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にじさんじ文化論「イベントや案件中心の是非。ゲーマーズ人気の環境。」


※注意書き

当記事における内容はにじさんじをコンテンツとして捉えた場合の一視聴者目線からの考察です。
「ライバー毎の人気には格差があるけど、どういう理屈でその差が生まれているのか」
「視聴者数を増やすにはどうすれば良いのか」
「コラボを通してどのような経路でファンが共有されるのか」
など私が通常のコミュニティでは発信し難いと感じた話が中心となります。
その為、時には「人気が乏しいライバー」、「こうしないと人気が出ない」といった書き方が一部に見られるかと思いますが、あくまでも個人的なコンテンツ的価値観と考察を行う仮定に付随するものであり、「私の言う通りに活動しないこのライバーが悪い」と言った責任追及を喚起するものではありません。
また文中に登場するライバーについて個人情報に繋がる類の考察は行わず、誹謗中傷やそれに該当するような個人の名誉を傷付ける意図は一切ありません。
「ライバー個々の活動スタイルや配信内容はそれぞれが自由に決めるべきものである」と言う大前提を承知した上で一つの読み物として捉えていただければ幸いです。



加賀美ハヤト3Dお披露目13万人。
にじさんじ甲子園19万人。


にじさんじ全体のファンの母数は間違いなく増えていると見るべきだろう。
加えて数々の大型案件。
箱という大枠では勢い盛んな一方でライバー個人、特に下位ライバーや新人の浮き上がりが見られないのは何故だろうか。
これほどまでに活気に溢れた状況で、ファンの流動が緩やかな原因を考える。

先の記事に上げたように、Vtuber界隈でにじさんじがここまで成長した理由や判りやすい強みは「箱」という構造を作り上げた事。
月ノ美兎という個人の傑物を排出しただけに終わらず、"この人気を箱全体にまで浸透させる働き"がグループVtuberにじさんじとしての強みだった。
つまりコラボなどのコンテンツを提供して横の繋がりの強さからファンを共有するシステム。
しかし、今このシステム自体は登録者の増加率、平均的な同接推移などを見ても後発のホロライブの方が十全に機能しているという印象を持つだろう。
にじさんじに習い「箱」の構造を持つVtuberが他に増えた今、にじさんじならではの強みとは?


イベント戦略~過程を楽しむ箱~

特に注目度の高い配信となっていたのが、『にじさんじ甲子園』や『ARK』などに代表される『集団的な企画』や、大会系などゲームシーンでの『競争的コンテンツ』である。

知っての通りにじさんじには多数のライバーが所属する。
参加人数の多さから大規模な企画を作りやすく、勝敗の判らない競技的な要素はファンを熱狂させるに足るコンテンツとなった。
ライバー側もそういった企画に注力し、ファンも多くの関心を寄せる為、

今のにじさんじの盛り上がりは『イベント中心』になっていると感じる。

これらのイベント的な企画で特筆するべきは"過程の魅力”にあると考える。
元々ライバーが自身の夢や目的の為に頑張る姿や過程というものが一種のコンテンツ化して受け取られていた。
何せぎこちない2Dの状態から始まったにじさんじの成長幅は半端ではなく、この面が際立って強かったのだ。

2Dから3Dへ。
活動を通してファンと共に歩み、ステップアップを重ねて夢物語だったはずのアイドルやライブの舞台が実現されて行くそのドラマ性の強さ。
こうした『過程を応援する』というにじさんじの強みは身近な配信でも発揮される事となったのである。

ゲーム大会やMinecraftでの夏祭り、共有鯖での大型企画など、
にじさんじのこの手の企画が他と一線を画しているのは、それが1回の配信内だけに留まらず『長期間』、『長時間』を前提とするような”贅沢なリソースの使い方”にある。



『夏祭り』はさながら学生時代の文化祭。
地道な準備シーンを含めて過程を共有するというにじさんじの特徴が顕著に現れていた。

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本番では誰と誰が組んで一緒に見て回るのか、という点も見どころとなる為、関係性オタクにも刺さるシーンを数多く作り上げ、即席的な1回の企画内だけでは成し得なかったにじさんじ特有の過程の妙がある。


一方、『大会系のイベント』で大きな魅力となっていたのは"ガチ感"だ。
エンジョイやエンタメを意識しながらも、そこには明確に競技者としての勝つ姿勢が感じられる。
判りやすいのは「かなちーくず」などの大会練習。

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通例コラボと言えば仲良しの場。アットホームで和気藹々を信条とするVtuberのコラボ中に「悔しくて泣く」「真面目な意見のぶつかり合い」などのようなシリアスな状況は中々お目に掛かれるものではない。
このように配信上で間近に見える"部活ノリの本気感"や、過程に紐付いた"努力と成長の軌跡"はファンの応援意欲を刺激して一層の関心を集めた。

夏祭りにしても大会にしてもにじさんじの多くのイベントには『青春のやり直し』的な感慨深さであったり、便利な言葉で言い表すならば『エモさ』が見て取れる。



『Ark: Survival Evolved』の戦争企画にもそういったエンタメとガチの狭間を行くにじさんじらしさが垣間見えた。

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ある程度のRPをしながらも各陣営が真剣に勝つ為に動く群像劇的ドラマ性。
通常のPvPとは異なる『見せる為の戦争』を行う為に代表者間では何時間もの協議を重ねた。
1日に10数時間も配信を行うライバーも多く、彼らはそれでも準備が間に合わないとなると裏でも作業をした。
それらの準備や作業でスパチャが貰えるわけでもない。
枠を取らなければ直接的にファンが増えるわけでもない。
この戦争という一大イベントを作り上げる為にはライバー個々の表向きには即座に利益に還元されない数多くの過程があった。

※ARKの戦争は非常ににじさんじらしい、素晴らしいコンテンツだと思っていただけに批判の多さと恐らくそこにライバー側が萎縮してしまった事が残念でならない。
ライバーはゲーム開発者ではないのだから独自ルールでのバランス調整が1度や2度の試行回数で丁度良くなるわけがない。
これだけ不確定要素の強い大規模なコンテンツに対して企画者や誰か一人にだけ責任を押し付けようとするのも内ゲバ気質故か。
勝敗を超えた価値があるにも関わらず、こういったコンテンツを内ゲバ意識で潰そうとするのはにじさんじリスナーの悪い所の一つ。


ARK然り一度企画やイベントが始まると配信内容がそればっかりになってしまい勝ちなのがにじさんじライバーのスタイルである。
目的である勝利をファンに期待させるにはそれだけ多くの時間を割かねばならず、個人個人が膨大なリソースを差し向ける事で時として普段の個人配信のルーティーンを損なう事もある。

しかし、そういった”一点集中型での不定期的な熱の入れ方”は成長の伸びしろが大きく、結果がどうなるか判らないからこそ予想外の展開を呼び込む。
安定思考の他のグループVtuberや少人数の箱では真似をする事が難しい、
にじさんじならではの文化性に由来した強みが見られる。



コナミ協力の元で行われたeBASEBALLパワフルプロ野球2020『にじさんじ甲子園』もそうした"贅沢な企画"の一つだ。

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主催の「舞元啓介」にしても、ライブイベントが控えていた「樋口楓」や、元より案件の増加していた「リゼ・ヘルエスタ」「社築」なども含め、各監督達は自身の配信のリソースを長時間この一点に割いた事で、前後の配信スケジュールには相応の穴をあける事になってしまった。
そうした忙しい中でも各監督達が事前に予習をきちんと行い、ゲーム性を素早く理解して真剣に勝つ為にゲームに打ち込んだ事でファンは熱狂し、あれほどの拮抗した展開を手繰り寄せる事となったのだ。

またライバーの数ありきのこれらの大型企画には『多様性』が不可欠だ。
その点でも男性ライバーや色物枠が所属するにじさんじの利点を十全に活かしたコンテンツであると言えた。
「椎名唯華」はこの企画でネックとなるような、炎上を経験して弄りにくいライバーを率先してまとめあげ、これを見事なエンタメに昇華して見せた。

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炎上したライバーすらも企画の欠点とさせずに多様性の中にぶち込む。
むしろチームカラーに独自の変化を付け加えて、競争的コンテンツとしての楽しみを増やしたのだ。
正直綺麗所の可愛い女の子ライバーだけで行った場合には差別化は難しく、あそこまでの盛り上がりはなかっただろう。

そしてこの一大イベントは前回企画者の「天開司」、「椎名唯華」の『パワクズ』から始まり、1年前の『Vtuber甲子園』から受け継がれて来た定番企画でもあった。
主催の「舞元啓介」はVtuber文化や先人へのリスペクトを欠かさない。
企画を無断で拝借するを良しとせずに「天開司」との縁を大切にして誠意ある交流を続けた結果、その信頼関係の元にこのバトンを受け取って見事に成し遂げた。

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にじさんじ甲子園が好試合ばかりを引き当て、19万人という異例の視聴者数を記録する事になったのはただ単にゲームとしての面白さや、参加ライバーの数の多さに任せた既存の集客力のみが理由ではない。

多様な人材がコンテンツに厚みを持たせた。
人脈の太さが企画へと繋がった。
それら全てが本気で向き合う強い姿勢にファンは熱狂した。

ここにはにじさんじの集大成があった。


にじさんじを一つの大きなコンテンツとして見た時、
集団を活かし、関係性を大切にして、時間を掛けてコツコツと過程を見せるというイベントのお祭り感は今最も強い武器であると言えるだろう。


自己実現の場


次に取り上げるのは「加賀美ハヤト」の3Dお披露目。

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にじさんじの3Dお披露目配信での視聴者数、再生数共に過去最高記録となったこの配信。
開始直後、今までのお披露目で見られた規定値6万近くの推移だった視聴者数が何故ここまで膨れ上がったのか。
単純に技術が凄かった。ゲストが凄かった。というだけで終わらせるべきではないだろう。

この配信は端的に言えばライバーにとっての『自己実現』の極致と言える。

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「加賀美ハヤト」は自分の"好き"に投資をしてその夢を叶える。
投資とは単純に金銭的なものだけを指し示すわけではなく、自らの夢を叶える為のあらゆる活動が人生への投資と言えるのではなかろうか。
人生のその貴重な一瞬にライバー活動を選び、そこで果たせる夢や目標に向かって突き進む。
そうしたライバーの自己実現の形は明確なコンテンツとなって視聴者を惹きつけた。
「社築」の3Dお披露目配信がそうであったように『ライバーの夢や目的』と、それを実現出来るだけの舞台を作り上げた『運営側のサポート』という理想的な関係性がこの3Dお披露目配信には見られた。

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この『自己実現』という言葉は今後のにじさんじ、ライバーを語る上では特に外せないキーワードとなる。
度々にじさんじ運営側のインタビューで語られている事なので既に知っている人も多いだろうがこちらの記事を見て貰いたい。

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――ライバー側からすれば自分の「やりたいこと」が実現できる環境が整ってきたことは喜ばしいことではないかと。
鈴木:
そう感じてくれているのであれば嬉しいですね。また、長い目で見たときライバーの中には新たな挑戦をするという決断をする人もいると思います。その時に「彼ら自身に残してあげられるものはなんだろうか?」と考えると、普通の人では絶対にできない「経験」を提供することがタレントマネジメント会社としての私たちの使命かと思っています。

「だいたいにじさんじのらじお」を例に取ると、構成作家と話し合って、ネタを決め、放送局のスタジオでマイクに向かって話すということを毎週やるわけですが、この経験は普通にサラリーマンをやっていたら得ることは無いであろう、非常に貴重なものです。ファンで客席いっぱいになっている両国国技館やZeppのステージに立ち人前でパフォーマンスをすることや、メジャーレーベルからデビューし自身の楽曲をリリースすることも、普通ならば中々得られない体験でしょう。

にじさんじのライバーとして活動したすべての経験は、今後なにをするにしても必ず活きてくると信じていますし、そういった「普通ではできない経験」を数多く積むことができるのが企業に所属して活動するメリットの一つだと思っています。


「ライバーのしたい事、やりたい事を叶える」
というのがにじさんじ運営の基本スタンスとなっている。
これらのお披露目配信であったり、最近のにじさんじの各方面に対しての整備や案件の流れを通して見てもその方向性へのブレは見られず一貫している事が判るだろう。
何よりもライバー側がこれを実感しているのだ。

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今にじさんじが形を成そうとしているもの、成したもの。
この夏にその片鱗が見え始めたのは、ライバー個人の自己実現と将来を見据えたコンテンツ作りではなかろうか。


にじさんじを昔から知っている人からすればその運営方針は放任主義のサポート不足という印象が強い。
運営に対して「サポートをしろ」と小うるさく言われるのは良く見た光景であったが、その度に私が思ったのは「ライバー本人がサポートを望んでいるのか?」「またそのサポートに応えるだけの成果を出せるのか」という事。

将来性に掛ける為のサポートというならばそこに必要なのは、
"本人のやる気としっかりとした目標意識"

今音楽方面への道を切り開いた「樋口楓」をしても
「やりたいことが明確な方がスタッフさんも協力しやすい。」
「口に出していたから自分の夢は叶った」
と振り返っていた。

「ニュイ・ソシエール」は自身が行った「にじさんじライバーになりたい人向け!オーディションって?」という配信の中で、面接で特に聞かれた質問は「にじさんじに入ってやりたい事は何か」だったと明かしている。

運営側の技術力やサポートする体制が整ったとしても、結局それを実行するのはライバー側である。
今回の「加賀美ハヤト」のように"自分のしたい事、やりたい事が明確にある者"は今後その活躍の場を更に広げていく事となるだろう。

そういった意味での新人採用。
にじさんじの新人の伸びが今弱く見えても人材的な面で弱いとはすぐに結論付けられない理由がここにある。

つまり『自己実現』の多様性。

既存の生配信での人気のみならず、多方面での活躍を見込んでの人材確保。
にじさんじオーディションの応募フォームを見ると経験者採用とは、生主のみの採用、生配信の経験者だけを指すものではなく、
”何かしらの経験者”の事を指しているのが判る。

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3Dを代表とする技術の進歩。外部企業各社とのコネクションなどライバー個々の得意分野を活かす活躍の舞台が整う事によって、既存の生配信に特化した人材にはこなせない役割というのが何れは回ってくるだろう。
例えば判りやすいのは歌や絵。
そして最近目に付くのが演劇畑と思われる新人達だろうか。
何れは3Dでの舞台配信なども見据えているのではないかと考えられる。

Twitterでカバーの技術担当社員がこの「加賀美ハヤト」の3Dお披露目に際して、「凄い、マンパワーが羨ましい」とつぶやいていたが、技術者のマンパワーを増やした所で、踊る演者がいなければ舞台は成り立たない。

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その瞬間に絶対的な需要が判りきっている人材だけを確保し続けても、演者側のしたい事、やりたい事の範囲は狭く、その技術を十分に活かす事は出来ない。

にじさんじは『既存の生配信での活躍だけに満足するつもりはなく』
ライバーにとって『貴重な人生経験や新しい自己実現へのチャレンジの場』であり続け、そういった自発的な『次へと繋がる将来性』がファンにとっての楽しみであり、コンテンツに還元される箱である。
と言えるのではないだろうか。

さて、こうしたにじさんじの方向性、その強みや魅力を明確にした所で本題に入ろう。


イベント戦略の落とし穴


これらの大型イベント、にじさんじ甲子園の成功やお披露目配信のクオリティアップだけを取ってみれば、まったくもって素晴らしい結果と言わざるを得ないが箱の方向性として懸念材料や疑問が無いとは言えない。

13万だの19万だのと景気の良い数字を飛ばす今のにじさんじの母数の多さを持ってしても、
新しいエース格、看板と呼べるライバーが後発から生まれないのは何故か?単純なライバーの人数だけが理由なのだろうか?

