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スプーンスローはダメゼッタイ

こんにちは。
株式会社プロタゴワークスあかねです。

「他者に“伝えたい事”を伝えようとした時に、何をどこまで伝えれば良いのか?」

これを考えると、段々と頭の中がこんがらがってくるような感じになる事があります。

伝えたい事柄はたくさんあるけど、そのどれもが個別の事情で存在しているけど、それぞれが微妙に絡まり合っていて、どれも切り離すと話が通じなくなりそうで、かと言って、自分が理解している通りに全て丸ごと伝えたとしたら、話は随分と長くなってしまいそうで、しかも複雑になり過ぎてしまって、結局は“何も伝わらない”なんて事になってしまいそうで、一体全体どうしたらよいのか。

そんな事を考えると、「ああ、どうやって伝えたら良いのか…」なんて途方に暮れて、それだったら他者にそれらを伝える事で“何か”をしてもらおうとするよりも、それらを把握している自分自身でやってしまった方が速いだろうと思うから、他者の協力を仰ぐことが難しくなってしまう。

そんな話が、「マネジメントに困っている人」からはよく聞こえてきますし、そんな状況について、「どうしたら良いですか?」なんて直接聞かれる事も多々あります。

そういう時には、「どうしたら良いかについて正解は無いので、こうしたら良いですとは答えるのは難しいです。それを考えるにあたって、もう少しお話を伺いたいんですが、もし望んでいる事が出来たとしたら、その時にはあなたやその周囲の人達はどんな状態になっていますか?」なんて事を、具体的に聞いてみたりする事があります。

それを聞かせてもらい、更に質問をしてそれにも答えてもらう事で、“その人”が抱えている困りごとが見えてきたり、“その人”が思い描く理想の状態を一緒に共有させてもらう事が、徐々に出来ていきます。もちろん、“その人”一人だけではなく、可能であればそのマネジメントに関わる全ての人の話を聞かせてもらう関りが出来ると尚良いですが。

“その人”は、「どうしたらいいか?」という事を知りたがっているので、こんな関りは一見すると、遠回りに見えるかもしれませんが実際にはこれが“かなりの最短ルート”だったりするんです。

なぜなら、回答の通りに「正解は無い」し「こうしたら良いと答える事は難しい」というのがその時点での現状です。なので、“その人”が身を置いている“状況”や“環境”や“感情”や“思考”について共有する事で、その固有の「どうしたら良いか?」について一緒に考えるための材料が揃い始めて来るわけです。材料が揃ってくると、「どうしたら良いか?」というHOW型の問いに対しての方策を考える事が容易になってきます。

もちろん、「材料が集まってくる」とは言っても“直接的な材料”が集まってくる場合ばかりではありません。

例えば、“間接的な材料”として、「○○は在るが、それだけだと“目的”を成し遂げるには色々と足りないし、その不足が補われないと前に進めない」なんて事が明確化される場合がよくあります。

例えて言うなら、家づくりをするために材料を揃えていたら、土台部分と柱と屋根の材料は揃ったけど、梁の材料が足りない事に気が付いたから、次の課題は「どこからどうやっていつまでにどんな梁の材料を調達してくるか」が明確になるみたいな感じが、上で言う“間接的な材料”が集まるイメージかなと思っています(もちろん、その逆として、土台・柱・屋根の材料が集まるのは“直接的な材料”が集まるイメージです)。

そんな事が出来てくるようになれば、「マネジメントをどうしたらよいか?」という問いは徐々に形を変えていって、“その人”“その場”“その状況”などを踏まえた個別の問いが主流になってきますし、そうなってくれば、それはマネジメントが進んでいるという事なので、「役に立つマネジメント」をゼロから形作る時期はとっくに過ぎていって、「“その組織”に合わせた役に立つマネジメント」を続けていく状態になっているんじゃないかなと思うんです。

以前から書いているんですが、僕は組織開発もマネジメントも“トレーニング”と同じようなモノだと捉えています。

例え“良いカラダ”になったとしても、そこで安心してトレーニングを止め、食事制限をせずに食べたい物を食べたいように食べる生活を続けていれば、その体は(個体差はあれど)必ず“良くないカラダ”に変わっていってしまいます。これはもう仕方の無い事です。“良いカラダ”で居続ける為には、トレーニングを続けて食事の管理も続ける事が必要です。

それと同じく、“良い組織”や“良いマネジメント”をしていくには、「“その組織”に合わせた役に立つマネジメント」を継続する必要があるわけです。

その為には、上で書いたような材料が必要ですし、その時その場で“役に立つマネジメント”を考えて実行するという事が必要です。

そんな役に立つマネジメントの一つとして、「他者に“伝えたい事”を伝えようとした時に、何をどこまで伝えれば良いのか?」という困りごとの相談を先日受けた際に、「こんな方法も有効だったよ」という、これまでの実践の中で実際に役に立った手法としてお伝えしたモノの一つを紹介してみます。

