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にじさんじ文化論「新人は男性3人組。アイドル売りの難しさ」


※注意書き

当記事における内容はにじさんじをコンテンツとして捉えた場合の一視聴者目線からの考察です。
「ライバー毎の人気には格差があるけど、どういう理屈でその差が生まれているのか」
「視聴者数を増やすにはどうすれば良いのか」
「コラボを通してどのような経路でファンが共有されるのか」
など私が通常のコミュニティでは発信し難いと感じた話が中心となります。
その為、時には「人気が乏しいライバー」、「こうしないと人気が出ない」といった書き方が一部に見られるかと思いますが、あくまでも個人的なコンテンツ的価値観と考察を行う仮定に付随するものであり、「私の言う通りに活動しないこのライバーが悪い」と言った責任追及を喚起するものではありません。
また文中に登場するライバーについて個人情報に繋がる類の考察は行わず、誹謗中傷やそれに該当するような個人の名誉を傷付ける意図は一切ありません。
「ライバー個々の活動スタイルや配信内容はそれぞれが自由に決めるべきものである」と言う大前提を承知した上で一つの読み物として捉えていただければ幸いです。


にじさんじから新人が3人デビューした。初の全員男性である。
ビジュルからしても刀剣乱舞などを意識したような女性ファン向けなのは明白だろう。
同じ出身地の統一やTwitterプロフィールにもユニット名の「VΔLZ(ヴァルツ」を入れ、初配信から3人でのオリジナル曲を披露する等これまでになくユニット売りを意識している印象が強い。

いちからはかつて「にじさんじVOIZ(解散後にSEEDsに編入された春崎エアル、成瀬鳴の所属元)」という男性アイドル箱を作ろうとして一度失敗している。


それが現在の男性ライバーの活躍を見て、この方向性に再び舵を切ったのは判らなくもない。既存の女性ファンだけではなく新規の女性ファン獲得を目指すというならば一見効果的ではあるだろう。
だが彼らにもまた前回の記事にて指摘したような問題点が浮き彫りになってしまっている。
現状のにじさんじにおけるアイドル売りの難しさだ。

それについては「Pulitzer Prize for Nijisanji」氏の該当記事がほぼ私の考えと一致していた。
https://note.com/2434kakiokoshi/n/ne41d0fc94474



即ち軽率で積極的に男女で交わろうとする文化はアイドル売りを阻害する。

にじさんじの中でもかろうじて男性アイドル売りが成功したと言い切れるのは「ChroNoiR」くらいだろうか。
何故彼らが女性人気を確立出来たかと言えば女性ファンからの人気を確立するまでの間に、安易な女性ライバーとのコラボをほとんどして来なかったからではないか。
初期に叶がコラボしていた女性ライバーと言えば深夜三傑の静凛と同じゲーマーズの後輩となった本間ひまわりくらいのもので他は囚人組と呼ばれた個人勢の男性達が大半を占めていた。
葛葉に至っては「ChroNoiR」を結成してにじさんじに入っても暫くの間は叶以外との一切のコラボをしなかったくらいだ。


しかし4月2日にデビューした彼らは20日現在でも同期以外とのコラボを矢継ぎ早に行いそのコラボ相手には女性ライバーが多く含まれる。
何よりもSNS上でのやり取りの中で女性ライバーに向けて今度遊びましょう的なやりとりを無作為にしてしまっているのだ。画像2


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準備段階でここまでしっかりと女性ファン向けのユニット売りを意識させていながら女性ライバーと安易に交流を持ってしまうのは勿体ないと言う他ない。
先輩ライバーにしてもだ。
まだファンからの認知が不十分な新人の印象や今後の方向性が初期のコラボ相手によって大きく変動するという事に意識的であるべきだろう。

このような明確なファン層を意識した売り出し方をしようとしている新人を見たら暫くは声を掛けるのは遠慮するべきではないのかと思う。
そこが意識の低さ故なのか声を掛けてくる先輩ライバーに限って人気がそこまで伴わず自身の影響力に無自覚で居られる立場のライバーが多い。
アイドル売りルートを消滅させてまでコラボをした効果はあるのだろうか。


▼形見が狭かった男性ライバー


本来バーチャルタレントに近い売り方をしている男女のコラボそれ自体にはある種の良くない邪推や憶測、危険性が付き纏うもの。
元々男女コラボにはアイドル売りの成功から遠ざかるという相応のデメリットもあった。