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たしかに後発にはライバーが増えた分の不利が存在するが、
ファンの数も飛躍的に増えているはずだ。
にじさんじの集団的コンテンツやイベントの魅力、その熱狂度合いが上がり調子の一方で、『個のコンテンツの伸び代』というものがそこに追い付いていないようにも見える。



そこで気付いたのは、
にじさんじは『個よりもイベントを見る箱』になってしまっているのでは?
という事だ。

これには『集団的なイベント』のコンテンツ力があまりにも強くなりすぎた面があると思っている。
『にじさんじ甲子園』というにじさんじを知っているファンならば誰しもが見たくなるような一大イベントを前にして、それよりも優先的に見られるような配信を個人が行う事は難しいのだ。

にじさんじが得意な"過程を売りにするコンテンツ"というものは後から見る場合、その楽しみ方や趣が変わってしまう。
ありていに言えば"ネタバレが深刻になる"

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アーカイブ民は大会などでどちらが勝ち残り、誰が優勝するのかという結果を知ってから見る事になってしまうのだ。
ライバーのTwitterを少なからずフォローしていれば、そのタイムラインから大きなイベント事でのネタバレは避けられない。

ちなみに私はにじさんじ甲子園では本番までにアーカイブの消化が追いつかなかった為、ネタバレを踏まないようにとその間Twitterや関連動画を一切見ないようにしていた。
当然その間他のライバーの配信を見る余裕などは無かった。


こうした"ネタバレ避け"として一番良いのは当然ながらリアルタイムで見続ける事だ。
繰り返しになるが、にじさんじのイベントの強みは『長期』、『長時間』を掛けて行う『過程』にある。
『過程を魅せるコンテンツ』への持続的な関心の高さや集客力はそういった動機もあり"にじさんじファンの視聴時間を優先的に奪っていく"

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しかしこれでもまだ理由としては弱い。

直接的な裏被りが常時続くわけではないだろう。
あるイベントには興味があるファンも、別のイベントには全く興味がないという事はもちろんある。
またそうした強いイベントが増えるに伴って箱全体への注目が高まるならば、当然参加者や他のライバー達の配信にも連鎖的な賑わいとして反映され、登録者などにもっと還元されるはずではないのか?


余剰ファンの全てが上位ライバーに取られてしまうわけがない。
案件を抱えるようなトップライバーの多くは配信頻度的にはそこまで高くは無く、配信時間帯は所謂ゴールデンタイムに偏り幾らでも空きはある。
にじさんじが抱えるファン全ての可視聴時間が常日頃からフルに埋まっており、新人や他のライバーを見る余裕が一切ないというのはありえない。

ながらも日頃の配信スケジュールを見ると、にじさんじ内で一人二人しか配信していないような時間帯にも1000人、2000人程度しか集まっていないような光景は今でも頻繁に見られる。
もちろん新人に対して極端に視聴者が集まるような事もなく、19万の視聴者、新規に増えるにじさんじファンの多くは一体どこに消えてしまっているのか?
普段はどこに潜んでいるのか。
にじさんじファンの多くが、「イベントに追われてイベントだけを見て終わり」のスタイルになっていないだろうか?


にじさんじはVtuberの中でも特別、『おもしろ至上主義』な傾向が強い。
ライバーの人気格差の大半を占める要因は「面白さ」だ。

技術的に優れ、見た目のアドバンテージも大きかった3Dの企業勢が当たり前の中でデビューしたにじさんじは言ってみればその時点で不利を抱えていた。
技術に乏しく動きも悪い2D勢が界隈での主導権を握る形になったのはそれだけにじさんじが面白いコンテンツだったからである

この時点で「にじさんじのファンはより面白い方へと流れる」導線が形成されている。

「月ノ美兎」は最初から芸人気質な面白さを売りにして人気を博し、
面白さに特化した「男性ライバー」を採用し続けた。
より芸人的で面白さに対しての熱量が高いのが男性という種だ。
半ば漫才じみた弄り弄られの男女コラボをコンテンツの基盤に据えた事
にじさんじのコンテンツとしての価値は一層面白さやバラエティ性に特化する事になりファンもこれに期待するようになる。

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面白さを提供する事でファンを獲得して来た箱という文化性。
にじさんじを見る理由が面白さにあるというファンの性質上、

"面白さ以外の部分"に対しての関心が向きにくい。

"面白さ以外"で人気になる事は難しい箱とも言える。

特に「同時視聴枠」「小さな案件」になると露骨に視聴者数が減ってしまうのはおなじみの光景だ。
これはもちろん多くのファンがそれらの配信は見るまでもなく「どうせつまらない」と見限っているからだ。

「ホロライブ」や「アイドル部」などと比較すると判りやすい。
この2つの箱の場合は配信内容による視聴者数の変動がにじさんじよりも少なくなる。
これは箱としての方向性の違い。
面白さ以外を視聴理由として配信を見ているようなファンの割合の差だ。

「可愛いから見る」、「同じ箱だから見る」というファンがにじさんじより多いのである。
ライバーや運営側もそういったファンを獲得するような立ち回りを行い、事実そうなった。
この辺はどの方向性が良い悪いという問題ではなく、単純に見る側が自分に合ったコンテンツの方に向かうというだけの話だ。



話を戻すと、このように面白さを主軸としてファンを獲得して成長したにじさんじ。
だからこそ昨今のイベント戦略はファンにとっては非常に満足度の高いものとなっている。

「今一番面白いものが見たい。」と思っているにじさんじのファン層に対し、大型イベントという一番面白いものを提供した形だ。
ファンはこれに喜ばないはずは無く、しかし同時により面白さを求める方へと誘導されて行ったのである。

面白さを求めるファン達は自ずと、コンテンツに求めるハードルを引き上げて行く。

面白いライバー、面白い配信により多くの人が集まるというのは自然な流れである一方でVtuberの中では異端的でもあり、”箱というブランドの中でファンを共有する”という作用を弱くしている原因ではなかろうか。


そんな中でカロリーの高い大型イベントを魅力に据える箱という方向性は、
”個人配信に対しての関心が低いファン”に誘導しているのでは?という話。

にじさんじ甲子園や大会のような一体感を伴う刺激の強いコンテンツを体験した後は、"また同じレベルの面白さを求めてしまう"という一種の『麻薬的な効果』から比較して"それ未満の刺激に鈍感になる

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ならばにじさんじのライバー達は『にじさんじの大型イベント』という巨大で刺激が強いコンテンツとの比較に晒される事となり、
"見劣りする"、”つまらない”と判断される可能性があるのではないか。

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ソシャゲユーザーの間では強い快楽が発生するガチャ更新時や、イベントの開催期間にだけ熱中して、コンテンツ的な価値が弱まる何もない空白の期間には休憩とばかりにログボだけ取って終わるようなローテーションがある。

イベント時の破格の報酬と恒常的なコンテンツの見返りの少なさを比較するユーザーはコスパの良い楽しみ方として、
『全てを追うのではなく、最も楽しい瞬間だけを楽しむ姿勢』
に誘導される。
そうした流れがにじさんじにもあるのではなかろうか。



そんなにじさんじにおける『イベント空白期間』
イベントが絡まない配信やライバーを見る動機付けが相対的に薄くなった。
何も刺激的なイベントが無いような定期スケジュールの区間でも、配信的な盛り上がりを演出出来るような、個としての集客力が高いライバーは依然として数少ないままだ。


『にじさんじ甲子園19万人』その裏の理由



こうしたイベントにおいて活躍を望まれて大役を担うのは既存の人気ライバー達ばかりである。
日の目を見ない下位ライバー達程にじさんじの大きなイベント事に対しての関心を寄せるが、現実は一部の上位ライバーの寡占とも言うべき状態が加速して、箱全体の盛り上がりとは裏腹に下位ライバー達がイベントによって救済される事は少ない。

こうしたイベントでの下位ライバー達は悪く言えば『数合わせ的な役割』に留まってしまうケースも多く見られる。
大規模イベントの演出のためには参加ライバーの数を揃える事が大切ではあるが、目玉ライバーの少ない数合わせばかりの大会となれば盛り下がるのは必然である。

元々コラボとは数を増やせば増やす程に集客力が跳ね上がるというわけでもなく人気や組み合わせが大切だ。

雑な集まりよりも少数精鋭。
『好きなライバー同士のコラボだから見る』が成立するならば、
『嫌い、興味がないライバーが居るから見ない』という動機もまた確実に存在する。


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       関係性の強い人気ライバーだけの二人コラボ。

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その二人に+して同接1000人前後のライバーも大勢集まるコラボ。

こういったパターンを比較するならば経験上、参加人数の少ない前者のコラボの方が集客力で上回るケースを多く見かける。
好きなライバー同士の相性が良いコラボだけを見たい人からすれば、取って付けたようなその他大勢のライバー達の存在は時として邪魔になる。
人数が増えれば、それだけお目当てのライバーの発言量が減るのだから当然だ。


その上で『にじさんじ甲子園』には"違う視点での成功要因"が見られた。

実質的に全ライバーファンからの関心が集まるような概要でありながらも、
足手まといやリスクとなるようなライバーが参加者の中に居なかった事だ。

実際にコマを動かすのは各監督、参加ライバーの6人のみ。

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彼らは配信者としての『技術』、『ライバー弄り』、『コラボ性能』、
『人気』、『好感度』などを高く見込まれたライバー達。


言ってみればにじさんじの中でも”実力のある花形達が中心の大会”だった。

ゲーム上のキャラクターとして全ライバーの名前は使っているが、
実際に配信上にその声が載る事はなく、コラボをしているわけではない。
能力不足で場を白けさせる未熟なライバーもいなければ、不快感が強いライバーが失言をするリスクも低い。

視聴者A「嫌いなライバーの○○が居るから見たくない」
視聴者B「△△がつまらないからブラウザバック」
という視聴者からの『見ない理由作り』が最小限に留まった。

普段の活動で集客力が低い者やニッチな属性のライバーでも、
実力のある6人のライバー達から、遠巻きに『キャラクター的な属性』を弄られるだけならば、いくらでも面白く魅力的に映ったのである。


それこそ弄り芸に定評がある「椎名唯華」が問題行動があった弄り難いライバーを自分のチームに引き入れて上手く料理した事などからしても、

集客力の高い要因
(実力があるライバーだけで多様なキャラを弄る)
だけを見せ、
集客力が減る要因
(企画内容に向いていないライバー、つまらないライバーが実際にコラボに出てきてやらかす)
は深く見せないように出来たのである。



にじさんじ甲子園への期待値の高さ、19万人という数字にはこうした理由もあるのでないかと思う。
ライバー全ての名前を使った一大企画だろうが、参加者6人の選出次第ではこの視聴者数は19万人にも1万人にもなり得た。

むろんケチを付けたいわけではなく、この企画が案件であった事を考慮して見てもにじさんじとしては最良の結果を出す必要があった。
このスタイルは今のにじさんじで最も面白く魅力的で集客力のあるコンテンツを作り上げようとなった時の最適解だ。


ゲーマーズ有利の環境

結局の所にじさんじのイベントが盛り上がるかどうかを左右するのは、
主役的なポジションにあずかり、多くのファンから活躍を望まれるライバー如何であるという事だ。

これに該当するのは所謂"ゲーマーズ的な個性のライバー"が多い。

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ここで言うゲーマーズ的な個性とは元ゲーマーズ所属ライバーに留まらず、
ゲームや配信環境に対しての知識や理解度といった慣れの問題であったり、
ゲームや配信自体を一つの趣味としてメインの活動内容と一致している者。

それらを広く捉えた場合の、
生配信に特化した技術やゲーム適正の高さ』を指す事とする。


「舞元啓介」は歴戦の元MMO廃人であり、「社築」は今や誰もが認める音ゲーマーでありレトロゲーマー。
一見ゲームの印象が薄い「樋口楓」がライバーになった目的は、マビノギという長年プレイし続けているゲームを布教する為であったりと、やはりゲーム系イベントで大役を任せれて活躍を期待されるのはゲームと関係が深く、

ゲームに対しての強い意気込みを持てるようなライバー達だ。


イベントで集客力が見込めるのは「人気あるライバー」であり、人気になるための手段は「生配信」であり、この生配信における大きな武器が「ゲーム適正」であり、にじさんじの大きなイベントの多くは「ゲームを利用した企画」である。
これが現在のにじさんじの環境。



反対にこうしたゲーム系のイベントでも厳しい立場に置かれているのが

パラメータをゲーム以外に割り振ったライバー』
『活動の目的をゲーム、配信以外に置いているライバー』

先程、にじさんじは既存の生配信だけに留まらない人材を確保し、それぞれが自己実現を果たす場所と書いた。
これは"生配信に特化していない人材"を積極的に採用しているという事でもある。

極端に言えば、
現在のコンテンツ構造上では需要が発生し難いライバーを意図的に採用している』

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初配信「私は歌は好きだけどゲームは苦手です。」「PC初心者で機材とか判りません」という自己紹介はよくあるパターンだ。

しかし歌や演劇的な活動を望みにじさんじに入ったとしても、この夢を叶えるために必要な活動がゲーム配信になっている。
にじさんじの集客力の高いイベントの多くがゲームを利用した企画であるという現在の環境の中では、『ゲーム適正、配信能力の有無による不利性』を否定する事は出来ない。

"ガチになって勝敗を競う"という面白さに彼らが関与する事は難しく、大会に参加しても多くの活躍は見込めない。
にじさんじがイベントを数多く開き箱全体が盛り上がったとしても、
ゲーム適正の乏しいライバーにまではこの恩恵が届かない。

あるいはチーム対抗企画で勝利する事でその一瞬だけ注目されたとしても、個人の配信ではゲームに慣れないライバーが残るのみであり、持続的な人気に還元される事は稀である。

