それが起きてる本当の理由とは
こんにちは。
株式会社プロタゴワークスあかねです。
「とにかく人手不足で忙しいんですよね」
ウチが組織開発で関わらせてもらっている中小企業の社員さんに“課題感”について話を聞かせてもらうと“必ず”と言っていいほど、この話題が出てきます。
“必ず”出てくる話題なので、僕も“必ず”と言っていいほど聞いてみるのが、
「人手不足が解消されると忙しさは解消されるんですか?」
という“問い”かけです。
それについての“本当の回答”は人によって様々に変わりますが、多くの人の第一声は「多分、人が増えたら解消されますね」というニュアンスの内容が“必ず”と言っていいほど返ってきます。
でも、その第一声の回答が「“本当の回答”ではないだろうな」というのは、これまで何度も体験したり観察したりしてきた様々な事象によって概ね推察できたりします。
なので、「多分、人が増えたら解消される」というような回答があった場合にはその後に投げかける“問い”を幾つか用意していたりもします。
その中の一つがこういう“問い”です。
「今このタイミングで、全くの未経験で知識も技術も全く無い人が入ってきたとしても“忙しさ”は解消されるんですか?」というような“問い”です。
当然ながらこの“問い”に対しての回答も千差万別ではありますが、それでも冒頭の話の流れとは“別の流れ”が発生してくることがほとんどです。
なぜなら、「“全くの未経験で知識も技術も無い人”が今の状態のチームに入ってきたとしたら?」という想定を“当たり前”のようにできるとしたら、「過去に“そういう経験”をしたことがある」か「マネジメント経験がある(マネジメントについて常日頃から考えている」ということが必要になってくるからです。
ただ、逆に言うと「過去に“そういう経験”があるorマネジメント経験がある」とすると、「現状の忙しさを解消するためには何が必要か?」という“問い”を立てて考えた時に、「知識も技術も無い未経験者が人手として来てくれること」だと考えることは難しいだろうと想像できます。
「知識も技術も無い未経験者」がチームに加入するということは、確実に発生するのが“育成”です。
つまり、とても単純に考えると「人手不足で忙しい」という今この瞬間に直面している“忙しさ”に“未経験者の育成”という業務がプラスされてくるというのがハッキリ見えてくるわけです。
もっと言えばこの“育成”というのは、どれだけ「同業他社での経験があります」とか「その仕事に必要な資格を持っています」と言ったところで、“その組織・そのチーム”の中で“その仕事”に取り組んだことがなければ“即戦力”になることはハッキリ言って不可能です。
何しろ、“その組織・そのチーム”で「成果を出す」ということをするためには、そこで重要な“コツ”や“前提知識”というものが必須であるわけですし、それらの知識や情報も「実際にやってみる」ということでしか「本当に役に立つモノなのかどうか」というのは検証のしようがありません。
もしも「“即戦力”になった」という事実が起きたんだとしたら、それはその人が個人的に“能力が高い”ということだったのかもしれませんし、そうでなければ「運がよかった」ということだったのかもしれません。
そうやって考えてみると、「人手不足を解消するために、人を採用する」というのは“現場の困りごと”を解消するためには間違っているわけではありませんが、「その“採用”ということが即座に直接“困りごと”の解消に繋がるわけではない」ということでもあるわけです。
“人手不足”という“現場の困りごと”があったとしたら、それを解消するために“採用”をしたとしても、その後に“育成”という時間をかけて確実にやらなければならないコトが存在しています。
それができてようやく“人手不足”という“困りごと”を解消するための直接的な取り組みが可能になってくるわけです。
つまり、今この瞬間に「とにかく人手不足で忙しいんですよね」と感じている“現場の課題感”があったとしても、「じゃあ、すぐに人を採用するから人手不足じゃなくなるよね?」という対応というのは、明確に“解決策”ではないということがハッキリします。
もちろん“採用”も“育成”もずっと続けていく必要がある取り組みなのでやっておくべきだとは思います。
ただ、今この瞬間に「とにかく人手不足で忙しい」が存在しているのであれば、今この瞬間の“採用”が解決策ではなく、今この瞬間の“忙しさ”が何によって起きているのか?どんなことが影響して発生しているのか?
それらについてしっかり観察して分析して「本当の“忙しさ”の要因」を明確にした後で、その「本当の要因」に対しての有効なアプローチをしていかないと根本的には「忙しい」がずっと続いていくだけなのかもしれない。そんな風に考えながらサポートに関わらせてもらっています。
「とにかく人手不足で忙しいんですよね」
これを例えて言うなら、「とにかく運動不足で太っちゃってるんですよね」という状態に似ているのかもしれません。
太っているのは本当に運動不足なだけですか?
それなら運動を始めれば痩せていくんですか?
でも運動ができるのであればもうやっているんじゃないですか?
なぜ運動をしていないんですか?
太る原因である“カロリー摂取”については要因になっていないんですか?
などなど、様々な“運動不足”以外の部分での「太っちゃってる」原因についての可能性が幾つも推測されるんですが、なぜか「運動不足で~」と原因を確定させてしまって“思考停止”に陥ってしまっています。
正しい“問い”を立てて、その“問い”に対してしっかりと“考える”をして、その“考え”について他者と“語る”ができたとすると“思考停止”が解除されて思考が動き出すかもしれません。
そうなれば、“課題”を乗り越えていくために必要な“新しいアイデア”がそこから生まれてくるのかもしれません。その時のその状況とその人に合った何らかのアイデアが。
「とにかく人手不足で忙しいんですよね」とか「とにかく運動不足で太っちゃってるんですよね」なんていう“課題感”とその“原因らしきもの”がありつつも、現実的にそれが何の進展も無くずっとそこに“課題”として存在し続けるのであれば、その“原因らしきもの”は恐らく間違っているんじゃないかと考えられるのかもしれません。
だって、本当に“それ”が原因だったんだとしたら、今も変わらず“課題”が課題としてそこに存在している状態は、その原因がわかっていながら「何も対策をしていない自分がここにいます」という話を、そこにいる誰もがしているのと全く同じことになってしまいますから。
どんな組織やどんな状況であっても「原因がわかっているのに何もしていない自分がここにいる」なんて状態を放置しているとは考えづらいので“課題感”がずっと変わらず存在しているのであれば、それはきっと“原因”だと捉えているモノがズレている可能性が高いということなんでしょうから“本当の原因”についてみんなで考える機会を設けて、みんなで考える取り組みを続けてみると案外とすんなり原因が見えてくるでしょうし、すんなり解決できるんじゃないかなと思っています。
あかね
株式会社プロタゴワークス
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