大人は「6×5=?」すら理解していない?-今さら思い出す算数の基本-
「お父さんあのね。6かける5は?」
「30だよ」
「それはなんで?」
「え?」
こんな会話に続く答えは次のうちどれでしょう?
A.「ろくごさんじゅうだから、30だよ」
B.「6かける5でしょ。6が5こあるから、
ろくごさんじゅうで、30だよ」
C.「これは5かける6と一緒なんだよ。
だからごろくさんじゅうで、30だよ」
答えは全部一応あってはいるが、子どもは納得しない。
ここで正しい答えがわかった人は、この記事の最後に飛んでほしい。
きっとあなたは算数を真面目にやってきたのだろう。
さて、初めの会話は筆者がファミレスで食事中、隣のテーブルの親子の会話だ。
おそらく算数ドリルをやっている子供が親に聞いているのだが、親の答えに子供が納得しないようだ。
父親 「ろくごさんじゅうだから、30だよ」
こども「どうゆうこと?」
父親 「6かける5でしょ。6が5こあるから、
ろくごさんじゅうで、30だよ」
子ども「わかんない」
父親 「これは5かける6と一緒なんだよ。
だからごろくさんじゅうで、30だよ」
子ども「だからなーんーでー?」
父親は子どもは九九を覚えていないのかと思ったのだろうが、続けて、
子ども「ろくごさんじゅうでしょ。
だからなんで?」
父親 「え?」
掛け算の答えは「6×5=30」
ではなぜ?
実は父親も良い線まで行っていたと思う。
「6が5こあるから、ろくごさんじゅうで30だよ」
ここは掛け算の本質にかなり近い。ただ計算方法にとらわれ過ぎている。1桁同士の掛け算は九九で解くものだと思っているし、考えなくても(普通は)思いつくからだ。
私たちは「九九」を覚えている。
それは「1けたと1けたの掛け算の結果」を暗記しており、その計算方法をすっ飛ばしているのだ。
ここまで読んだいればそろそろ思いつく人も多いのではないだろうか。
簡単だ。6が5個あったら、「順番に6を5回足せば良い」のだ。
つまり、6×5 = 6+6+6+6+6 ということだ。
順に足していけば、6、12、18、24、30と言う具合で答えは30だ。
もちろん数学でも自然数の掛け算の一般的な定義は、「a×bは、a+a+…+aという具合に、aをb回足したもの」とするものだ。
というか、「ろくごさんじゅう」は6を5回足した結果が30な事を暗記しているだけなのだ。
これは、実際の計算で非常に便利で、6×5なら5回かかるし、8×9なら9回かかる足し算を、
「絶対に1回で」計算できるのだ。
ちなみに25×64なら64回かかる足し算を、九九と筆算という技術を組み合わせて、「4回の掛け算と4回の足し算で」終えられる。
掛け算を覚えることは、あくまで簡単に計算するための手法で、本当は足し算だけでも何とかなる。
もちろんこの掛け算はちゃんと考えられていて、もっとたくさんの工夫と手法がある。
例えば、25×64=25×(2×2×16)
=(25×2×2)×16
=100×16
=1600
こんな計算法もある。
これは「素因数分解と九九」の合わせ技だ。
長くなったがこれぐらいにしておこう。
気になったらnoteで算数と検索してみてほしい
さて、最初の問いに答えて終わりにしよう。
答えは、
「6かける5は、6を5回足した数だよ。
6+6+6+6+6を計算してみて」
もちろん他の事を言っても良いが、子供は納得したかはわからない。
実を言うと、親子が散々会話した後、子どもが自分でこれに気付いて父親に解説を始めたんだけどね。
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