また歌を武器とするライバー達は、歌ってみたの動画を出せば再生数や登録者自体を伸ばす事は可能だがそれだけでは「歌が上手い人」「歌い手」としての需要で止まってしまいVtuber的なキャラクター人気にまでは中々結び付かない事が多い。

”歌っている時にだけ見に来れば良い人”という枠になりがちだ。
歌配信や歌企画などで目立つことがあっても、にじさんじの活動で多くを占めるゲーム配信やイベントではその向き不向きの問題から人気ライバーとしてのポジションに立つ事が難しい。


一方でこの逆は成り立っている。
ゲーム配信を武器として人気になったライバー達の歌配信ならば、
例えそれが上手くはなかったとしても多くの人が集まるのである。

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ゲーム配信による人気は本人のキャラクター的な個性にまで結び付く易く、普段の配信を通して可愛らしさや面白さといった魅力をアピール出来ている。
これによって
「そのライバーがする事なら異なる分野の配信でも見る」という需要を発生させている。


そうしたゲーム適正や配信人気に優れたライバー達はゲームをきっかけにして人気ライバーと仲良くなるという正の循環にも向かいやすい。

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ゲームが上手いガチ勢のみを集めた企画などは判りやすいが、
単純に趣味嗜好が似通っていたり、活動スタンス的な面でも共通点が多いライバーの方がコラボでも足並みが揃えやすいのは当たり前だ。

箱という環境で活動する事での一番の数字的アドバンテージとなるのが、
既存ライバーが獲得したファンの流動であるとするなら、
「コラボ相手、交流相手が誰になるか?」というのは非常に重要な要素だ。

そしてこれが最も難しい課題。

ゲーム配信を苦手とするライバー達は、
人気あるゲーマーズ的集団との距離が遠ざかる傾向にある。

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ゲームが苦手なライバー、
配信技術に優れないライバー同士で交友関係を築く。

得意分野の向き不向きは『ライバーのコミュニティ形成』にも影響を与え、自ずと箱内の人気格差が進み、カーストのような構図を生み出す。

こちらの図は現在のゲーム有利の環境への適正と人気の相関関係をまとめたものだ。

ゲームと人気の相関関係

※補足
個人的な主観に基づく非常にふんわりとした相関図の為、異論は大いにあるだろうが大目に見て欲しい。
ここで伝えたいのは現環境ではゲーム配信適正が有る程、集客力が高い配信を行い易いという事。
また、ゲーム適正の高いライバー同士の間で関係性を構築し易い事。
逆にゲーム以外の強みを持つライバーが集客力や人気に一定の不利が見える事。
ゲーム適正が低いライバーの同士の間で関係性を構築し易くなっているのを中心に汲み取って貰いたい。

・『配信人気値』
配信での集客力の高さ。記念枠等は考慮せず”普段のソロ配信”でどれだけ視聴者を集められるか。

・『ゲーム環境への適正』
ゲームの上手さや配信機材への知識。ゲーム配信をメインとしてファンを獲得出来るタイプかどうか。大会やイベントでの副窓時など、ライバー同士で同じゲーム配信が裏被りした場合の強さ。


関係性に目ざといにじさんじのファンがこういったコミュニティ、ライバー同士のグループ化の片鱗を察せないわけがない。

つまりゲーマーズ的ライバーの周辺には人気あるライバーが集まり、
それ以外の非ゲーマーズ的ライバーの周辺にはごにょごにょ(

となっている環境は一視聴者目線でも把握する事が出来る。



何より『箱のイベント』をメインで見たいファン達は、そこでの活躍見込みがあるライバー達周辺のグループから動かない。

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イベント中心でにじさんじを見たいなら、これらゲーマーズ的ライバーとその周辺だけを見るのがベスト。
という回答にたどり着く。

ゲーム適正に優れたライバー達が大きなイベントをしている横で、
そうではないライバー達が集まってゲームをしても、そちらに興味が向かわないのは仕方がない事だろう。

これは逆(?)で考えて見ても良い。

歌動画や歌配信を目当てにしてVtuberを見ているような層が居るとして、
”歌企画に出て来た歌が下手なVtuber”という存在に惹かれるだろうか?。
むしろ下手だと思えばそれを見ない理由にすらしてしまうだろう。

特に活躍をせずに鈍臭い姿を見せて、にじさんじファンからの認知度だけが増していく状況というのはむしろ見限られる理由ですらあるのだ。

「自分はゲームが下手です。ゲームで面白くする事が苦手です。
 あなた達が沸き立つようなこの分野での活躍は出来ません。」
とアピールしているような状況が生まれてしまう。

にじさんじがイベントを魅力にしている箱だからこそ、
イベントで活躍をしないライバー”は見るに値しない。

そういった『視聴理由の習慣付け』がコンテンツを通して成り立ったとしてもおかしくはない。
それだけ今のにじさんじの大型イベントには圧倒的な刺激と魅力がある。

にじさんじが多様な人材を登用すれども、それでも箱を盛り上げるイベントやファンが求めている需要は相変わらず生配信の技術やゲームにあるという現実。

ライバー個人の得意分野、したい事やりたい事とファンの需要にはズレが生まれている。

人材採用の時点でこういった難題を抱えたライバー達を投入している為に、今人気のあるライバーの枠は「生配信の経験値が高いライバー」「ゲーム適正のあるライバー」達で固定されている。

こうした問題を仮定すると現在の下位ライバーや新人達の不振の影にはまず得意分野の向き不向き、ゲームに対しての熱量の違い、配信慣れなどが大きな壁となっているように感じられる。


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生配信やゲーム以外に得意分野が向いているライバーを採用したは良いものの、如何にしてこれらを人気者に押し上げるかというのが今後のにじさんじの大きな課題ではなかろうか。

ライブに出たい。メジャーデビューをしたい

そのためには人気が必要

人気になるためにはゲーム配信をする
にじさんじのイベントに出て認知される必要がある

歌にリソースを振ってゲームをあんまりしていないライバーがゲームの舞台で活躍出来ない。(あるいはゲームが上手いライバーに隠れる)

人気が出ないと大きな舞台に立てない


自己実現の向かう先

次の問題はライバー個々の活動に対してのリソースの使い方に起因するものだ。
にじさんじのライバーは生配信というコンテンツでファンを増やしてお金を稼ぐ職業であると言えるが、何にどこまで重きを置くのかはライバー個人に委ねられる。
そういった中で今後も増えていくと予想されるのが、

『夢や目標にリソースを割く事による配信頻度の低下』
あるいは、
『自己実現が叶う事での生配信中心の活動に対しての熱量の低下』
ではないだろうか。

当然ながら案件やライブ等で忙しくなれば、"普段の配信頻度は減る"

昔、1期2期の主軸ライバー達が「AbemaTV」の『にじさんじのくじじゅうじ』という案件に参加していた時期、その都度スタジオに赴いていたのもあり該当ライバーの配信頻度が極端に低下した期間があった。

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当然ながら主力を欠いた状態では登録者の伸びも箱全体で弱まり、あくまでも生配信的な意味としてだが、この時期はにじさんじの歴史上最も勢いが停滞していた時期でもあると記憶している。

※この期間のにじさんじの表向きの配信での人気や話題性を支えたのが「叶」、「本間ひまわり」、「椎名唯華」に連なる元ゲーマーズの躍進。

では、この「AbemaTV」での案件は間違いだったのか?

と言われればそれはNOと断言出来る。
ライバーにとっては”貴重な経験”となったはずだ。

現在の「レバガチャダイパン」へと続くテレビ畑の人達との"コネ"を形成したという点を鑑みても将来的にはプラスになるような、にじさんじの新しい道を切り開くための活動だったと言える。

ただ結局の所は、ファンを増やす手段が未だYouTube上での普段の配信や動画の中にしかないというのも事実であり、案件に追われるようになって上位ライバー勢の配信頻度が低下する事での、新規獲得力の低下はにじさんじの慢性的な不安材料として解決出来ないままだ。

この当時のゲーマーズのような、にじさんじに新しいムーブメントを引き起こすライバーが後発から生まれ難い環境になった最中での、

直接的な数字や人気に還元されない、
案件的な自己実現に向かうライバーが増える事のリスク。


主力が配信できない留守の間も、にじさんじというコンテンツにファンを繋ぎ止められるライバーの不在。
多くの場合上位ライバー達が配信をしないならば、そこに紐付いた多くの視聴者はただ見ないだけだ。
代わりに他のライバーを見ようと誘導されるような導線が上手く形成されていない。



しかし、これに対しての焦りなどは見られない。

ライバーの多くで『自身の人気が伸び悩む事への悲壮感』のようなものは以前よりも感じられなくなった。
任天堂との包括契約前、10万人前後のライバーの中では焦りのようなものが見えた一時期がたしかにあったのだ。
そういった箱全体の鬱屈とした空気は今年の夏頃からのにじさんじには見られない。

「昔は運営に不満があった」と語る「郡道美玲」からも第二回スプラ大会後には「最近のいちからは良くなった」という発言があった事を踏まえて見ても、ライバーにとっての何かしらの環境改善が見られた事はたしかだろう。
外部企業からの多額の投資状況や案件の増加、運営側の体制の変化、誹謗中傷への対策プランの提示といった要因も含めて、ライバーが昔よりも余裕を持って活動をする事が増えたように思う。

その結果の一つ。

自己実現を叶えるライバーは、登録者や視聴者数を多く抱えるような、
生配信での集客力の高い上位ライバー』だけではなくなった。


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例えば上の画像の「鈴木勝」「雪城眞尋」"YouTubeの生配信上で目立った成果を上げて大成した"とは言い難い。
昔のにじさんじならばこうした歌や案件などは「JK組」などの「THE・にじさんじ」と言えるようなトップ層達のみに与えられるような役割であった。

しかし今にじさんじの成長やサポート体制の強化、多方面でのコネクションの増加に伴って多くのライバーにこうしたチャンスが与えられ始めている。
これにより下位ライバーの中でもYouTube外での音楽活動などによって、
”自己実現の達成感”が得られるケースが増えたのだ。

そこまで数字を求めなくても何かしらの自己実現が果たせる場所。
それがにじさんじ。

これによりライバー達にとってのYouTube上での活動があくまでも手段や過程となり、自分なりの自己実現を別のフィールドに作るケースが生まれている。

その為『生配信で人気を得るための活動』に対してはそこまで本格的に注力をしない、しなくても十分に満たされる活動スタイルというのが増えて行くのだろうと推察する。

「生配信以外の舞台でも認められたい。」
YouTubeの登録者や視聴者数だけを見ないライバーの在り方だ。

中にはアイドルになりたかったライバーが、実際にアイドルになった事でその夢を叶えて、アイドル活動がメインとなる為に普段の配信の意義を失う。
という事もあるかもしれない。

当然そういった価値観の変化は認められるべきだろう。
どこに比重を置くかはそのライバー本人が決める事だ。
活動を続ける中でも様々なお仕事の話が舞い込んでくる。
念願叶ったりの大きなチャンスもあれば、新しいチャレンジや今後の人生経験の糧となるような出会いがあるかもしれない。

だが、それらにリソースを避けば普段の配信が疎かになるのは確実だ。

ライバー達が普段の配信以外へのリソースを差し向ける程に、自己実現を叶える程に、『個の集客力を伴う配信の密度』がにじさんじ全体で低下していく事になる。

また後発のライバー達も、配信外で活躍する綺羅びやかな先輩ライバーに憧れて倣うだろう。
YouTubeの登録者と視聴者数という数字を延々と追い求めるような、
所謂”「ただの生主」では終わらない活動者"を志すようなライバーが多数デビューする。

そこには目に見えた数字や人気が伴わない。
新人の伸びは緩やかだ。
これに対して今更「何故だ!?」などと疑問に思うまい。


この界隈でのライバー(配信者)タイプの活動者の『普遍的需要』は既存の生主スタイル的な活動にあり、最もファンを稼ぐ(人気になる)為のリソース配分がそこにある。


人気YouTuberの多くもYouTubeに特化して、そこに注力した結果として人気になっている。
その後にテレビ番組などに出演してタレント的な活動が増えるとしても、
それは人気になった後の活動の広がりの一つである。

根本的には、
『自分のファンを稼ぐ為の活動に全力を注いでるから人気になれる』
そんな中でYouTubeで人気になる前に配信外での活路を見出すという事は、活動に対してのリソースがそちらに取られるという事でもあり、人一人に備わる時間や活動エネルギーが有限である以上は一定の不利となる。

これから逸れて『生主的な活動以外での成功を目指す』というのは、
"目先の数字に繋がらない分野への注力"と言い換える事が出来る。


つまり、最初から目指していないのだ。
ライバーなのに生配信で人気になる事を目的としていないライバーがいる。


YouTubeでの数字やお金を全力で獲りに行っている人と、
それ以外の分野にも活動のリソースを割いている人。

同じ場所で戦えばどちらが人気の上で優位になるかは明白だろう。

この理論で強いのは、
「活動を通してより多くの登録者(ファン)を稼ぎ、より多くのお金を稼ぐ事」を自己実現とするようなライバー。

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数字的な功名心と配信での稼ぎに多くのリソースを注げるような人材。
このタイプを積極的に採用しているようにも見えるのが『ホロライブ』

配信でファンを増やして、配信活動で収入を得ることが活動理由の大前提。
のみならず今までも、そして今後の人生設計においても配信活動以外が割り込む余地が少ない。

人生これ終生配信者也』という在り方の強さ。

それ以外の言ってしまえば”配信外の横道”に逸れるような自己実現を目指そうとする人材をあまり採用していないように見受けられるのだ。

直接的な利益にならない事へのリソースは極力回さず、
それ故の高い配信意欲。
ファンを増やすという命題に基づく外部への訴求力、話題作り、トレンドへの敏感さ。

何よりもファンがより増えるような強い行動を取り続ける。

この箱に案件が少ない。などと揶揄するのは全く持って見えていない。
そう見えるとしたら単に"普段の配信の方が投げ銭で儲かる"のだから、
"利益の低い案件に対して積極的に活動のリソースを回していない"だけだろう。

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普段の配信で稼げる数字やお金が強いからこそ、そもそも案件を必要としているライバーというものが少ない。

言い換えれば案件をするよりも普段の配信をする方が得な環境なのだ。

ある種の"案件デバフ"と化して視聴者数が800人になるような案件や、
自身の人気を犠牲にするような案件は積極的に行わない。

『宣伝効果の見込める大手のIP』や、『YouTubeの自身のチャンネルの数字に還元されるような案件』が多く、明確に利益をもたらすような大型の案件を賢く選び取っているだけのように見える。

