っ当なアドバイスをしたとしても、「いや、自分のやり方でやるんで」とつっぱねたり、場合によっては「なんかイチャモンつけられたんだけどさ」なんて陰口をささやかれるなんてことも起きたりすることになるケースをこれまでにたくさん見聞きしてきました。

そんなことを併せて考えてみると「その人の考え方や価値観があるんだから仕事のやり方は任せる」ということが可能になるのは、いわゆる“守・破・離”の考え方に則ったうえで「“守”がしっかりできていて、必要な成果を出すことができている」ということが客観的に明確になって以降の話になるんだろうなと考えています。

“守”もできないのに“破”や“離”を推奨したり、やってみようとするのは、芸事だけじゃなくてあらゆる事において何の成果も生み出せないし失敗への一本道に決まっているからこそ“守・破・離”なんていう教えが古からずっと語り継がれているんだろうと思っています。

これまたよく言われることですが、“型”を守ることからはじめ稽古を重ねて実力がついてから“破”に移行するからこその“型破り”であり、“型”を守ることもできなかったり、そもそも“型”すら存在しないのならそれは“かたなし”になっちゃうので、どんな仕事であっても、どんな組織であっても、まずは“型”を守ることをみんなで徹底していく。そのために、もしも“型”が無いのであれば基本の“型”を作っていくところから始める必要があるのかもしれません。

「自分には自分の、他の人には他の人の価値観とか考え方があるから“もっと効率の良いやり方があるのにな”と思ってもなかなか言えないんですよね」

組織の中で“こういうこと”が起きていたとしたら、そこには必ず「なかなか表立って認識することのできないミスやロスが存在している」ということでもあるはずなので、それがそこかしこで、色んな人の間で起きていたとしたら、“目的”に近づいていく
ことは想像している以上に時間も手間もかかってしまうのかもしれません。

なぜなら、この場合では最重要視されているのが“個人の価値観や考え方”になってしまていて、“組織の考え方や軸”のようなモノがどこにも存在していない状態になってしまっているからです。

組織で仕事をする以上は、大前提として“組織の目的・目標”を達成するための成果を出すことが必ず求められます。その大前提を握ったうえで、許容される限度の範囲内で“個人の価値観や考え方”を発揮することが可能です。それが「組織に所属して仕事をする」ということでもあるわけです。

現状での困りごととして冒頭の話をしてくれた方にとっては「何をいまさら」というようなことかもしれませんが、「組織とは何か?」や「仕事をするとはどういうことか?」などについて、同じ組織で働く人たちと一緒に深く深く考えてみるタイミングがやってきているんじゃないだろうか?なんてことを、話を聞きながら感じました。


あかね

株式会社プロタゴワークス

https://www.protagoworks.com/

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