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はれときどきぶたを読んでた僕はもういない。

これは2019年2月14日の出来事である

もの凄く勢いのある毎日を過ごすより、もの凄く遅くて楽な毎日を好む。

適度の疲れも重要だけれど、疲れないことも重要。「もっと楽に生きていければ」と誰でも一度は脳裏を横切りその瞬間の空虚を知る。

仕事を終え、2018年夏に購入したスズキ クロスビーに乗り込む。ハンドルを握る手の感覚にはもう新鮮さはない。僕を自宅まで運ぶためだけのもの。

YouTubeの動画を流し観るように車窓から見える景色をやり過ごしていく。

アクセルを踏み込む感覚、ハンドルを切る感覚、息をする感覚、目をパチパチする感覚、すれ違う車のブオンというくだらない音。どれも全く別のカテゴリーに属しているけれど、その全てが無意味に思えた瞬間、自宅の玄関まではまだほど遠い距離で僕はブレーキを強く踏んだ。

***

「人生とは何か」

それは明日終わるかもしれないし、今終わるかもしれないし、何十年後に終わるかもしれない。

まだまだ長い長い旅の途中。

そう考えれば割と楽にはなるけれど、寄せては返す波はいらないし、陽はまたのぼりくりかえしてほしくない。止まない雨なら大歓迎、明日があるさ!なんて安っぽい思考回路も今は遠慮してほしい。

大きく深呼吸をしようにも、息が詰まるような胸への重圧がそうさせてくれない。

目の前で起こることに対してヤキモキしたり怒りを覚えたり悲しみを覚えたり色々なことを人間はどうしても深く考えたがるらしい。

目に映るすべての情景はロウソクの火を吹き消すよりも簡単に自分の人生すべてを塗り替えてしまう力がある。

ハンドルを握り返す手が震えた。

でも、はれときどきぶたを読んでた僕はもういない。

僕は、昨日の僕じゃないんだ!

そして、また強くアクセルを踏み込んだ。

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ただいま。

今の僕はここにいたんだ。


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