彼らのような配信をする事が最大の趣味であり、ファンを増やす事を第一として、その一生を配信者として生きていくような在り方にはこのYouTubeという媒体で活動する上での人気商売的な強みがある。

登録者や視聴者数を増やす事が活動理由の大半を占めるならば、
”ファンからの需要とライバーの自己実現は直結する”

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登録者や数字で示される『稼げる箱』という風評は間違いなく稼ぐ事を目的とした配信者、稼ぐ事が上手い配信者を呼び込み易くする。


YouTubeで稼ぐことが上手いとは即ち、
『自らのファンを増やす為の活動に意欲的である事』
その為に今の時流や需要に合致したような得意分野を持つ配信特化の新人がデビューする。

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その点でも、
"数字に結びつかない生配信以外での活動"を『自己実現』の範囲に含めているライバーを積極的に獲得するにじさんじは異なる方向に進もうとしている。

新人や新規登録者の数字だけを見た場合に大きく突き放されているのは、
この方向性や活動目的の差が大きいと言える。

もちろんホロライブの方向性にも一定の懸念材料や欠点が見られるのだが、今回はにじさんじの記事なのでここまでとする。

※にじホロの人材採用比較という話になるとよく、「3期生の○○はにじさんじに落ちてホロライブに受かった」云々という噂話を一部で耳にするが、私が知る限り一切のソースが無い。(そもそも企業勢が頻繁にそんなアピールを配信上でするようならばそれはそれで問題である)




話を戻すと、様々な分野に人生の選択肢が分岐するようになっているようにも見えるにじさんじの方向性というものは『ライバー個人の今後の人生』を考えるならば決して悪い話ではない。

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グッズの多さ、案件の多さなどからしても多様面に根を張るにじさんじの基盤にはしっかりとした計画性が見られ、Vtuberの中でも比較的に安定した収入が得られる環境に見える。

また、配信でファンを増やしてお金を稼ぐ以外の人生の付加価値を活動の中に見い出して、”ただの生主的な経験"だけで終わらない方向にも向かう。

という今のにじさんじの箱全体の強さや成長性は、
『個の人気』よりも『個の自己実現の拡張』に還元されている。

然りに、豊かな人生経験とチャレンジの場。
にじさんじはライバーにとっては素晴らしい職場だ。

・・・。

けれど『ファンの本音(わがまま)』としてはどうだろうか?と考えてしまう時もある。

多くのファンが求めているのは『生主的活動』ではないのか?

にじさんじを見ている理由は、”普段の生配信”にこそあるのではないのか?


一つ考えてみて欲しい。

自分の推しがとある案件をする事になった。
ファンとしては祝福するべき報せだ。

だがその打ち合わせや練習の為「今後しばらく配信頻度が下がる」と言う。
これを素直に喜べるだろうか。

仮に1回のライブを実現させる為に、配信20回分が犠牲になるとしたら。『ライブ1回と配信20回』
ファンに選べる自由があるならばどちらを選ぶだろうか。


という思考実験的な話でありながら、恐らく今後も多くのライバーのファン達が実際に直面する話だろう。

もちろん最近の歌を武器にしてデビューするライバー達のように、最初からそういった夢や目標の為に活動していく事を宣言し、そこに対しての応援意識を持つようなライバーとファンの関係性というものはある。
推しのライバー個々の活動目的によっても回答はバラけるだろう。

ただ多くのライバーの場合では私の本音は"普段の配信"の方にある。

『にじさんじ Music Festival 』『Zepp』に代表されるライブイベントはもちろん楽しめないわけがないが、あくまでもたまにあるから感動する類の特別なイベントだ。
どう足掻いても私がにじさんじを見始めた理由、
今もにじさんじを見ている最大の理由は普段の配信の方にある。

にじさんじの歌姫的ポジションで名が通っている「樋口楓」にはその人気の成り立ちからしても歌やライブと直結した需要や役割性があり、ファンもまたこれを求めるが、ゲーム配信などで人気になったライバーや得意分野が別にあるライバーにまでこの路線を求めるものだろうか?
その配信頻度を犠牲にしてまでも・・・。


だが表向きこれは言い難い。

ライバーが健全な形で新しいチャレンジをするならば、
ファンにはそれを応援して後押しするという回答しか存在しない。
応援する事はファンの義務と言っても良い。

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「案件なんてやらずに配信してくれ!」と口にするのは悪いファンだ。

配信頻度を犠牲にして、案件に注力するとしてもこれを喜ぶしかなく、
ライバー側もそのように応援されるならば安心して、
目先の配信や人気を犠牲にした自己実現』に挑むことが出来る。

誰も声を挙げないままに個の配信力を低下させながら、
新規獲得には労力を回さないライバーが育成されていく問題が付き纏う。

前回の記事で語ったにじさんじライバーの外交力の低さ、打算的な意識の弱さもおおよそこれに起因するものと推察出来る。
「新規獲得の為の~」という目的がにじさんじライバーには欠けている。
新規のファンを増やさなくても満足できるような活動のスタイルが成り立っている。

「それでもライバーは仕事としてお金や数字を気にして活動している」
「夢ばかり追っているだけのお花畑ではない」
と思う人もいるだろう。

たしかにライバーは少なからず稼ぐために活動をしている。
月末になるとライバーが一斉につぶやきだす「課題」や「宿題」もその為の活動だ。

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おおよそ「ボイスの収録」であると推測出来る。
ライバーにとっても還元される取り分が多いとされる為、安定した活動を続ける上での必要な仕事であり、これらも立派なファンを楽しませるためのライバー活動と言えるのだろう。

しかしこれらもまた、配信というコンテンツに載る事はなく、この作業によって増える新規のファンはいない。

にじさんじのボイス販売量は非常に多く、これにかける作業量はそれなりに大きいはずだ。

今のライバー活動の多くにはこうしたファンを増やす事には繋がらないようなお仕事や、楽しめる対象が一部のファンに限定されるお仕事が数多くある。

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「だいたいにじさんじのらじお」「京まふ」「にじさんぽ」、増える数々の案件。
「オリジナルグッズ」、「カバーアルバム」、「ニコニコ動画のハッピーアワー」、「ファンクラブ」「公式有料メンバーシップ専用動画」」などの収録。

にじさんじの人気や集客力が多くの人に評価された喜ばしい成果ではある一方で、これらの活動にばかりリソースを割かれるようになると、
新規にファンを獲得するための個人配信はどうしても手薄となってしまう。


配信の頻度だけは維持出来たとしても、
「作業配信」、「振り返り雑談」、「ツイキャス配信」「メンバー限定配信」などに終始してしまう事もある。
個人がYouTubeで凝った企画をするだけの準備時間を取ることも出来なくなり、頻度を維持する事に終始して話題性のある配信からは遠ざかる。


イベントに足を運べる人とそれ以外のようなファンの間での熱量のズレ。

有料公開系のコンテンツなどは、その性質上見られる人が限られている。
恐らく10分の1か、場合によってはもっと減るだろう。
限られた人向けのコンテンツに対して活動のリソースを向けながら、限られた人しか把握出来ていないコンテンツの振り返り雑談をされてもどうなの?と。

この不満や愚痴にも行き場がない。

運営が悪いならば運営を責められるが、案件やイベントなどのお仕事に関しては運営が強要しているのではなくライバー側が自主的に進んで行っているはずだ。
単純にこれらの活動は健全であり、当事者同士での満足度が強いのは判りきっている。

タレント>生主という意識がどこかにある。


ひたすら引きこもって顔の見えないリスナー相手に喋り続け、
流行りだからと好きでもないゲームをして、
実感の伴わないお金を稼ぐだけの毎日を過ごす事よりも、

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自分でグッズをデザインして販売したみたり、
スタッフや業界関係者と打ち合わせをして、
練習した成果を大きな舞台で披露するような、

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タレント的な活動の方がよっぽど”社会人然とした活動者”としてまともで、今後の豊かな将来にも繋がる。

「生主的配信者」や「バーチャルキャバクラ嬢」と揶揄される存在で終わらない。
それがにじさんじの方針であり多くのライバーが目指したい未来。


事実としてあるのは、昔生配信を武器にファンを増やしたにじさんじは
今、ファンが増え難い活動に対して活動のリソースが向き易くなっている。
という事。
ファンの我儘を無視して、自らの自己実現に向かおうとしている。

これもまたにじさんじ全体の勢いとライバー個々の人気が比例していかない理由でもあると考える。


満足感からの停滞


ほとんど配信をせずに、しかしグッズ製作にはリソースを割り当てる。
案件やコラボが多くソロ配信をしなくなる。
外部コラボをしても自分は枠を取らず、相手に利益を取られるがまま。
にじさんじという最大手に入っても、自身の配信活動内でファンを獲得しようとしないライバーは存外多いように見える。


例えば「飛鳥ひな」における自己実現。

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彼女の活動の目的は配信上で自身のファンを増やす事に紐付いたものではないように思える。
これだけの能力の高さを普段の自分の配信にあまり活かすような活動はせず、ファンを増やすための積極的な姿勢は見せない。

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ライバーとしての自己実現は同僚のにじさんじライバーのボイス脚本を執筆する事で裏方的な立ち位置でにじさんじに関与する事ではなかろうか。
オタクとしての『推し活』によって周囲から「ひなP」と呼ばれるように、
同業者や同僚から慕われる裏方的な立ち位置に付く事も一つの活動の在り方だろう。



同じく「瀬戸美夜子」などもライバーとしての成功よりも、
ファン目線のオタクとしての立ち位置を好んでいるように見える。

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にじさんじの花形を務めるライバー達の華々しい活躍に対しても半ば傍観者的であり、同じにじさんじとして誇らしげにはするものの徹底してその立ち位置はオタク的なファンムーブ。
コラボはしても誰かとユニットを組んで上を目指そうと言った、
演者側として並び立とうとするような強い選択肢を取ろうとはしない。


言わずと知れた「サブカルオタク」である所の「月ノ美兎」。
彼女が人気になった理由の一つにはオタクとしての知識や経験が間違いなくあった。
配信で披露するのは視聴者を楽しませるために厳選されたオタクトーク。
「清楚な女子高生ぶってムカデ人間を見る」というギャップにしても判っていて自分から売りにしたものだ。
自身のオタク的な個性を積極的に芸として活用して、これをキャラクターの人気に結び付けた。

「にじさんじのオタク君」である「社築」におけるオタク属性は弄られ役としてのポジション的な意味合いが強く出ている。
同僚のライバーや、見ているリスナーから「オタク君早口で気持ち悪いw」と認識される事をエンタメに繋げるような立ち回りがある。

それらのライバーの「オタク売り」と違って、彼女のオタクとしての表現は演者としての武器にまでしようとしない完全にパーソナルな露出である。

「リングフィットアドベンチャー」の配信で注目を集めた際にも、自身のオタクとしての理想的な価値観からその注目のされ方を認められず、これをチャンスとして活かさなかった。

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界隈のイナゴ的なリスナーの統制を図ろうとするのは多くのライバーにとって難しい話だ。
Vtuberリスナー、オタク全般に自身のような高潔で理想的なオタク象を求める彼女の立ち位置はエンタメの裏側的であり、この後に行われた雑談配信も含めて彼女の立ち位置が垣間見える。

【雑談】おやつ時の雑談はいかが〜このあと何するか決めるよ〜【にじさんじ/瀬戸美夜子】

そう、にじさんじにすら入れないのに何言ってんだお前ぇ~。
あたしってにじさんじよりもその外でにじさんじじゃない方と良くコラボさせて貰ってるんですけど、
にじさんじしか知らないような人が「何で良くわからない人とコラボしてるんだ瀬戸は、にじさんじ辞めちまえ」って
「お前じゃあにじさんじ入ってみろよこのやろぉ~って思うよ」
私がコラボする人は凄い楽しくて優しくて面白い。みんなそれぞれ素敵な方なのに、その人達の事を見ないで名前を知ってるか知らないかだけで判断するお前はオタクの風上にも置けない。っていうね。
にじさんじ同士でのコラボしても文句言う人もいるし、何しても文句を付けたがるんだもんね。

あ、にじさんじ入れなかったのかな?
なんかにじさんじ入れなかったから、悲しい事になってんのかな。
「あっ可哀想ですねぇ~」って思うしか無いよね。
「美夜子の事伸びないって馬鹿にしてる人いるけど、その伸びない美夜子よりも受かってないんですよね。」っていう気持ちになるしかねぇよな。

この一連のやり取りやこれまでの活動スタンスから察するに、「瀬戸美夜子」というライバーは、にじさんじに所属している時点で一定の夢を叶えているようにも見えるのだ。

Vtuberオタク、にじさんじオタクがそのVtuberやにじさんじと同じ場所に立つ事で夢が叶った。
これもまた既に自己実現を成している為、これ以上のファンを無理に求めないパターンではなかろうか。
自身が濃いにじさんじファンである事、しかしただのリスナーとは違いにじさんじ所属のライバーである事に価値を置き、オタクとしての強い在り方を好むのはかつての記事で取り上げた「神田笑一」にも見られた習性である。

彼らのようにオタク的な推し活動の痕跡が顕著に見えるライバーには共通して、「にじさんじでのこれ以上の活躍は望んでないのかな?」と思う所がある。


次に取り挙げるのは「ドーラ」
このライバーは一見すると大舞台に立つ経験が多く、明確な日の目を浴びたライバーの一人であると言えるだろう。
現在は「まりなす」など自分の好きなVの宣伝活動をTwitterでしているのを良く見かけ、特に推しである「MonsterZ MATE」の動画などに数多く出演をしている。

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それだけではなく、「にじさんじ映画部」とのコラボ同時視聴枠をする。
グッズを作る。案件も頑張っている。ド葛本社の準備もする。

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だが、個人配信は滅多にしない。

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これだけ他の活動にリソースを注いでいるならば無理のない事だろう。
個人配信が合ったとしても集客が見込める流行のゲームなどを配信でする事はほとんど無く、新規が増え難いような作業的な配信に追われている。

ソシャゲのガチャ報告はするがガチャ配信をすることはない。
ガチャ配信をすれば少なからず話題性で登録者やファンは増えると誰でも判るがそこまではしない。
ならば個人のファンがこれ以上激的に増える事はないだろう。

"恐らくこのライバー達はそれで良いと思っている。"

そもそも意図的に増やそうとしていないのだ。
際限なく「登録者100万人が欲しい」などとは思っていないのだろう。
配信をして投げ銭で稼ごうとも思っていない。

「ドーラ」のパターンで言えば、
推しのVと頻繁にコラボをして、
映画部で一緒に好きな映画を鑑賞し、
案件を行いライブに出演して多数の成功体験を経て、
自分のグッズを販売する事で安定的な収入を得て、趣味に費やす。

客観的に見てもまごうことなき成功者だ。

望んだ上でのこの活動スタイルを取って、既に満たされている。
自己実現は叶えられ、充実したライバー生活を送っているように思える。
私が彼女の立場でもこれ以上貪欲にソロ配信に活動リソースを割り振って、自身のファンを増やそうなどと思わないだろう。

にじさんじライバーにはライバーとして活動をしていても、このように個人個人が現状で満たされているが故、積極的にファンを求める活動をしなくなるようなパターンが多く観測される。

"既に自己実現を叶えてしまっている在り方"というのが成立しているのだ。



飛躍を望まない者



3Dになりたいとそのために10万人というラインは必死に目指すが、
じゃあそこから20万人、50万人、100万人とまで労力を注ぎ込もうという意欲が見えるライバーはどれだけ居るだろうか?

