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【国際政治】岸田首相のキーウ訪問の衝撃、世界に「鉄のカーテン」が下りたこ

この記事はニュースサイト・赤羽プリンシパルタイムズ(AkabanePT)から転載しております。
記事本編はこちら→ http://www.worldwatchnews55.com/akabane2023/archives/1122

岸田首相のキーウ訪問は英チャーチル元首相の「鉄のカーテン」演説並みの迫力があった

日本のメディアはもっとしっかり岸田キーウ訪問を報道すべきだ

 日本国内ではWBCで日本が優勝したことで報道が持ち切りだが、21日の岸田首相のウクライナ訪問は歴史的に重要な意味をもつということをもっと国内で報道してもいいかもしれない。

 これまでも米国のバイデン大統領や英国のジョンソン元首相(当時は首相)、仏国のマクロン大統領、独国のショルツ首相らなど欧州や北米の国々は相次いで訪問してきたが、多くのアジア諸国は地理的な距離感もあって、政治的な声明を出すことはあっても直接現地に首脳級が訪問することはほとんどなかった。

 そんな中、極東アジアのG7(主要・先進7か国)のメンバーである日本がわざわざウクライナへ赴いたというのは欧米諸国やウクライナ国内、そしてロシア国内でも大きな驚きをもって報道されている。

岸田首相の無意識の「宣戦布告」?


 加えて同時期に別のアジアの大国、中国の習近平国家主席がウクライナの戦争相手国のロシアを訪問していたこともあり、自由・民主主義陣営の日本・ウクライナと独裁的・権威主義的な中国・ロシアという構図が再現されていた。それはまさに、1946年3月5日のウィンストン・チャーチル元首相の「鉄のカーテン(iron curtain)」演説を彷彿とさせるような、世界の分断と2つの陣営が対立する構図を浮かび上がらせた。岸田首相が今回の訪問を意図的に中国の習近平主席のロシア訪問に合わせたわけではないとは思うし、実際国内の議会対応や選挙日程でこの数日しか予定が空いていなかったというのだから、偶然は怖いというか真実は小説より奇なり(Truth is stranger than fiction.)である。

一方で隣国の中国ロシアとの関係など課題も…

 ただ日本として海の向こうの隣国のロシアと中国との関係をどうしていくかも考えなければいけない。日本企業はロシア極東のサハリン(樺太)で「サハリン2」のLNG(液化天然ガス)の採掘プロジェクトに参加しており、日本で使用される天然ガスのある程度の割合をまかなっている。また、日本近海での軍事活動も活発化させていて、岸田首相のウクライナ訪問が世界に伝わると同時に、日本海上空に核兵器搭載可能な長距離戦略爆撃機ツポレフ95を2機飛行させている。

 中国にも顔に泥を塗る形となった。中国はロシアを上回る米国と対峙する超大国として、ロシアとウクライナの和平を仲介することを習近平国家主席のロシア訪問の主要な目的としてきた。それが、岸田首相の訪問でかえって、中国はロシアの同盟国で最大の支援者であることにクローズアップされてしまっている。中国政府の外交部門も余計なことをするなと言わんばかりに日本をけん制している。

 日本として、ウクライナ訪問を通じ、ある意味ルビコン川を渡るような後戻りのできない歴史的イベントに立ち会っている。アメリカやヨーロッパの人権の尊重や民主主義・自由主義などの価値観の西側諸国が、権威主義・独裁体制の国家の中国やロシアなどの国々が激しく衝突する混沌とした国際秩序を日本として受け入れざるをえなくなった今、安全保障から経済、資源エネルギー問題まで様々な問題に正面から国会やメディアなどを通じ議論を深める転換点に立っているのではないだろうか。                               (2023年3月23日 赤羽PT編集部)
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