女性ライバーのアイドル的な商品価値の低下を招くというリスク

女性側も男性側も多少なりとも意識してビビってしまう炎上リスクの存在。
男性ライバーが女性ライバーとのコラボに際してリスクを気にするのは自分の女性ファンを刺激してしまうからではなく、女性ライバー側の男性ファンの心理とそれに伴う女性ライバーへの影響に配慮しての事である
しかしにじさんじでは箱内で男性ライバーが認められるに従ってそのリスクは減り、男女の関係性がウケた事で徐々に意識されなくなっていった。

このユニコーン的な理由によるアイドル性の消失や風評被害に際して、最も害悪と言えるのは「人気が無いにも拘わらず、無作為で無警戒に異性と積極的な交流を持とうとするライバー」が生まれてしまう事。

あくまでも女性よりも有能でコラボなどで活躍する好感度の高い男性ライバー達が許されて来たのであり、無能で人気を獲得できない男性ライバーが蔓延るような事態になれば箱全体にデメリットしかない。
そしてその日は遠くない内に訪れるのではないかと思う。
増やし続けた女性ライバーがそうであったように、男性ライバーもまた増やし続ければただ馴れ合いだけを目的としたタイプが多く混入する事になる。


ここで私個人の男女コラボに対してのスタンスを明かすと
「男性ライバーも男女コラボも普通に見るけど、女性ライバーに軽率にちょっかい掛けてくる男性ライバーは危うく軽率に見えるし、そういった異性でのコラボには心がざわつく」
という程度のものだ。

しかし今にじさんじでどんな男女コラボを繰り広げようともファンは表立って批判しない。いや、出来ないという方が正しい。
「にじさんじの男女コラボに文句付けるとか今更?」
「じゃあホロライブ見てろよ」
となってしまう。
ただ私は男女混合箱のにじさんじだからと言って、そこにある全ての男女コラボ、全ての異性同士の関係性を一括にして見ることが出来ない。

OTN、ド葛本社、エビマル、紅ズワイガニ等の男女コラボやカップリングは普通に見ているし受け入れられる。
にじさんじクイズ王決定戦のような大型企画で男女がオフで会おうが何も思わない。
そもそもにじさんじを見ている人間で男女コラボが苦手というのはまずないと思っている。

それは私がにじさんじの男性ライバーに対しては一定の好感度と信頼を持っているからでもある。

女性主体のこの界隈での男性ライバーは、自分が警戒される対象だという事を理解した立ち回りを求められた。
時代背景的に警戒され易かった1期2期の時代はもちろんだが、その後のエクス・アルビオや葛葉といった人気の男性ライバーも総じて奥手な傾向にあり自分から女性ライバーを誘う事は少ない。

男性ライバー側が異性への絡みに対して相応のリスクを意識しているように見える事には安心感を覚える。
ド葛本社は家族であるし、エビマルは英雄と魔法使い、師匠と弟子だ。
これらの関係性には一定のキャラクター性やRPがある為、ただの生主的な男女のリスクから目線を外すような効果が働いているのだと思う。

反対に舞元啓介が良くやっている炎上ネタは最初から女性絡みでのリスクを視聴者に意識させて、あくまでも巻き込まれて困惑する側、建前でも自分は乗り気ではないという姿勢を示している。
男女の関係性のリスクを逆手に取ってネタにする事で不快感を伴わない茶番として成り立たせているのだ。

その他にもARKの戦争の準備やスプラのチーム練習のために裏で何時間も男女のライバー同士でゲームをしてようが何も気にならないのは、そこに明確な「異性に対しての出会い厨的な欲望」以外の理由(優勝したい、リスナーを楽しませたい、自分の頑張りを伝えたいなど)が見当たるからだと思っている。
異性が絡む事への心のざわつきもコンテンツの達成感と共に関係性はエモで上書きされる。


▼配慮しなくなった男性ライバー


しかしこれらとは異なる、あまりに無警戒な男女の交流がにじさんじ内で増えていると感じる。
私が苦手なものは

・デビューして間もなく同期でもない女性ライバーと軽率に交流を持とうとする迂闊な男性ライバー
・女性ライバーの凸配信などで関係性が薄いのにすぐに凸してくる男性ライバー
・キャライメージや風評被害を気にせずに異性の裏話を意気揚々と話すライバー