今10万人をゆるゆると達成したライバーのほとんどが、その時点で叶う自己実現で満足して止まってしまう気満々にも見える。

そうしたライバーを悪いとは言えない。
ライバー活動にどこまでを求めるのかは自由に決めれば良い。
ただ、この記事の主題である「にじさんじは箱としては19万人も出せるのに個の人気にはあまり還元されないよね?。何でだろう」と疑問に思う事への回答としてはこの辺の理由が強い。


にじさんじ自体の箱の強さは、ライバーに余裕を生み出す。
まだファンを貪欲に求める意思のある一部の上位ライバーと、その集客力で箱が強くなれば当然にじさんじ全体が案件などには強くなる。
運営の懐が潤い時間が経てば3D技術も飛躍的に進化する。
そこまで人気が奮わないライバーでも、それなりの自己実現ならば、
箱の勢いのおこぼれ的なノリで叶えて貰える機会が増えて行く。


自分が『積極的にファンを獲得する為の活動』をしなくても、
その間ににじさんじの誰か(ファンを獲得するムーブをするライバー)、
関係性がある誰か(同期やユニット)、
にじさんじの箱が一定の客や案件を運んで来てくれる。

何よりも『にじさんじのイベント』という目に見えた強さがライバーに安心を提供してくれている。
「にじさんじはこんなに盛り上がっている。これだけ沢山のファンが付いているんだから自分が頑張らなくても安泰だ」

自分が率先して箱を盛り上げようと、ファンを増やそうとはしなくなる。

実際に多くのファンを抱えるのはにじさんじという箱と一部の上位ライバーが中心という事には恐らく大半のライバーが気付いている。
「この数字は先輩ライバー達のおかげです」と口々に言っているのは謙遜ばかりではないだろう。

だからこそにじさんじの成長具合を当てにして、率先してファンを増やそうとはしない。
『その必要がない。』
そこまでガツガツしたムーブを取っても叩かれやすくなるだけだ。
にじさんじは勝手に大きくなるのだから、そこに漫然と所属をしていればお得なのだ。

前述したような直接的な人気や華々しい活躍とは無縁な自己実現の形も存在する。
10万人などの一定のラインまで到達したら、コラボやイベントに参加して、ソロ配信は適当に流す。
ゆるく活動を続けて何れ自分にも舞い込んでくる自己実現を待つという受け身の姿勢も有りだ。

だがこのような姿勢からは新しい上位ライバー、看板的なライバーは生まれないだろう。

にじさんじは『成長と努力の過程を魅力的に映す事に向いた環境』ではあるが、だからこそまだ上を目指せるんだとファンが可能性に期待したくなるようなライバーでなくては応援のし甲斐が無いからだ。

にじさんじのイベントがその盛り上がりの割に、下位勢引き上げの機能を満足に果たない事への疑問にはそうした、
「そもそも貪欲にチャンスをものにする気が無いライバーも居る」という点を考慮しなくてはならない。


大きなイベントに参加をしても舞い込んだチャンスを活かさずに、ただいつもの活動をいつものように続けようとする。
そうして注目度も切れていつもの視聴者数に戻り、またイベントに参加して満足する事を繰り返す事でにじさんじファンからの「飛躍を拒む人」「現状維持を望むライバー」という認知だけを加速させる。

このライバーがそうだというわけではないが、
色々と勿体ないと思うライバーは多い。


例えば「奈羅花」

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にじさんじの女性ライバーの中でもトップクラスにゲームが上手く、現在のゲーム有利という環境下では確実なアドバンテージを持つライバーだ。
FPSも上手い、ポケモンも上手い。声も良くASMRも出来る。
その得意分野、ライバーとしての武器だけを見るならばはっきり言ってもっと上を目指せるライバーに感じられる。

ただ配信頻度が死んでいる。
そこまで詳しくないのでその辺の理由は探らないが、不定期且つ異様なまでに配信告知からの中止や延期が多かった。

中堅上位のライバーばかりが参加していた「紅白対抗スーパーマリオ10時間リレー」の企画では、恐らくはそのゲームの腕が見込まれて新人救済枠的に運営からメンバーとして選出され、この期待通りに活躍をした。

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しかしその後に配信が出来なかった。
運営のサポートがあっても不可能な救済というものがある。

そもそもメンバーシップのプランを複数設置している彼女の場合は、多くのファンからの人気を無理に維持するより、少数のファンからの支持だけで良いと考えているのかもしれない。
事実1期2期などには副業的なライバーも多く、そういった活動スタンスもまたにじさんじ的だ。


ポケモン大会での活躍で一躍注目の的となった「出雲霞」

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上級者相手に見せるドラマチックなジャイアントキリングや同期対決。
初心者にして大健闘の2位という結果に心躍った視聴者は多かった。
流れがある内にすぐさまポケモンのレート配信でも連打して「ポケモンで有名な人」の枠に収まれば悠々と10万人は達成出来たはずである。

ただ彼女はポケモン配信にそこまで注力しなかった。
この注目度の高さを糧に上を目指すような選択肢を取らなかった。

この辺の推し意識を角が立たないように言い表すのは難しい。
P面するなと言われそうだが応援しているファンからすれば、
「ここで10万人まで到達して欲しい」と思うのも普通の事だと思う。
本当に歯がゆい思いをしなかったのだろうか?
彼女のそれは決してファンへの裏切りなどではなく、むしろ普段から来てくれている固定ファンを尊重しているとも言えるルーティーンなのだが、何度も何度も目に見えたチャンスを掴めないで居るライバーの事を推し続けられる人は限られている。

にじさんじのイベント戦略によって箱全体に活気が灯り、そこから新規が増えたとして、このような熱量が高いコンテンツに触れたファンが次に求めるのは、往々にしてギラギラと輝く『同じ熱を伴うHOTなコンテンツ』

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「舞元啓介」「社築」などに多くの人が集まるようになった一因は彼が"夢や目標を叶え続ける姿"をファンに見せ続ける事で明確な熱を灯しているからではなかろうか。

反対に飛躍する意識に乏しいライバー達のそれには、これらのギラ付いたトレンド力と相反する姿勢が見られる『COOLなコンテンツ』だ。
瞬間的に注目されたとしてもすぐにその熱を冷やしてしまう。

にじさんじで同接1000人を割るようなライバーの多くがそういった、『上を目指す意思』を見せようとしないライバーに思えてならない。
にじさんじという大舞台に立ちながら、チャンスを半ば意図的にスルーし続ける事で、このライバーの今後の展望を見続ける事での目新しさが乏しく、箱の奔流にあるファン層を丸々遠ざけている。

だが、やはり彼らはそこに焦りを抱いている様子はない。
むしろこれが自分にとっての分相応と望んでそのポジションに居るように見える。

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上の画像で示した相関図で言う所の緑の円に近い右下のグループのライバー達はそもそも今以上に上り詰める野心があるようには見えない。

『Vtuber甲子園』では「シスター・クレア」が自身のゲーム中の活躍になぞらえて「森のプーさんホームランダービー(通称プニキ)」をすぐさま配信した事があったが、そういったイベントの熱を自身に集めるような行動をライバーが取る事は非常に少ない。

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「黒井しば」「静凛」が『にじさんじ甲子園』でその名に注目を浴びたとて"このチャンスを活かす為の配信"をするかというとしないだろう。

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にじさんじのイベントを見て視聴者目線で盛り上がりはするものの、
どれだけ注目を浴びてもわざわざ人気や熱量の渦中に飛び込んで普段と違う事はしない。
既存のファンと今の活動スタイルで満足しているからこそ、日課の如く新規が増えない事も理解しつつ『FF14』の配信を続ける。

ならばイベントでのこうしたライバー達の活躍は本人の配信にまで繋がらず『イベント時の配役』に留まる。

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にじさんじのイベントや大会を楽しむためには、参加ライバー全員の人となりや、キャラクター性、今までのエピソードを把握していた方が十全に楽しめるのは間違いない。
ただこれは物量的に不可能。そんな時間はない。
何よりも今にじさんじを見始めた人の目に映る「黒井しば」、「静凛」の姿は「FF14をやっている人」だ。
個人配信を見に行っても特別な追加の情報は無く、
見た目やファンからの『既存の風評』で把握が出来てしまう。

即ち、「黒井しば」は『見た目が稀有な犬型』である事だけを把握していれば十分。
大きなイベント時にこの動物が他ライバーからの弄られるポイントも視聴者からのコメントもそこに終始している。

「静凛」などは判りやすくにじさんじの礎を作ったライバーである為、今尚その存在感は強い。
イベントにでも出てくればたしかに「にじさんじの大御所がいらっしゃったぞ!」と一定の盛り上がりはするのだが、これもまた彼女が『にじさんじの大御所』的なキャラクターである事を把握しておけば十分となってしまう。

例えば「樋口楓」がポケモン大会で負けた直後に枠を取って行ったプニキ配信ではその咽び泣く発狂っぷりが話題となった。
後輩のライバーが増えるに伴って元々の『ヤンキー属性』も強まっていったが、これらもある程度は自身がファンからの期待や需要に応えようと意識した結果だろう。
その時のにじさんじのイベント、時勢に絡めて個人の配信に足を運びたくなるような要素、キャラクター作りを随時更新していっている為、これが新規のファンにとっても配信に足を運ぶ理由になる。

それらと違い実際に配信を見て把握したくなる強烈なエピソードというものが長らく生まれないライバーに関しては、今イベントを楽しむために把握しておくべき情報量は限りなく少なくて済む。
イベント外で行っている普段の活動を見に行く動機に弱い。

『にじさんじの犬役』、『にじさんじの大御所』という『配役』がイベントを盛り上げる一助となるに過ぎず、そういった意味でイベントを彩る事になろうとも、

"配役はそれだけではライバー自身の人気には結びつかない"

普段の配信内容があまりにも新規を拒んでいる。
この手のライバーの事をイベントを理由に見始めようとは思えないのだ。
イベントを超えた範囲での個に対しての関心にまでたどり着かず、ファンからの認識は、『イベント時限定の○○という配役』に留まる。

「渋谷ハジメ」がイベントやコラボで活躍をしても普段の配信に足を運ぶ人が増えないのはその辺も関係している。

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"ARK世界の武器商人「渋谷ハジメ」"に興味はあっても、その後にLoL配信をする「渋谷ハジメ」には興味がない。という人達が多く見受けられる。
「にじさんじ甲子園でハジキ(の名前を与えられたNPC)が活躍している!」という状況にファンは盛り上がるが、それらイベントとかけ離れた「渋谷ハジメ本人」に誘導される者はずっと少ない。

これらは認知不足から来るものではなく、むしろ「渋谷ハジメ」が様々な場で知られ過ぎた事の不利だ。
イベントでは活躍をしても、通常の配信で大業を成すタイプのライバーではないと思われてしまっている。

ある種にじさんじのイベントはそこで求められる判りやすい属性だけがフォーカスされる事で、通常の活動とは切り離された空間で盛り上がるTRPG的世界にも見える。


ゲーマーズ待望論

私がこの記事で提示した問題をまとめると、
イベント戦略による『個のコンテンツへの関心の低下』
ゲーム以外のスキルを持ったライバー達の『向き不向きによる不利』
自己実現を叶える為の『配信外活動の増加に伴う配信頻度、意欲の低下』
箱に帰属した盛り上がりに依存して、自身の活動のリソースを個のファンを増やす活動に回さない『飛躍を拒む、余裕ある活動者としての在り方』。

これらを一概に悪いと断じるべきではないのだろうが、後発のライバーの不振、既存の人気ライバー以外が注目され難い環境になった事への因果関係を並べ立てるならこう分析する。

この分析を元に、今の状況でもバズれるような新人を排出するにはどうしたら良いか。


まず人気になれるようなライバーにはおおよそ2つの要素が不可欠である。

1つは数字意識を高く持って、積極的にファンを増やそうとする姿勢。
界隈やにじさんじで需要がある事をしっかりと見抜き、格上とのコラボなど人脈を活用しての立ち回りの上手さが問われる。
得意分野がゲーム以外に向いているような人、クリエイティブ系、にじホロ周辺の個人勢などが這い上がる術もほぼこの力に集約される。

もう1つは求められる需要と配信内容が合致している事。
例えば「葛葉」は配信の告知も直前。サムネもタイトルも適当。人を積極的に集めるような活動スタイルにはなっていない。
なのににじさんじでもトップクラスで視聴者が集まって来るライバーだ。
それは彼が、ゲームや配信という分野で一際高い能力を持っているからに他ならない。
何よりこの自らの得意分野であるゲーム配信をしたくてしているライバーなのだ。
自らが楽しんでいるしファンも楽しませている。

ならばこの両方の特性を兼ね備えるのがもっとも強い。
と言っても良いのだが、今のにじさんじの環境、文化を鑑みると前者のような計算高いタイプには生き難さがあるように思える。

他のにじさんじライバーの多くがそういった部分をあまり露骨に出さず成功してしまっているだけに先輩ライバーを見習えばこそ、こういった意識が芽生えるきっかけは薄く、仮に数字を貪欲に求める姿勢を見せてしまえば、
ファンからも必要以上に計算高く見られ、印象悪く思われる。

どう立ち回っても数字を求める姿勢そのもの対して「にじさんじのローカルルール的な批判」が集中する。

ならば現段階で穏便に人気ライバーを目指というならば後者のような、
「ファン獲得に対しての意思は弱くても単純に配信内容に需要があるライバー」になるだろう。


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「勇気ちひろ」
APEXが好きで上手くなる為に延々と配信をし続けた努力が実を結び、
今やVtuber界隈のみならずFPS界隈からも人が集まった。

彼女も積極的に人気を得ようとガツガツ動いたタイプではない。
1期生の出身なのもあって実ににじさんじ的なライバーの1人である。

活動途中からやっていたのはひたすらAPEX配信。
寝ても覚めてもという調子でAPEXをし続けた。
バズる為にやっていたようには見えなかった。
ただ好きだから続けていた。
「APEX配信には需要がない」「ファンの方を見ろ」と厄介リスナーから再三に渡ってクレームを付けられてメンタルが落ち込む事も多かった。
それでも好きなゲームを上手くなる為に続けた結果が現在の彼女の人気に結び付いている。

