鍵っ子だった頃の話
大学進学を機に一人暮らしを始めるまで、私は団地に住んでいた。親は遅くまで働きに出ていて、学校から帰って一人で留守番をする…いわゆる「鍵っ子」だった。特段珍しい存在でもなく、幼い頃は特に危機感すらなかった。
地元は絵に描いたような田舎だ。畑、海、山、空き地、廃屋…錆と土と潮の匂いのする、ほとんど村と言っていいところ。息苦しいほど時がゆっくりと流れているような、そんな空気すらある。そういう空気も手伝って、危機感というものを感じにくかったのかもしれない。
かつては全国的なニュースに