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X-Pro3の魅力〜デジタルでフィルム的に楽しむということ〜

いつかはくると思っていた


https://digicame-info.com/2023/01/x-pro3-12.html


X-Pro3という愛用するカメラがとうとう生産終了となったようだ。
X-Pro3とはどういうカメラなのか、説明しようと思うと簡単なようで難しい。やや長くなってしまう。


カメラ好きの界隈では知らない人はいないであろう記憶カメラさん(noteもブログもTwitterもあるのでぜひ見てください)の記事リンクの写真を見て貰えばわかるかも知れないが、このカメラはデジタルカメラには必ずついている背面液晶が普段は隠れており、パカりと開かないと見れないようになっている。
そして、普段の背面には、フィルムのパッケージを模したカラーメモリ液晶があり、まるで昔のフィルムカメラのような佇まいをしている。

ファインダーも独特だ。
X-ProシリーズはファインダーがOVF(ガラス越しで被写体を見て、レンズによって変わる枠の中に収めて写真を撮る)とEVF(レンズから入ってきた光をセンサーが映像に変換したものをそのまま見れるもの)をレバーで切り替えられる「ハイブリットビューファインダー」というものが一つの売りになっている。
OVFはガラス越しで被写体を見ているだけのため、シャッターを切った際にちゃんと撮れているかは実際にデータを確認しないとわからない。失敗したくない時はEVFに切り替えればちゃんと撮れるといえば撮れるというわけだ。

背面液晶は隠れている上、OVFで撮影すると結果もすぐにはわからないため、写真を確認するのに必ず一手間かかる。
「いちいち写真がどう撮れたか確認するんじゃなくて、常に前へ前へと次のシャッターチャンスを求めて進んでいってほしい。」というフィルムカメラの体験をデジタルカメラで再現するという目的のもと、これらは意図的に設定されている。

これはPro3が発売させる前に、テックメディア「ギズモード・ジャパン」のインタビュー動画で語られている。リンクを張っておくのでご興味があればぜひ見ていただきたい。

背面液晶がどうなるのか

さて、こういったカメラが生産終了するのは仕方がないことだと思っている。
すでにFUJIFILMは第五世代機種が主流になってきており、X-Pro3は第四世代と一世代前、世代交代し性能が向上したものを売っていくのは自然な流れだ(職業的に言えば資本主義的な流れとしても自然と言うべきか)
つまりは、性能向上した後継機種、X-Pro4が出てくれればいいのである。

ただし、単に性能が向上してくれればいいのかというとそうではない。
問題は背面液晶だ。

巷ではあの背面液晶が「押し付けがましい」という声もあるようだ。デジタルカメラなのだから、撮ったものは結果をその場で見たい。それを使いづらくするのはコンセプトの押し付けである。ということなのかもしれない。
まぁそれはそうかもしれない。しかしながら、自分はこの押し付けがましいと言えるような仕様に惚れ込んでしまっている。


FUJIFILM X-Pro3
XF 50mm f1.0 R WR
Classic Neg.

これは新宿のイルミネーションと行き交う人々をスナップして歩いていた際の一枚だ。
OVFで撮っていたこともあり、露出はかなり当てずっぽで、ただひたすら動く人を切り取ろうとシャッターを切っていた。データは帰ってからSDカードをタブレットに挿して確認した。
そこでこの一枚と出会った。
その場で結果を見ながら撮っていたら、おそらくこの一枚は撮影できていなかったんじゃないかと思う。被写体は奥を狙っていたが、子供さんが入ってきたこともあり大きくブレている、意図したものとは違うので失敗といえば失敗かもしれないけれど、これはこれで悪い写真とは思わなかった。

このあとで見返して「あ、この一枚いいな」と思う感覚は、まさにフィルムカメラの体験に近いと思った。
意図した写真を撮ろうと思えば簡単に撮れるのは、確かにデジタルの強みだと思うのだが、こうした偶然性に身を委ねて、あとで出来上がりを見て楽しむという、撮影から仕上がりを見るまでの体験を作ってくれるのはX-Pro3だけだし、そのためには背面液晶が隠れいている=あえて使いづらくなっていることが重要なのではないかと思う。

それぞれキャラが違うカメラがあるからいいじゃないかな

これはFUJIFILMの商品企画の上野隆さん(最近はめっきり露出が減って少し悲しい)がどこかのインタビューで「全てのカメラを形が違うだけのものにはしたくない」という趣旨の発言をしていた気がする。
今のFUJIFILMのカメラは、X-H2シリーズという動画も写真もいけるフラグシップ、X-T5という写真に特化したフラグシップが第五世代機種として発売されていて、どちらも手ぶれ補正が入っている。暗いところでもブレた写真が出来づらいというわけで、H2シリーズはプロユースにも耐えるし、作品を作りたいアマチュアフォトグラファーにとってもT5は素晴らしい完成度だと思う。
でも、ここまで揃っているならば、X-Pro4が仮に出るとすればもっと尖った方向に、趣味性を極めた方向に進んでいってほしいと思う。その尖りこそが自分には確実に刺さるような気がする。
失敗したくないのであれば、T5やH2を買えばいいけど、失敗すら楽しめるような、むしろあえて失敗できるカメラというのもあっていいと思う。失敗したくないと肩に力を入れず、失敗したってまた次があると前へ前へ進んでいくようなカメラの方向性で、ぜひ進んでいってほしいなと思う。


FUJIFILM X-Pro3
XF 50mm f1.0 R WR
ASTIA
街撮りをしている時、どうも二人組や複数人の後ろ姿、それも幸せそうだったり楽しそうな後ろ姿をよく撮っている気がする。
FUJIFILM X-Pro3
XF 50mm f1.0 R WR
Classic Neg.

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