彼女の人気が伸びたのは「勇気ちひろ」の好きに対してのリソースの使い方が周囲の需要と噛み合ったからでもある。
これは判りやすく"ゲームというそもそも需要がある処に活動の重きを置く活動スタイル”の有利が示された形でもあった。

大会でチームを組む事が多い「葛葉」や「叶」との繋がりにしてもこのゲームからの縁。
ゲームが上手く、イベントで活躍する彼らと『対等な位置に立てるような女性ライバー』が評価されないわけがない。

「勇気ちひろ」の活躍はにじさんじ特有の、数字への貪欲さに欠ける活動スタイルでも高い集客力を発揮できる証明だ。
ここに人気ライバーを生み出す為にはどうしたら良いかの回答がある。




答えは簡単。

「ゲームが好き」で「生配信者的活動」に重きを置く「専業的」人材
つまり"ゲーマーズ的な性質"を強く持つライバーばかりをデビューさせる事。


界隈の内外を見渡して見ても、"生配信におけるゲーム実況の優位”は近年特に目立つようになった。

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その上で「Vtuberのゲーム実況」には大きな注目が集まっている。

これはVtuberがゲーム”も”するというよりは、『二次元キャラのゲーム実況』というコンテンツへの需要が高まっているようにも見える。
人気に掛かっているのは「Vtuberのブランド力」ではなく、ゲームというある種の二次元的コンテンツを嗜好するようなオタク的な視聴者層と、その二次元的な見た目やキャラクターを武器とする配信者の親和性の高さの方にある。


この1年あまりの間にデビューした女性ライバーを振り返っても、ゲーム適正や配信経験値が高く、何よりゲーム好きで、配信活動の目的はゲームにある。と言えるのは前述した配信頻度が不安定な「奈羅花」やセレ女の「西園チグサ」くらいである。

ならば新人や下位ライバーが伸び難くなったのは当たり前だ。

その前のゲーマーズ的な立ち位置の女性ライバーと言えば私の中では、
「ニュイ・ソシエール、夜身れな、アルス・アルマル、ラトナ・プティ」にまで遡る。


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「ニュイ・ソシエール」の活動目的はゲーム配信。にじさんじオーディションにもゲーム動画を提出して合格している。
「RPGの配信がしたい」とにじさんじに入り、その目標見通りに今にじさんじのRPG配信と言えばニュイ・ソシエールと固定層の強さを確立した。
彼女は場合は、定期配信の時間帯が昼というのもポイントだろう。


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「アルス・アルマル」は「エクス・アルビオ」とのカップリングで有名になった印象が強いが、デビュー時期的に「笹木咲」と「椎名唯華」がライブで不在となった期間にゲマズ層に注目されたという印象もある。
引きこもりのぼっち気質。リスナーとのプロレス。
それまでの「椎名唯華」にあった"顔でかネタ"などを見ても判りやすくファンの流動が感じ取れた。
主にマイクラや箱ゲーを長時間行い、現在の共有鯖での重鎮的ポジション。
配信時間帯は深夜。


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「夜見れな」は高頻度、長時間のゲーム配信が安定して可能な配信体力に優れたライバーだ。
面倒見がよく最近では「にじさんじレジスタンス(株)」での椎名唯華の介護人といった存在感を増している。
そうしたサポート性能の高さを発揮できるのも、コラボの舞台となるゲームに対して一定の経験、配信者としての高いスキルを有している部分が大きい。
また彼女はニュイ・ソシエールと同じくにじさんじ昼配信の顔である。


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「ラトナ・プティ」は本間ひまわりとのコラボやARKの戦争過程で注目され、FPSという武器を活かした2434リレーでも叶、葛葉に次ぐキルレ3位の存在感を示して次のAPEX配信にはソロでも8000人が集まった。
今や同じ敷地内に引っ越すほどに仲が良い本間ひまわりとの関係性は「Overwatch」というゲームがきっかけ。
配信時間帯は朝の11時と深夜(ASMR)


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「星川サラ」などはゲーマー気質ではないものの、潜在的なゲームセンスや勝負事での負けず嫌いな性格が武器となった。
デビュー直後のポケモン剣盾杯では「叶」を下してのベスト8。マリカ大会では「葛葉」、「叶」、「笹木咲」のゲーマーズ上位陣に次ぐ4位という好成績で爪痕を残す。
彼女のようにある程度ゲームが得意な印象付けが出来るライバーは、
その自身のゲームセンスを「天才w」「負けたら○○」などイキってからボコられるというお決まりのオチを成立させ易く、ゲームを利用したプロレスが芸になる。

参加型企画などでは、視聴者側もそのノリを期待して遠慮無く全力でプレイする為、自ずと盛り上がる展開を引き当て易くなるのだ。

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「笹木咲」や「本間ひまわり」のスマブラ配信などに現れた「例のゴリラ」にしても、ゲーム慣れしていないライバーの配信で暴れるならばただのイジメにしか見えず、一定のゲームスキルを売りにする配信者の場であるならば面白おかしく受け取られる。
ゲームの世界なら遠慮しなくて良いという立ち位置は自身のみならず周囲の参加者をも配信映えする展開へと巻き込んで行く。



と、別段ライバーをレビューするのが目的の項ではないので判りやすくその特徴をゲーム適正などに絞った。

上に挙げたライバー達は登録者だけで言えば第一線のライバーには劣るかもしれないがデビューした時期、その周辺のライバーとの差を考えると中堅所として過不足が無く、少なくとも視聴者数にして”1000人以下”にまで沈むような事がない。

重要なのは配信活動に対しての人生の依存度が高いライバーである事。
活動帯は昼、深夜帯など基本的にはライフサイクルも一般的なそれではないライバーが多い事に気付く。

・ゲーム適正があり配信それ自体を活動目的とする。
・好きな事と配信で需要のある事が合致してる
・固定層を付けるだけの高い配信頻度や配信体力。
・激戦区のゴールデンタイム以外でも配信が出来る程度に専業的。

こうした性質持ったライバーならば一定の人気を博すだろう。

実際ゲーム向きで配信巧者のライバー自体は間間にポツポツと出ている。
人気になり易いゲームが得意なライバーや生配信の経験者を主軸にして、
歌は得意だがゲームや配信知識が乏しいライバーと組ませる事で上に引っ張り上げるような組ませ方。
そうしてグループやユニットで人気となって大舞台に立った際には、反対に歌が得意なライバーなどがその才能を発揮してイベントを盛り上げる。

というような『相互扶助狙いの配役』を運営が狙ったのかは不明だが、
実際にこうした流れは一部のグループの中では成立していた。

ただ今のイベントでのゲーム有利が偏在化した環境ではこれだけでは不足ではなかろうか。
視聴者は最初から既存のゲーム配信が得意なライバーだけを見て、それ以外は見ないという選択肢に向かってしまう。

棘のある言い方になるが配信慣れやゲーム慣れをしていないライバーが足手まといのようになってしまう構図が発生する。
結果として散発的に中堅所がポツポツと増えていくのみであり、今のにじさんじは新人によって新しくトレンドを作る程の爆発的な話題性を提供する事が出来ていない。
何よりもにじさんじの新人は伸び難いという風評を作ってしまう事が問題に感じられる。
ゲーム以外の得意分野を持つライバーを出すにしても、
「にじさんじの新人だから注目する」という動機付けを失わせてはならない。


然るに、『ゲーマーズ待望論』


ゲームが好きで、配信が好きな集団だけで固めたグループ。
ゲーマーズと近い位置に立てるグループがこのタイミングだからこそ求められているのではなかろうか。

それも「この人って実はゲーム配信が上手かったんだー」ではなく、ゲーム配信が見たい人はこのライバーやこのグループと誘導されるような判りやすい立ち位置を確立せねばならない。
それこそ今のゲーマーズの立ち位置を成り立たせたのはまず、ゲーマーズという集団的なブランドのわかり易さ。
ゲーム配信を求める人にとってのぴったり合うコンテンツがそこにあるという強い目印。
にじさんじでゲーム配信が見たい人は彼らの配信へと誘導されていった。

何より全員が一定のゲーム慣れをしているならば視聴者層は近しくなる。
「ゲーマーズ的ライバーのファン層」がグループへと共有され易い。

「本間ひまわり」がデビュー当時、FPSで強い存在感を放っていた同グループの「叶」に連れられた先のコラボでエイムの良さを指摘され「叶君に褒められるくらいのガチ勢」とファンに認知された事などからしても、ゲーマーズ的ライバーに認められるというのはそれだけで泊が付く。
配信能力に対しての一定の保証となるのである。

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中段でも述べたように既存の人気ライバーの多くが、
"ゲーマーズ周辺と親しい"。

「不破湊」
がデビュー間もなくのマリカ大会で「葛葉」からライバル認定されたような注目のされ方は非常に有効だ。
内ゲバ的な理由でコラボを咎めるにじさんじファンを刺激しないように彼らとお近付きになって穏便にコラボを行う為には、同じくゲームをコラボ理由に出来るようなライバーでなくては難しい。

ゲーマーズ系や人気ライバーとのコラボが難しいからといって逆にこのグループ以外の、非ゲーマーズ的なライバーとのコラボを重ねても大きな爆発力や認知度向上が見込めないのが今のにじさんじ。

新人がコラボをし易い相手、先輩が声を掛けやすい動機の一つに「デビュー時期が近いから」という理由がある。

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現在のデビュー時期で見た時、若いライバー達の多くが非ゲーマーズ的なライバーで占められ、ゲーマーズ的集団との距離が遠ざかっている事が判るだろう。

まだ男性ライバー同士では誘いやすく「エクス・アルビオ」と「イブラヒム」など定期的にゲーマーズ層との接点を作り、ファンからの流動が確認出来るものの女性ライバーに関してはかなり縁遠い相手になってしまっている。


つまり現在の新人にとってのコラボをしやすい相手は自ずと"ゲーム配信を武器に出来ないライバー達”になる。


そうして非ゲーマーズ的なグループ同士でのコラボを繰り返す内に、
『イベント戦略の奔流に居着くゲーマーズ的ファン層』から縁遠いコミュニティの中に身を置く存在となってしまう。

そういった意味でもゲーム配信に強みを持つ同期を集団で揃えておく事の必要性が強く感じられるのだ。
何故一部ではなく全員をゲーマーズ的な人材で揃える必要があるのかと言えば「ゲームつよつよ集団」としてのイメージを強固にする為だ。
「グループの中で一人だけゲーム配信が得意」というだけでは全体を引っ張り上げる事は困難。

「SMC」ではゲームや配信に対しての経験が豊富な「加賀美ハヤト」と「夜見れな」の二人がゲームが下手な事を企画ネタにして素人然とした「葉加瀬冬雪」を引っ張り上げたコラボが印象的だ。

「織姫星」は同期コラボを数多く行っているがゲームが苦手な二人に比べて配信慣れ、場馴れしている「星川サラ」だけが突出する形となっている
もちろん理由はゲームだけにあるわけではないが、円滑にコラボを行う為の配信知識や、判りやすいゲーム系コラボを目玉に出来るかどうかは同期売りを成立させる上で強い力になる。

その点で言えば「さんばか」の歌担当「戌亥とこ」をゲーム配信で牽引した「リゼ・ヘルエスタ」、「アンジュ・カトリーナ」の二人は好例だろう。
「リゼアン」として獲得したファン層は「さんばか」にも共有される。
ゲーマーズ的なライバーは3人中2人は必要である。

彼女らゲーマーズ的ライバーのコラボの特徴とは、一発のホームランよりもアベレージの高さにある。

同じような趣味嗜好を持ち、同じような活動で人気を博した彼らの中には、一定の成功体験が共有される。
「こういった種類のゲームではどういう風に動くのがウケる」
「この場面ではこうすれば面白くなる」
「配信でファンに喜ばれるリアクションはこれ」
という風な経験則と共通見解がこれまでの人生活動、ゲーム体験を通して備わっている。
ならば言わずとも伝わるような阿吽の呼吸。
コラボとなれば高いアドリブ力で視聴者の関心を集め続けるのだ。



「EXゲーマーズ」が正式に集まって行われた「雪山人狼」のゲーム的な展開は正直言ってしょっぱかった。
しかしあのような状況下でも各人が撮れ高を意識した発言を行い、より面白い方へと導いて行く。

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VCの不調で声が聴こえにくいのを利用して好き勝手言ってネタに変える。
負けが判りきっている状況でもバレバレの演技で笑いを取る。
結果的にゲーム的展開のつまらなさにも左右され難い打率の高いコンテンツ力を示した。

「歌が得意なのにゲーム配信がメイン」といった、向いていない領分に足を踏み入れる事が少なく、得意分野での配信が多い。
「今日の配信はつまらなかったな」と思われる事が極端に少なく安定している。
だからこそファンが急速に離れる事が少なく、人気の変動が激しかった時期のにじさんじでも花形的な位置に立ち続けていた。

個人の資質に基づいた才能的な面はもちろんあるが、
ゲーマーズ的採用とはヒット以上が保証された人材採用だ。

同期の中にヒット以上が3分の2以上あれば、同期バフとして個人を超えたバズりや話題性を引き起こす事も出来る。

それこそ界隈や周囲の流れがここにある。

大手二者の内のもう片方。「ホロライブ」の存在を無視して語ることは出来ない。
過去の記事で紹介した持論にはなるが、にじさんじのゲーマーズ的需要、ゲームによるブーム作りは度々ホロライブを成長させた。
明確に「にじさんじがゲーム配信を活用して増やしたパイに食らいつく」という戦略を取られていた形跡があった。

他にもにじさんじが界隈でブームの先導役となり、この需要に外部も乗っかるという例は枚挙に暇がない。
こういった流れを「界隈に貢献している」と言ってしまえば聞こえは良いが、にじさんじがゲーマーズ的人材を満足に拡充させず、ゲーム配信という巨大なパイを満たさないのであれば、ホロライブや他の同業者がパイを食べるだけだ。

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今ゲーム向きの人材をスカウトし、にじさんじなどの大手が出る大会での活躍をチャンスとするような戦略が随所で見られるようになった。

それらの舞台で活躍が見込めるような人材も引く手数多であり、後手になればなるほど優秀な人材が取られた後になってしまうだろう。
そうした時のにじさんじ勢は集客要因の引き立て役に落とされかねない。

逆に言えばこれは成長著しいホロライブや他のVtuber達、実況者、ストリーマーが獲得したファンをにじさんじ側に引っ張ってくる事が出来る選択肢でもある。
これだけゲームというコンテンツに傾倒させ、ゲーム配信に結び付くようなパイを増やしていくのであれば、それに見合った人材の比重を増やしても良いのではないだろうか。