ライバー自身というよりはこれらのムーブがどうにも苦手だ。
「ぐんかん」や「SF組」というキャライメージの相性が良いコラボはエンタメとして楽しめているのに、神田笑一や黛灰などがよくやっているライバーに対しての優しいお兄さんムーブが好かないのもこの辺に理由がある。

優しさを武器に裏でのサポートを餌に釣って異性のライバーに配信上で、「凄い」「優しい」と言わせる一連の流れに辟易としている。
もちろん彼らが無理やりに言わせているわけではないのは判る。
だからこそ男性ライバーからのアプローチに対して積極的に好意で返すような女性ライバーの方も苦手になってしまう。
茶番やエンタメにもならず、高い需要を生み出すグループやユニット人気にまで結びつかないような、ただ異性に優しくする事で展開されるだけのありふれた異性同士の交流はオフパコで賑わったただの生生的なそれだけを意識させる。
そこまで思わなくてもライバー個々のスタンスを考慮しない、コミュニティでの軽率な立ち回りの増加はにじさんじで男女共にアイドル売りや個の人気が機能しなくなっている原因だと見られる。

しかし元も子もない事を言ってしまえば、こういった男女コラボに対してのざわつきも面白ければ、人気があれば全て払拭される。
異性コラボの面白さはにじさんじの強みであり男女混合箱としての立ち位置を確立した。
男女混合の箱だからこそ、そのリスクに意識的になって上手くヘイトを稼がないようにやりくりして頑張ってきた先輩ライバー達の活躍があればこそ男女混合を武器として人気を確立するに至ったのではないか。
男女が居る事での強みを活かした企画コラボや、人気あるカップリングを形成してしまえば、異性コラボというだけで反発するような層が居てもマイナス以上のプラスでもって成功と言える。
「ぐんかん」での郡道と神田との関係性には痴話喧嘩が絶えないカップル的な面白みがあるし、「SF組」には近未来設定でのRP的な統一感があるが、神田や黛がそこに居るだけの男女コラボにはただでしゃばり男が居る事だけがフォーカスされる。

問題はこの調子だと大したプラスにもならない、マイナスを払拭出来ないような雑なだけの異性コラボが増加してしまうのではないかという事。
そして、そんな低クオリティな異性コラボに対しては心のざわつきは誤魔化せなくなってしまう。


▼男女のリスクの違い


致命的なのはタレント的な人気商売の世界ではユニコーン的な理屈でダメージを受けやすいのが主に女性の側ばかりである事。

一般的なにじさんじの男性ファンが男性ライバーを見る時の動機はアイドル需要的なそれではない。
可愛いとか声がカッコ良いとかを目当てに見るわけではなく、ゲームが上手かったり面白かったり、にじさんじの中で注目度の高い配信をするからだ。
見ている動機がアイドル的ではない彼らに対して女性ライバーがアプローチを掛けてきたとしてもそれを理由に不快感を覚える事は少ない。

そのため男性ライバーから積極的に女性ライバーにアプローチをして自身の数少ない女性ファンを減らそうがどうとでもなってしまうのが現実だ。
あくまで今回の「VΔLZ」は女性ファン向けの男性ユニットとしては新規を獲得する程には成功しないだろうという予測に過ぎない。
先達の男性ライバーのように男女コラボをして女性陣を介護したり、ARKの新マップに乗り込んで活躍をして箱推しの男性ファンに快く迎え入れられて人気となる姿はまだ容易に想像出来る。

彼らの事はにじさんじの箱コンテンツが好きな層が見てくれる。
それこそ交流相手を取っ替え引っ替えしていけばいつかは相性の良い関係性にたどり着けるだろう。そうでなくても男性だからこその芸人売りをしていけば良いだけだからいくらでも取り返しが付く。

しかし女性ライバーは中々こうはいかない。
現状の箱コンテンツの中で女性陣が目立つことは難しい。
リスクに無頓着になって男性ライバーからのアプローチに答えてしまい、さりとて「ぐんかん」や「エビマル」にもなることができず、ただアイドル的な人気を手放しただけの女性ライバーの立場は更に厳しくなった。
別記事にしたいが恐らく大会絡みで流行りつつあるAPEXブームもまた逆風だ。有能な男性にキャリーされる女性陣という構図が大量に発生する。

