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比較のよいとこわるいとこ

こんにちは。
株式会社プロタゴワークスあかねです。

「おかげさまで、ここのところ社員からの不満が無くなってきたんですよ」

先日、ある企業の経営者の方から感謝の念とともにそんな話をしていただきました。

その企業では、これまで“組織の人間関係”に起因する何かしらの問題が起きる度に社長自らがその“人間関係の問題”に奔走していました。

これまでに起きた問題を洗いなおしてみるとどうやら全てが「組織内に客観的な基準がほとんど存在しなかった」ということが原因だったことが明らかになりました。

そのため、まずは経営者と一緒に組織内の“経営理念づくり”を皮切りに組織内の“基準づくり”を進めていました。

とは言え、その間にも様々な“人間関係の問題”が起きる度に社員さんから個別の相談が幾つも挙がってきていて、ただでさえ忙しい社長が困っていたところ、ウチに『外部メンター』としての依頼をいただきました。

そうして、1か月に1回全社員さんとの1on1をやらせてもらって数か月が過ぎたところでした。

外部メンターでそれぞれの社員さんの話を聴かせてもらっていると、確かに社長が言っていたような“人間関係の問題”が起きているのは間違いありませんでしたが、それらの話をそれぞれ個人に対して深掘りして聴いていくと、それらの原因は「仕事をする中での判断基準が“客観的なモノ”ではなくて“個人の主観”になっていたこと」だったのと、もう一つ、「各自が“仕事”をする上で抱えている不安があったこと」が明確になりました。

「仕事をする上で“不安”を抱えていると、その“不安”がいつしか組織や仕事に対しての“不満”に変わっていく」

そんな事例を僕も仲間もこれまでに数えきれない程たくさん見聞きしてきました。

逆に言えば「不安が無い状態で仕事ができていると不満を感じる瞬間はずいぶんと減っていく」とも言えますし、実際に、仕事上での“不安”を解消するためのサポートをすることで表出する“不満”がずいぶんと減ったケースはこの企業だけでなく、これまでにたくさんありました。

とは言え“不満”を外側からの関りでゼロにしてあげられるかと言えばそれは不可能です。

そもそも、人が感じる“不満”は「今現在の自分自身と“誰か・何か”を比較すること」によって発生します。

その比較対象は“過去の自分の環境・待遇・体験など”や“家族・親族”や“友達”や“知り合い”などの身近な人から、全く知り合いでもなんでもない“芸能人”や“ネット上のインフルエンサー”、そして最も遠いところだと、ネット上で見かけただけの“つぶやき”や真偽不明の誰かの“書き込み”や“ネット記事に書いてあったこと”など。それらと、“今現在の自分自身”を比較することでその人の中に勝手に湧き上がって来るモノが“不満”です。

なので、不満を感じている本人以外の誰かが「“不満”を無くす」ということを考えたり行動したりするのは無理筋だと考えています。何しろ、その人が自分自身と比較しているのが何なのかは他者からはわかりませんし、仮にわかったとしても「比較するな」と言葉で言うことしかできず、言ったところで「“なにか”と自分を比較する」ということをやめてくれるわけもなく(もし、言うだけでやめてくれるのであれば最初から比較なんてしないでしょうし)、そもそも、「自分自身が“なにか”と自分を比較している」ということを自覚していて客観的に認識できている人は、そもそも「比較なんてしても無意味だし自分にとって良いコトなんて何もない」ということがわかっているんじゃないかなと思っています。

そんな風に考えているので、冒頭の言葉をかけていただけて「感謝されて嬉しい」という気持ちはありましたが、あくまでも“不満”が出なくなったのは恐らく“今だけ”だと考えた方が妥当であろうことや、恐らく今後“組織内の基準”が出来上がっていって実施してもらうことが出てくるとまた“不満”が湧き上がって来る可能性があることなどについて話をさせてもらいました。

とは言え“少し前の組織の状態”と比較すると明らかに「組織の状態は良くなった」と経営者も感じているし、外部の僕たちから贔屓目無しに客観的に観察してみても同じように感じています。

今のこの状態になったのも、ウチが実施した『外部メンター』というサービスのおかげということではありません。

それよりも、経営者が真剣に“経営理念づくり”に取り組んだことで、それまで経営者の内側にだけあった“この会社でこの仕事をする上での基準”が客観的に捉えることができるようになったことや、その“基準”に則って社員さんが“仕事”について考えることができるようになったことが最大の要因であることは間違いありません。

そして、そんな“客観的な基準”に沿って考えるためのキッカケや考える道筋についてを、外部メンターとしてほんの少し後押しさせてもらっただけです。

なので、ウチが実施する『外部メンター』での1on1をしたからと言って、もしもこの経営者が「1on1を外注したからこれでもう安心だ。俺は何もしないぜ」なんて状態だったとしたら、どれだけの回数1on1を実施したところで、どれだけのお金をかけたとしても、当然ながら社員さん達の“不安”は解消されないでしょうし“不満”はさらに募るだけだったんだろうと思っています。

逆に言えば、経営者が「組織を本気で変えたい」と思って行動するのであれば、そしてその行動が“正しい取り組み”であって“必要なこと”を実行するのであれば、間違いなく「組織は変わる」と言えますので、例え今の組織が“どんな状態”であったとしても「諦める必要なんて全く無い」と断言できます。

だから、

「おかげさまで、ここのところ社員からの不満が無くなってきたんですよ」

というお話をしていただけるのは嬉しい限りですし、一旦その言葉を真摯に受け止めてじっくり味わわせていただきます。

そのうえで、外部の第三者として関わらせてもらっている僕たちとしては、“大変なこと”に日々取り組んでいるその経営者に対して同じように感謝を感じています。

「おかげさまで、この世界から“働くこと”に対して不安や不満を感じる人が減ってきたんですよ」

今後も、今のこの状態を継続できるように“変化する日々”に置いていかれないように変化しながら“働きやすさ”を実現し続けていきましょうね。その際には、是非とも「“過去の組織の状態”と”今の組織の状態”を比較すること」をしながら観察していきましょう。

もちろん必要とあれば、いつでも全力でサポートしますので。



あかね

株式会社プロタゴワークス

https://www.protagoworks.com/

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