マイナスをゼロにする簡単なお仕事です
こんにちは。
株式会社プロタゴワークスあかねです。
平日の朝から出社した際には、いつも事務所の中を掃除します。
掃除のメイン作業は、リノリウムの床に“クイックルワイパーをかける作業”がメインです。
ウチの会社は基本的に土日を休みにしているので、金曜日に掃除をしたら、次に掃除をするのが月曜日なので、月曜日の床掃除は結構楽しみだったりします。
「いつもよりもたくさんホコリがとれるかもしれない」
そんな事を想像しながら縦横無尽にクイックルワイパーをかけまくります(実際には、いつも通りの決まったルートを通って8畳程度の広さにかけるだけですが)。
今日みたいに、期待が外れてあまりホコリが取れないとガッカリしてみたり、時には休みをまたいでいなくてもたくさんホコリが取れたりと、いまひとつ法則性は見いだせないまま、2年以上も掃除を続けています。
ただ、いつも思うのは、「どうしてほとんど身動きもしていなかった日の翌日でもホコリがそれなりに落ちているんだろう?」という事です。
部屋の中にはそれほどホコリが落ちてきそうな布製品はあまり見当たりません。最もたくさん置いてある物と言えば本ですが、それすらも毎日本棚から出し入れしているわけでもなく、既に手元に山積みにしている本だけで事足りる日々がよくあるので、本棚の本を移動させない日もたくさんあります。
だけど、毎日、ほんとに少しずつではありますがホコリが積み重なっていくわけです。
それを毎日毎日クイックルワイパーで拭き取っていると、ふと、「これをずっと拭き取らずにいたら、どれくらい積み重なっていたんだろう?」なんて思わずにはいられません。
取れる時はホントにたくさん取れたりするのも面白いですが、こうやって毎日毎日ちょっとずつ床に降り積もっていく僅かなホコリが、どんどん積もっていって、それをクイックルワイパーで一気に拭き取ったとしたら、それはそれは痛快だろうなあなんて事を想像するのも面白くなってきます。
こうやって、毎日ちょっとずつ溜まっていくホコリを取るのは、いわゆる“現状維持”のための取り組みなのかもしれません。いわゆる、「マイナスをゼロにするお仕事」と言えるのかもしれません。
だけど、ほんの少し見方を変えてみます。
そうすると、ほっておいたらホコリが積もっていってそのホコリを起点にして床もいずれは劣化が始まる事に繋がっていくでしょう。そうすると、“劣化が進んで行く”のを、日々の掃除によって“喰い止めている”とも言えるでしょう。
という事は、「劣化が進んでいる状態(になる為の準備状態も含めて)を、回復させている」とも言えるんじゃないのかなあなんて思うんです。
つまり、「マイナスをゼロに戻す仕事」というのは、実は、「マイナス状態をゼロに戻す=欠損した状態を再生(再度生み出すを)する仕事」なんじゃないかなと思うんです。
僕は、その昔、色んな会社で「マイナスをゼロにする仕事」に携わっていました。
例えば、同じ会社の誰かが起こしたトラブルを解消するために、様子を見に行ったり、謝罪に行ったり、現場でそのトラブルを解消したり、などなど。
その当事者から現場で直接話を聞くまでは、一体どんなトラブルが起きているのか全く情報が無いまま現場に赴く事が多かったり、そもそも事前に聞いていた話とは全然別の事実だけで構成されていたりなんて事がよくありました。
そんな仕事をたくさんしていた経験から、「マイナスをゼロにする仕事」は、「自分以外の誰かの尻ぬぐいをさせられる汚れ仕事だ」なんていう風にずっと思ってきました。それについて、「まあ仕方ないか」とか「自分がいないと皆困るだろうな」とか「影のヒーローだ」とか、その時々で色んな解釈をしながら、自分の心が折れないように自分で整えていたような記憶があります。
とは言え、そのおかげで、トラブル対応能力やリスクマネジメント能力はかなり磨かれ、その後に大いに生かせる場面が今でもたくさんあるので今となってはその環境にも感謝はしていますが、その当時は毎度生きた心地はしませんでしたし、自分の能力も低かったのでとにかくストレスフルだったのを思い出します。
だけど、こうやって「マイナスをゼロに戻す仕事」について、今の自分があらためて考えてみた事で、「欠損した状態を再生する仕事」という新しい意味付けが出来るようになってみると、「汚れ仕事ばかりさせやがって」と考えていたあの頃の自分に、「こんな風に考えてみる事も出来るんじゃないの?」なんて伝えてあげたい気分になってきます。
まるで、ケガした箇所が徐々に治っていくような、自分自身の体からすると当たり前に備わっている機能みたいに感じるけど、これだって、自分の体の色んな部分が頑張って治してくれているわけであって、体の全部の機能が「俺は知らねー」ってみんなほっておいたとしたら、結局自分達が死んでしまう事に繋がるからこそ、体のどこかが頑張って修復してくれているわけであって。
じゃあ、そんな機能が「尻ぬぐいの汚れ仕事」かと言えば全然そんな事は無いでしょう。
むしろ、それをやってもらわないと体全体というか“体そのもの”が存在の危機に瀕してしまうわけで、やっぱりこうやって「欠損を再生させる仕事」は、絶対に必要だし、とてつもなく重要なんだなあと思うわけです。
これも“生産”の一つの形に違いないわけですから。
そんな事を考えながら、過去の自分に対して「マイナスをゼロにするお仕事」の意味や価値について心の中で説きながら、今日も明日も、クイックルワイパーでホコリの取れ具合を確認しながら、朝から一人で楽しんでいようと思います。
あかね
株式会社プロタゴワークス
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