というのが非常に短絡的な今伸びる新人を生み出すための提案だ。

"しかしこんな事は運営も絶対に理解している"

このタイプを採用しておけば人気ライバーを多数排出出来る事は誰に言われるまでもなく判る事だが、"そうしないのがにじさんじ"なのだからこれには意図的なものがある。

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にじさんじ、いちから株式会社にはこの記事のようなふわふわした理屈ではなく、きちんとしたデータを扱えるその道のプロが在籍してる。
ならば何かしらの意図があって、明らかに今の環境では即時の人気に結びつかないような不利な人材も採用していると見るべきだ。
なので最初に戻る事になる。

『将来的にコンテンツとして表現できる幅が増えた時、
人材の多様性が有効に機能する。』


ライバーの役割は集客力の高い配信を行い、多くのファンを獲得するだけには非ず。

ゲーマーズ的人材が多くの視聴者を集め、登録者を伸ばし、箱の人気や知名度を高める役割であるならば、その土台の上でゲーマーズ的人材では成し得ないようなコンテンツを作り上げる人材も何れは必要となって来る。


「健屋かな」の3Dお披露目配信。
今までの彼女の配信などはお世辞にもゲーム実況者としての実力があるタイプには見えない。
デビューしてすぐに自身が好きな、しかしにじさんじファンからは需要に乏しい「第5人格」の配信を延々と続けて大きく興味を削がれたのを覚えている。
実際に視聴者数はかなり減らしていた。
他人の企画となれば気合の入った動画を送るなどするが、一方で自身が人気になる為に積極的に立ち回るような姿勢は見えない。
白雪巴との百合も、どちらかと言えば女性向けに感じられる(実際この二人の女性リスナー率はかなり増えている)
このライバーは初動で盛大に伸びたアドバンテージをこうした活動で犠牲にしている部分もあると感じた。
初期からあれだけキャラクターデザインで話題になり、歴代のにじさんじでもトップクラスの登録者増加率著しい中で、それをふるい落とすような勿体ない活動の仕方。
YouTubeの数字を=人気として捉え、そこに打ち込むべきだとする短絡的な考えとはそぐわないものがある。

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ただこの3Dお披露目には医療従事者としての知識や経験を活かした演出。
黒子の「白雪巴」との漫才じみたやり取り。
ダンスなどの『2Dでは表現不可能だった実力』が垣間見えた。


直近では「フリージア耐久企画」で最終的に2万人近い視聴者を集めた「町田ちま」"歌というゲーム以外の武器に紐付いたコンテンツ力"なども光明に見える。

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外部メディアでも話題となった「グウェル・オスガール」「魔界ノりりむ」の勉強配信にしても、"ゲーマーズ的個性だけでは成り立たない企画"と言えるだろう。
成長過程において生配信とゲームに特化して来た人材達は往々にして勉学というパラメータを犠牲にしている事が多く、そんな彼らに勉強を教えるまともな大人という構図は十分にエンタメに成りえるのだ。

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私がここまで邪推や杞憂をしてもにじさんじを見限るでもなく、絶望をしてもいないのはこれらの糸口が見えるからであろう。
運営は全てのライバーに対して最初から「個の集客力」だけを見込んで採用しているわけではない。
コラボで輝くライバー、3Dで活躍するライバー、裏方的なライバー。

そういった人材は既存のゲーマーズ的な生配信に特化した人材採用だけでは得難く、そういった意味では最近の新人である『セレ女』のメンバーなどは活躍の舞台が整う事で輝く事が増えるのではなかろうか。

今2Dでの配信、ゲーム配信で面白く判りやすい人気を獲得出来るライバーはあまり増えていない一方で、今後3Dや新しい事をにチャレンジできるような人材は明らかに増えていると感じられる。
案件においてもある意味では人間的に問題性を抱える事も多い、自堕落的な欠点がある生主タイプやゲーマーズ的ライバーよりも、きっちりとした仕事意識の有利が付く事はあるかもしれない。

という締めで結局にじさんじの今の方向性は良い部分も悪い部分も表裏一体で、今いまいち伸び悩んでるライバーや分野も将来を見越した長期的視野によるものだろうから、どう転ぶかなんて判らないよね。
って無責任なオチだ。



感想


最近のいろいろなアレがあって、出来るだけ刺々しい言葉は使わないように書いたつもりだったが、そのせいで胡乱でいつにもまして無駄な文章が増えていると思う。

ざっくり言えば「案件が増えて幅広い案件をして貰うためのライバーを増やしてるけどそれが今の環境で人気と結び付くかというと難しいな」
って話になる。

そうなると、にじさんじ自体の箱の人気に来る仕事を割り当てるような形の案件の取り方になるんだろうけど、じゃあ誰がそのにじさんじの人気を維持していくの?という。
上の方のライバーに案件が増えて、下から人気が強いライバー出てこないとジリ貧にならないかと。
その為の普段の配信であったりイベントなのだから、そこで面白く出来るようなゲーマーズ的なライバーの数というか、比率はもう少し増やしたほうが良いんじゃないだろうか。
ゲーム適正が高いライバーだけが必要だというわけではないけれど、ゲーム以外に強みを持ったライバーを活躍させるためにも、そういった人気の土台となるライバーの必要性は強まっている気がする。
それこそ今の上位ライバー方が「忙しくて配信出来ません」となっても普段の配信活動で話題性を作ってにじさんじ全体のファンを繋ぎ止めておけるライバーが出てきたからゲーム以外の分野に舵切っても良いんじゃないかと。

カーストという言葉を途中で使ったように、今のにじさんじの人気やファンの付く場所はかなりざっくりと別れてしまってるように感じるのは自分だけだろうか。
ライバーそれぞれの夢や目標がバラバラにある事は良い事だけど、それを全員同じ舞台に立たせて「実力で上に上がって下さい」とやっても、結局上に上がって来れるのはゲーム配信が上手い人ばかりで、大舞台に立ちたいライバーは下で燻り続けて、その燻ってる人同士でコラボしちゃってどうしようもなくなる良くないループがある。

何が言いたいかって、ゲーム以外の実力を持ってるライバーを揃えても、
ゲーム配信が得意なライバーと同じ事をしちゃってるのが勿体ない。

ライバー個人にしても、にじさんじは企画で人が集まるのは判ってるんだから、他の人を頼って活躍出来ないゲーム大会にばかり出てないで、歌や演技で上に行きたいライバーいるなら、歌リレー企画や声劇の企画を自分で企画してもっとやれば良いんじゃないって思う次第。
いつまでも緑仙に頼っておまかせしていたら緑仙の登録者は上がるだろうけどそれだけ。

それこそ歌動画の再生数が飛び抜けている「メリッサ・キンレンカ」の強さがいまいち活かせてないような気もしてかつての久遠千歳がチラつく。

案件に関して。
Vtuberは普通のYouTuber達に比べても案件的お仕事に対しての忌避感が薄いというか、根本的に案件は普段のコンテンツよりはつまらなくなる事も多いけれど、この界隈だと推しにとっての祝い事だから歓迎するって風潮が強い。
自分はそれで配信頻度が減るってなると正直手放しに喜べない事も増えた。
ライバーが「嬉しいお知らせがあります」と言ってそれがオフイベ案件だった時のうーん感。
それこそ過去のVtuber界隈でも案件に強い3D動画勢と、ひたすら生配信で話題性を提供したにじさんじってのが択としてあって、そこで自分はにじさんじに向かったわけだから。
「ネット発で人気となったコンテンツがオフイベントに傾向した事でファンを失った例」などが過去多くあるだけにここら辺は憂慮してしまう部分。

自分みたいに全体を広く見ているならまだ代わりのライバーを見れば良いってなるけかもしれないけど、単推し傾向の人とかはそのライバーの生配信を見てファンになったのに、いざ人気になったら生配信しなくなって活動のメインが案件案件ってなったらどうなんだろうなーって思う。

人にとっては別のライバーに流れないで、その時点でにじさんじから足洗うんじゃないかと。
ライバー側ももちろん、案件と個人配信のバランスは考えてるだろうけど、
そこで配信自体が好きだから疎かに出来ないってなるのも配信を趣味にするタイプのライバーなのだから、そうなってくると結局今は配信者然としたゲーマーズ的ライバーの枚数を揃えていくのも将来を考えればこその固い選択に思える。
この辺は新人の出し方の問題でもあって、前後三ヶ月たっぷり明けて出したと思ったら月1デビューに戻り、ゲームイベントが盛り上がってる最中にゲームは苦手です、な新人さんをデビューさせてもそりゃ厳しい。

今みたいにゲーム以外に適正が向いてるライバーをデビューさせて活躍させるなら最初から3Dを作ってMV出して~みたいな、別口のプロデュース形態も視野に入れるのも有りなんじゃないかと思うがどうだろう。


▼私が過去に投稿したにじさんじ文化論へのリンク▼

にじさんじ文化論「馴れ合いの増加、低め合う関係性」
にじさんじ文化論「ライバーとしての自覚の無さ、優しさという武器」
にじさんじ文化論「男性ライバーの活躍と女性ライバーの弱体化」
にじさんじ文化論「新人は男性3人組。アイドル売りの難しさ」
にじさんじ文化論「ホロライブは最強で最悪のライバル?」
にじさんじ文化論「無敵のホロライブとライバル不在の箱」
にじさんじ文化論「炎上の予兆。好感度の大切さ」



※気が向いた時に気になったコメントへ回答します。


「瀬戸美夜子」のセクハラ注意コメントについて

セクハラコメ注意してるのを「水を差す」って表現してんのやばいと思わんのかな。思わないから書いてるんだろうけど

そこだけを取り上げると、セクハラコメントとそれに対しての注意の是非という論点になってしまいますが、ここで伝えたいのは、これを言える立場に立っているライバーかどうかです。
正論で必要だけど立場上あえて言わない、言えないという事はあると思っています。
彼女の雑談配信内で触れられていましたが、逆にそういった「センシティブな方向での盛り上がりを人気に還元したいライバー」も居るでしょう。

「治安の悪化も清濁合わせてのみ混んで、ただ数字を増やせば良いとは思わない」
凡そ私が思う更に上の立場のライバー達もこれを言うことが出来ません。
セクハラを許容しているからとかではなく、自身の影響力が強すぎるからです。
今の界隈の流れに対して物申すという行為はそれが正しかったとしてもリスクと成り得ます。
この忠告自体は自身のリスナーだけではなく、全体に対してのものでありそこにライバーとしての一定のスタンスを感じたて引き合いに出した次第です。
※水を差すという言い回しは些か棘が強いと思ったので書き直しました。


ホロライブとの比較について

にじさんじの記事なのに、なぜ途中でホロライブの話題を挟んだんですか?
そこまでは興味深い記事だと思っていたのに、それ以降読む気が無くなりました。配信業で生きていく人間にとって当然の活動をしているのに、それを悪く言ってるように感じる文章でした。
ホロライブの方々も配信をより面白くするために、企画を考えたり歌や踊りの練習もして配信外でたくさん努力しています。

ホロライブの話を取り上げたのは箱としての方向性を比較によってはっきりさせたい意図と今「両者の新人の数字格差」という疑問に触れないでスルーする事は嘘だと思ったからです。

ホロライブ側の人材採用は配信活動で生きる者としての在り方が際立ってい見えます。
これはにじさんじゲーマーズからホロライブゲーマーズへの一貫した運営側の意図的なものであるという点でも明確な箱の方向性を示しているように思えます。
配信慣れした、配信者として食べていく意識の強い人材の採用は、最終的にこの記事でも私が「今のにじさんじの人気を牽引する存在としてもう少し数が必要ではないか?」と提案するようなライバーですので悪いという意図で使っていたら話がおかしくなってしまいます。
これらの人材採用には良い部分も悪い部分もあるでしょう。

裏を返すとある種では数字にがめついだとか、銭ゲバ的に変換されてしまう書き方でしょうがそこに関しては、流石に最近のホロライブ事情を鑑みると払拭し難い部分があります。
打算的である事、ビジネス的な観点の強さ、数字への嗅覚の鋭さなどについては活動者として本来備えておくべき力です。
「ファンを楽しませるために面白い配信をしようと努力している。」
という認識は同じですが、そういったファンを楽しませる努力と対価となる数字的、金銭的な観点を切り離して考えるべきではないでしょう。

リテラシーやモラルを違えない限り、記事ではこの力を長所として述べている場合が多いのですが、この界隈のリスナーには往々にして悪し用に受け取られるというのは面白い所です。
これが本当に不思議というか、ホロライブの輪の中から見ている人と外から見ている人の認識の違いかもしれません。
他のVtuberとの比較という視点が存在せず、ライバー活動の方向性を全て運営に委ねているような考え方ならばたしかにそうなるもね。という。

一方で配信者然とした活動の延長線上にも夢や目標があるという指摘は事実だと思いました。
その夢や目標意識と、ファンを増やす活動に対して消費するリソースに対して、ズレが出ないように活動をしているライバーが多いように見受けられる。というのがあの話の中で伝えたい事です。
にじさんじと違って登録者が停滞する状況に自ら飛び込むような活動の仕方をしているライバーが多いようには見えません。

これも活動を続ける上での個人個人の考え方や活動はそれぞれであるという点で見れば箱単位での比較に比重を置いた為に、ホロライブというだけで全てのライバーを一緒くたに取られるような書き方になったのは落ち度だったと思います。
運営側の人材採用がそちらに寄っている。そういった活動の在り方に期待している。という方向性であってその後デビューしたライバーがどんな夢や目標を持って活動に取り組んでいるのかは一概に決めつけるべき事ではありません。

一つ言えるのは箱としてはにじさんじの方が自己実現の範囲は今確実に広いく取れる環境です。
運営側がそれを積極的に後押しするような体制を取り、またその整備もホロライブに比べて先を行っているからです。
この辺の差は信者アンチ問わず客観的に見てもたしかな違いです。
ホロライブには自己実現を果たさせる為の将来を見据えた環境作りという点においては後手後手の杜撰さがあり、これが最近の大きな不祥事の種になっています。
そういった環境的要因はライバー側の活動スタイルを左右します。
夢や目標がないというよりは、夢や目標が配信活動でファンを増やすことの線路上に置かれやすいと受け取ってもらう方が正しいです。

IPが強い例としてサクラ大戦の案件画像を使ったので「宝鐘マリン」自体に夢や目標がないと指定する意図はありません。
彼女は白上フブキや夏色まつりと並んでホロライブでも案件に積極的なライバーなので、そういった点では不適切に見える配置でした。


リゼアンはゲーマー的なライバーかなあ?
確かに本間ひまわり、笹木咲、鈴原るるとゲーマー的なライバーがにじさんじのトップ層にいるのは事実だけど、
ゲームの腕そのものよりも、トークであったりリアクションを楽しんでいる人が多いから、登録者に結び付いているのでは?