男性ライバーは積極的に女性ライバーにアプローチを仕掛けても元々アイドル売りが成立していないライバーが多いからノーダメで済む。
しかし女性ライバーには異性絡みがデメリットとなる危険性がある。
その事に男性ライバー自身が配慮しなくなってしまった。

何のリスクも感じず、やらかしても挽回のチャンスが大量に転がっていて、やりたい放題出来るのが今のにじさんじの男性ライバー。

になりつつある。

話は戻すが、だからこそ今回のようにアイドル売りの新人男性ユニットを出した以上はしっかり女性人気を獲得しなければいけなかったと思う。
現状では日数的にまだ彼らがライバーとして良いとも悪いとも判断出来る程の期間は経っていないものの、印象としてはやたらとライバー同士でのコミュニティに積極的な印象は強い。

異性トラブルで刺激してしまうような女性のファン層がそこまで居ない為に彼ら男性ライバーはアイドル的な需要全般に対しての配慮を欠いている。

しかし一見で芸人路線ではなく男性アイドル売りに見える彼らからの、女性ライバーへのアプローチというものは、ある種のホスト的な存在(不破湊ではない)が異性にアプローチしているようにも見えるため、今後の女性ライバーのアイドル売りに際してのより一層の懸念材料にはなってしまう。
ただでさえ大会や共有鯖で男性ばかりが活躍して男性ライバーに興味がない層が寄り付かなくなって外部に流出している現状でのこの選択肢は下策だったように思う。

男性ライバーのファン層は結局の所は箱の男性ファンがほとんどだ。
箱自体の新規が増えなければ、男性ライバー同士でパイの取り合いが生まれるだけでしかない。

本音としてはここまですぐに同期以外と関係性を作るなら、SMCやメイフ的な需要を狙って男女で出したほうが良かったでしょっと。
結局、総じてスペックは高いがトークが上手いわけではない甲斐田晴がママ役(介護役)になってゲーム下手で機材音痴なポンコツ長尾景と、あまり配信出来ないけど裏方としてのスキルある弦月藤士郎をキャリーするような構図は別に男女ユニットでもよくある構成だ。
運営や新人がどのような売り出し方を計画しようとも、箱のライバー同士の仲良し至上主義の流れにのみこまれて同じようなスタンスのライバーが増えるだけになっているという事例ではないかと。

かつてのSEEDsの隔離措置は失敗扱いとの見方が強いのだろうが、隔離した事で一定の独自色や固有のファン層を形成した事を考えると、デビューから一定期間のコラボ禁止などの措置も必要に思えてくる。


▼私が過去に投稿したにじさんじ文化論へのリンク▼

にじさんじ文化論「馴れ合いの増加、低め合う関係性」
にじさんじ文化論「ライバーとしての自覚の無さ、優しさという武器」
にじさんじ文化論「男性ライバーの活躍と女性ライバーの弱体化」
にじさんじ文化論「新人は男性3人組。アイドル売りの難しさ」
にじさんじ文化論「ホロライブは最強で最悪のライバル?」
にじさんじ文化論「無敵のホロライブとライバル不在の箱」
にじさんじ文化論「炎上の予兆。好感度の大切さ」



※追記
デビューから一ヶ月経った。
長尾景と、弦月藤士郎はソロで1000人を割る事が珍しくないレベル。
先輩の男性ライバーの人気を勘違いしてるのか全く躊躇がなく今までの新人と比べてもハイペースなコラボ。
人気がない先輩ライバーばかりがガンガン絡んでくる環境。
男女でコラボしてもろくに人気に繋がらない関係性。
人気商売を自覚した立ち回りが出来ずに、ソロで頑張る事を放棄して、雑なコラボ連発で同期売りのバフも消失させ、男女双方のアイドル売りルートを潰す。
今のにじさんじのコミュニティに感染する低め合う関係性を象徴している。
共有鯖や大会での目立った活躍がない状態の新人が手当り次第に交流の輪を広げても誰だこいつとしかならないのに、ただ多くのライバーと仲良くするだけで何かしらの人気が付随してくるという間違い。
男性ライバーにもこれが蔓延したらいよいよ衰退論が、停滞やいずれ衰退するかも論ではなく、衰退そのものへ近付いてしまう。

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