それは、「“目的”と“文脈”と“良い例・悪い例”を、本来の“伝えたい事”と併せて伝える」という内容です。

言うまでもなく、とても当たり前の内容です。

そんな当たり前の事なんですが、そもそもの困りごとが「“伝えたい事”を伝えようとした時に、何をどこまで伝えれば良いのか?」という、つまるところ、「相手に、どうやって“伝えたい事”を受け取って貰い、その伝えた事を、実際の行動にしてもらえるのか」という事に尽きるんだと思うんです。

その“伝えたい事”を伝える=“実際に行動を起こしてもらう”ために、“目的”によって“何のため”なのかを明らかにし、“文脈”によって“伝えたい事の前提や周辺”を明らかにし、“良い例・悪い例”によって“ガイドライン”を明らかにした上で、行動として取り組んで欲しい内容を伝える事によって、より正確により明確に“伝えたい事”を受け取ってもらって、実際に行動を起こしてもらうように働きかける事が出来るんじゃないでしょうか。

一度発信した内容を“どう受け取られるのか”は、発信した瞬間以降は、全て受信側に委ねるという事に他なりません。

そこから先は、“何”が“どう”受け取られたとしても、その受け取って解釈した事について直接的に何らかの働きかけをする事は出来ません。出来るとしたら、再度あらためて発信をして、受信側の受け取った内容を上書きしようと働きかけるという、その直前までとはまた違った働きかけが必要になってきます(そして、また発信した内容を、意図通りに正しく受信してもらえるかどうかは相手に委ねる事になってきます)。

であるならば、“発信するまでの工夫”や“発信する内容の工夫”などの仕掛けが必要になってくるのは、どうしたって必然です。


と、こんな話を実際にしたわけですが、そうすると「いやあ、大変だよね…」という感じのしみじみとした感想が返ってくる事がよくあるんですが、実際のところ、大変です。

だけど、「この“伝え方”だと伝わらないだろうなあ」と思いながら、いつも通りの伝え方を駆使して、いつも通りの“伝わらなかった”という事が明らかに分かるような反応が返ってくるというのも、大変と言えば大変なんじゃないかなと、第三者からすると思ったりする事がよくあります。

どちらにしてもせっかく“頑張って取り組む”のであれば、“結果が出ない”よりも“結果が出る”方がよっぽどいいんじゃないかなと思うんです。

一生懸命やって“良いカラダ”にならないよりも、一生懸命やったらしっかり“良いカラダ”に変わっていきます。

もちろん、トレーニングの効果はちょっとずつしか目に見える変化としては現れないけど、狙った部位に狙った刺激を与えられるという意味での“正しいトレーニング”と、成長に必要十分な“適切な栄養とカロリー”があれば、体の内部ではトレーニングを続ける限りずっと変化が起こり続け、必ず確実に着実に“良いカラダ”に変わっていきますし、組織開発もマネジメントも、トレーニングと同じように“正しいモノ”であるならば、変化は当然起こります。逆に言えば、変化が起きないという事は、“その刺激”も“その栄養”も、適切なモノでは無いという事が言えるでしょう。

だから、変化の様子を見ながら、刺激も栄養も様子を見ながら、長い目で“成長という変化”を見守っていくという姿勢が必要ですし、ずっと継続していくという取り組みが必要ですし、結局は「成るまでやり続ける」という覚悟だったり、決意だったり、行動をし続けるという習慣化だったり、惰性に陥らないように気を配るという細かさだったり、思うように成長しないからと言ってヤケを起こさず大きく構えるという事が必要になってきます。

そんなところも、「トレーニングと同じだなあ」と、いつも感じるところです。

“正しく適切に”関わっていれば、必ず変わります。

だから、諦めないで取り組むという事が一番重要なのかもしれないと思っています。

諦めないで関わっておく事が、いつか忘れた頃に、全く想像もしていなかったような驚く程の変化を伴ってくる。そんな経験を、僕たちはこれまでに何度も身を持って味わってきました。

だから、いつも組織開発で関わる皆さんには、こんな事を伝えます。

「諦めないで関わり続けて下さい。諦めないで取り組み続ければ、必ず変化はやってきます」

「それと、」

「僕たちが関わらせてもらう限りは、その組織の誰が諦めたとしても、プロタゴワークスが絶対に諦めませんので、そこだけ予めご了承下さい」


こうやって書いてみると、“対話ベースの組織開発”というよりも“諦めの悪さ”の方がウチの売りなんじゃないかとさえ思えてきました。


であれば今後は、こう言っておいても良いかもしれません。
勝ちか負けかは分かりませんが。

「諦めません。成るまでは」



あかね

株式会社プロタゴワークス

https://www.protagoworks.com/


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