ゲーム適正を=ゲームの上手さだけと書いたつもりはなく、
リアクションも含めてのゲーム実況能力の高さや、ゲームに対しての好きという気持ちの強さも取り上げたつもりです。
「ゲーマー的」ではなく、「ゲーマーズ的」です。
ゲーマーズはゲームが上手い集団として集められたのではなく、ゲームが好きな集団という体のグループでした。
結果的な上手さについてはバラつきがあっても、どのライバーもゲーム実況力と配信能力が高い集団です。
「リゼアン」も彼らのようにトップクラスのゲーム実況能力を持っています。

楽しむリアクションやトーク力に関してはにじさんじに合格した時点でおおよそのライバーに備わっている個性だと思います。
もちろんそこにも実力の大小は出るかと思いますが、ライバーの数が増えたにじさんじでは、それをどのように表現して初見にも判りやすく自分の魅力として伝えるのか、が重要になって来ます。

リゼが初期に配信した「名探偵ピカチュウ」などは低年齢向きゲームであり、ゲームの上手さで魅せられるようなシーンは存在しません。
しかし元々のポケモンという媒体への知識がある事。ツッコミの鋭さ。豊富な語彙力。屈託のない無邪気なリアクション。
それらを判りやすくキャラクターの魅力として円滑に伝える為の媒体にゲーム配信という舞台の強みがあると思われます。

ゲーム実況はさながら「お題が与えられてそこにどう返すか」という応酬です。
それこそ圧巻のトーク力を誇る「月ノ美兎」にしても、初期のバズりを牽引した一つにはヨーロッパ企画のゲーム実況へのツッコミがありましたし、
それ以前の「電脳少女シロ」「キズナアイ」などについても、ゲーム実況で個性やギャップを表現するというのは普遍的で非常に注目を引くキャラクターの見せ方となっています。

また最初の頃のコラボが「笹木咲」「椎名唯華」であった事も鑑見ても、そちら側に付いている「ゲーマーズ好きのファン」の人達から気に入られたという状況性が確実にある為、便宜上この記事内では彼女たちをゲーマーズ的ライバーとして扱っています。
厳密にカテゴリー分けする必要は感じませんがあえて言うならばゲーマーズとJK組の中間と言った枠でしょうか。
笹木咲からにしても月ノ美兎からにしてもですが、一枚岩のファン層を持たないにじさんじにおいては「どこのファン層にアプローチ出来るか」「それだけの能力適正があるか」というのはかなり大事なファクターだと思います。


2期生とSEEDs1期生の扱いについて

だが、大体話題に挙げているのが、1期生かseeds2期以降の人達であり、
エアポケットとしての2期生、seeds1期生を分析していないと思う。
閉じコンの極地ともいえる鈴鹿詩子や剣持刀也の存在を「例外」として分析対象から外すのは、この2人の登録者数をみても正当とはいえないと思う。

見返すとこれはたしかに。
1期生2期生で停滞しているライバーは、まだ界隈全体とにじさんじにも趣味性が強く出ている時期の採用であった為、副業形式が多くそこら辺の仕事意識や向上心を求めてもどうしようもない。という感じもあります。

「飛鳥ひな」や「瀬戸美夜子」のオタク的な満足感で満ち足りているという話で「ギルザレン3世」を引き合いに出しても良かったし「静凛」の枠は別段「夕陽リリ」でも良かったと思います。

なので意図的に2期生だけを除外したというわけではありませんでしたが
1期生は判りやすく土台を作り上げた世代、にじさんじを作った人として理解されやすいと判断する一方で、2期生はデビュー時期も近くこれを広げた世代である為、わざわざ区別して「2期生というカテゴリー」で語ることにあまり意義を感じませんでした。
案件等は関係なく元々の配信頻度の低さと影響力の弱さという点で見ても、箱の文化性とコミュニティに重きを置く自分の分析からは自ずと外れたのだと思います。
強いて言えばVtuberや1期生に憧れてにじさんじに入った世代という意味では、ここに所属している以上は活動において一定の満足感を得やすいタイプではないかと。

今の鈴鹿詩子と剣持刀也に関して言えば十分人気がある位置に居ると思います。
「剣持刀也」は既存ファンからの人気は衰える事なく維持していますが、これ以上自身の登録者を伸ばそうとはしていない。求めていないライバーの典型例です。
1期生2期生にはあの時期の環境だからこそ人気になったという部分は数多くあり、今デビューする男性ライバーが彼と同じような活動スタンスを取ったならば人気を得ることは難しいでしょう。

他に語るとすれば剣持刀也は積極的に数字を求める事もしませんでしたが、逆に言えば例の件以外には余計な活動をしなかったとも取れるので、「方向転換や活動方針を曲げる事でのファンのふるい落とし」も最小限になっている印象です。
また彼は「葛葉」と親しく、「笹木咲」とのプロレスや「椎名唯華」とのコラボも現在人気があります。
そういった意味ではやはりここもゲーマーズ層強しという部分ではないでしょうか。

「鈴鹿詩子」は典型的なゲームが不得手で配信経験が乏しかったライバーです。
彼女は当時の1期生2期生主体の頃にあった「やべーやつ」「トーク力主体」の環境的要因との合致で人気を博した部分が大いにあるように見えます。
その点では現在のイベント主体のコンテンツでの活躍が厳しいです。
ゲームが下手な事は一見すると大会で面白おかしく注目される要素に見えますが、現在そういった下手売りのライバーは増えすぎてしまっている為、個性としては霞んでしまいます。

彼女の活動は途中から動画が中心になりましたが、その時点で数字を伸ばす意欲は強く見られました。
動画勢として伸びるという可能性で言えば一考するべきライバーです。
生配信をしなくても他の手段でファンを増やそうとする方向性は十分にアリだと思います。
しかしその代償として当然ながら生配信での集客力は落としてしまうでしょう。

2期生は今の「文野環」にしてもですが、いろんな方面に飛び散っていて2期生ならではの特徴というのが言い難いです。
ただ左上の円で囲った周囲のグループについては今回、記事内で言及しようか迷って止めておきました。
個人的には一番にじさんじ的だなぁと思う一方で、狙って採用出来るような人材でもなく、特に活動に対して不安定さが見られる存在と感じたからです。


SEEDs1期生について。
「社築」「出雲霞」「ドーラ」と話題には出しましたがこれは彼ら個人に紐付いた特徴が多くゲーマーズと違い、SEEDs1期生の特徴や役割性を語るような事はほとんどしていません。
これは後の「コラボ型ライバーとコミュニティ感染力」あるいは「統合後の環境変化」と題するような記事で中心的に取り扱おうと思っていたので意図的に後回しにした部分でもあります。

中でもゲーム以外の技術に割り振っているのに今30万を超える「緑仙」について言及を避けるように扱っているように見えた人がいるならそれは正解です。
非ゲーマーズ型ライバーにとっての希望であり模範解答的でもあるのですが、非常にデリケートな問題且つ膨大になるのでとてもこの話題の中では煩雑になり過ぎて語りきれないと判断しました。


にじさんじに応募する人の質が下がっていく問題も出てきます。
特に、記事にでも指摘があったストリーマー系の方はその傾向が強くなると思います。

ゲーマーズ的な人材の経験者は各企業で取り合いになっているから、後から取ろうと思っても遅い。という事ですね。
これも言い忘れた点なので本文にも追記しておきます。


皆が皆、上を目指す必要はないと思いますしホロライブとの比較もやや雑になっていると思いました

この辺は何度もフォローしないといけないと感じていたので「自由にするべき」「好きにするべき」と書いてあります。
この記事の主題は、にじさんじ全体の方向性とそれによる箱の成長幅が個人の人気にはいまいち反映されていない気がするけど何故なのか?という事に対しての分析なので。
仰るように個人としては「皆が皆、上を目指す必要」はありませんが、仮に全員が上を目指さないとなったらにじさんじを牽引する役がいなくなります。
というのは極端な話にしても、そこに辿り着きやすい環境にはなっているんじゃないかと考察しました。
また、そういった姿勢のライバーが増える事で「ライバーはライバーを見倣う」というコミュニティ上の問題から体質が連鎖しやすくなると感じます。
私は現在のにじさんじの方向性自体には良い面も多いと感じているのでこれを矯正するべきだとは考えません。
ただトレンド力の高いライバー自体は増えるべきだという考えから、「上の方のライバーと仲良くなり易い」「元々の需要が高い配信を行える」ゲーマーズ的人材の必要性に辿り着いたという感じです。
ホロライブは箱の方向性と環境的に「上を目指す必要がある(YouTubeの登録者上)」活動者が多い例になります。


一、イベント集約型のこの夏のにじさんじは、ニコニコ超会議スタート以降のニコニコ動画に似てきていないか。


感想の項で少し触れましたが、ネット系コンテンツにおけるイベント偏重の姿勢からの客離れは懸念しています。
現地でちやほやされるようなタレント的な活動を望み、本丸である動画などの地味なコンテンツに対して付いて来てくれるユーザーを蔑ろにしないかという可能性。
イベントや案件で儲けるという方向性はともすればブランド的な強さに依存し、ライバー個人にとっては「個のコンテンツ力を高めても儲からない」という方に行きがちです。
ライバーにとってもそちらに向かいたくなる夢のある方向性ですが、ファンにとってはどうなのかという。


二、記事がにじさんじの現状に満足なのか不満なのかハッキリしない。


これに関しては満足行く部分では満足ですし、不満な所では不満。という他ないです。
全てに不満を持っているならにじさんじを見なくなりますし、
全てを肯定するタイプのファンならばこのような記事を最初から書きません。

特に最近の世情、はっきりと不満だと思う部分に対してストレートに書いた場合には、「誹謗中傷に当たるのではないか」など考察と関係がない話や、私のスタンスに対しての単なる信者アンチ的論争に意識が持っていかれてしまう点も考慮した形です。
それもあって今回は出来るだけ余計なフィルターを付けないように意識して書いた結果、私個人のスタンスは分かり難いものになっていると思います。

一つ語ると私はホロライブの許諾騒動の前には「もっといろんなゲームやってよ」という不満を持っていました。
しかしこれはご存の通りの結果を見たわけです。
この件以降から「私の今抱える不満も将来的にはどうなるかわからない」という視点で考えるようになりました。
今回の記事の内容に関しても同じような部分はあるかと思います。

では、そんな曖昧さの中で何が伝えたいのかと言えば強いて言えば、
「にじさんじに対して思っていても言語化し難い部分に触れて考える事」でしょうか。
何も考えずに楽しくにじさんじを見たい人は、恐らくこの手の記事は最後まで読みませんし必要がありません。
しかし読んだ方は何かしら抱えるものがあるはずです。
にじさんじに関しての何かしらを考える助けになれば良いと思っています。


三、ゲームの配信はゲームに興味のある層しかそもそも見ないのでゲーム系ライバーが増えても小さなパイの食い合いにしかならないのではないか。


ゲーム系ライバーによるパイの食い合いというのは確実に起こります。
ただそういったパイの食い合いはどのようなジャンルであろうが発生するものです。
その中では「ゲーム実況のパイ」は他のどんな配信ジャンルよりも巨大と言えます。

実際にじさんじはゲーム配信とゲーム系のイベントに傾倒する事でもそういったパイを増やし続けているので随時余剰が生まれているはずです。
またゲーム配信の需要とゲーム自体の需要は必ずしも一致しているものではありません。
19万人全員が最初から「パワフルプロ野球」に興味があったわけではないでしょう。興味がない人ですら見ていたのです。
ゲームの配信はゲームに興味がある人しか見ないというのもにじさんじのような箱の場合は少し違い、そのゲーム自体に強い興味がなくても「箱で流行っているゲームだから見る」「イベントで使われるゲームだから見る」という作用が見込めます。

こういった場合のゲームは考え方によってはキャラクター表現の舞台でもあり、歌や雑談に比べてもこれを利用して行える企画の幅がそもそも広いのです。
こういったゲームを利用したアトラクションやイベントに対してファンを楽しませる方向性を取っている現状ではその舞台で面白く出来る人材の需要は増していくばかりのように思えます。
また一口にゲームと言っても、SLGやRPGジャンルに強い「ニュイ・ソシエール」やジャンル自体がニッチな音ゲーでも上手さで人を集める「社築」などそのジャンルに特化した実力を持つならば単純にゲームというだけでは食い合わないような需要も形成出来るのではないかと思います。

正直言って今のにじさんじはパイが食い合う所か、このパイを余らせて腐らせている状況に等しいのでは?と勿体なさも感じられます。
増やした需要の割にゲーム系ライバーの数がまだ足りていないんじゃないかと。
ライバーの活動周期には不定的さが見られ、がっちりと24時間このパイが埋め尽くされているわけではありません。

にじさんじがパイを取らないなら、この広げたパイは外部のVtuberに掻っ攫われていく可能性が高い為、その防止策にもなるはずです。
対立色が強くなりますが対ホロライブ戦略というか、当然考えるべきホロライブが大量に増やしたパイを取るという場合でもゲーム配信、配信が上手い人材、ゲーマーズ的人材でないとここへのアプローチは難しい。

そもそもゲーム慣れ配信慣れしていないライバー、ゲーム以外に得意分野を持つ人材に対しては、最初から配信での高い集客力という役割を見込んでいないと考えています。
そんな事はデータを眺められる運営の方が絶対に難しいと判るので。。
そういったライバーに期待されている役割はライブや音楽活動に紐付くような案件、技術力を活かせるような新しい3Dコンテンツがメインとなるでしょう。
ゲーム配信が得意なライバーたちが高い集客力でにじさんじ自体の知名度、ブランド力を高めて、これをゲーム以外の配信の方に還元して成果を上げる。
この場合には役割性が違うので、ゲーマーズ的ライバーのパイとそれ以外の歌や雑談等のパイは等価ではありません。
興味深い話だったのでこの辺も本文中に追記して置きました。


甲子園の視聴者数を考えても、にじさんじという箱自体の国内人気が未だダントツである事は疑いようもない
ただ、この記事で書かれているのは何故そのファンが普段の個々人の配信に来ないことについての事かなと。

普段の配信を見るにこのにじさんじ甲子園で示されたパイの半分くらいしかアクティブに動かせていないような感じはあります。
案件やら数字意識の欠如やらでこのMAX19万人の母数に対して刺さる配信が継続して出来ていない為、一過性の盛り上がりではなく彼らが今もしっかりとにじさんじのファンとして定着してくれているのかどうか。という点は気になる所です。

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