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日記 一〇二号室 その4

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夜ごはんときもちを記録した日記のつづき(2017年9月16日〜)。 踊る阿呆に、見る阿呆。 踊ってころんでしょげて蹴っ飛ばしてうたって仰いで。 よきもあしきももらったものを消化し…
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2017年10月の記事一覧

80パーセントのチョコレート

80パーセントのチョコレート

二〇一七年十月二十八日土曜日

曇りのち雨

交信はつづく 安心とうれしさは彼女の鼓動を早くする すっと視界から消えてわらう三時の中華料理 お喋りがとまらなくなる少年になれる風景のあること えいやっとボタンを押したブルーに決めた 

晩ごはんは、冷奴、ポテトサラダ、カレーライス。

ひれかつとエビフライの予定だったけれど、お昼ごはんがおそくなってまたあした。

夕方のおむすび

夕方のおむすび

二〇一七年十月二十七日金曜日

晴れ

家の近くのおおきな公園や散歩は、今日も明日も明後日も、でもよい。気が向くのなら。

小学生がさっきまでもずっと同じ建物のなかにいたのに、「あとでなー」と別れて「またあしたなー」と手をふる。そして今日も明日も明後日も三十分でも会って遊ぶ。

母になって、同じ年齢の子がいる友人でありご近所さんができて、彼女とはとてもかさなるところがあるけれどなにより気持ちがいい

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ぽっかりの日向

ぽっかりの日向

二〇一七年十月二十六日木曜日

晴れ

晩ごはんは、冷奴、鶏の醤油麹焼き、カレーライス (大蒜、生姜、長葱、白菜、大根、南瓜、玉ねぎ、ごぼう、豚ひき肉)。

風呂上がり、布団のうえで着替えを終えて座っているとのんさんは駆けてゆく。彼女はすぐに水筒を持って帰ってきた。片方はじぶんの、もう片方にはわたしの水筒。「はいどうぞ」とわたしのをくれた。"のどが渇いた、炭酸水とってこようかな"がぽわんとあたまの

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レモンアイスの平日

レモンアイスの平日

二〇一七年十月二十五日水曜日



高校生以来のサイゼリア 夕方のサイゼリア

びしっとスーツの方たちがメロンソーダ

おばちゃんたちは横並びに座ってお喋り

授乳をしながらお茶するママ

のんさんが腹式呼吸で声を出す

それらがそれぞれそこにいてあるが許される

「食堂みたいなんだ」

大衆食堂のような あのときのいせやのような そんなおおらかさがここにもあってわたしはけっこうぐっときた。

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小声でうたう

小声でうたう

二〇一七年十月二十四日火曜日

曇り

それは魔法
彼女が手のひらから差しだす しぇん
それは魔法
乾かない洗濯物
それは魔法
イチ・ニ・サンと唱えたら歩き出せる細い道
それは魔法
投票箱に手を伸ばす 大人のように
それは魔法
ひざのうえで頭を撫でられたら飛んでゆける
それは魔法
木曜日の夕飯の献立もさっぱりだなんて
それは魔法
とおいとおい口もと
それは魔法
わたしの背中に会うことはない
それは

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ほのあたたかい三角

ほのあたたかい三角

二〇一七年十月二十三日月曜日

雨のち晴れ

彼女の手のひらからどうぞと、いくつももらう。もらってばかりじゃわるいなあとわたしも渡すとまたすぐにたくさんもらう。
時々「しぇん」と言ったり、「っらしゃいませ」と言う。これはお店屋さんなのかもと、レジのひとになって「ありがとうございます」「おつりです」と彼女の手のひらに渡す。受け取るとすぐに何倍もくれる。お財布から小銭を探しながら出しているのかもしれな

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かっぱかっぱかっぱ

かっぱかっぱかっぱ

二〇一七年十月二十三日日曜日



かんくんのお下がりの合羽はおおきくてズボンの裾は三回ほど折った。三人共上下合羽を着て選挙へ向かう。家の前は雨の音で満たされて静けさがあった。外に三人で行けることを愉しいという様子ののんさん。彼女は雨でも台風でも新宿でも長野でも変わらない。

なんだろうという感じで帽さんにひょこひょこついてゆきながら帽さんをまねて投票箱に手を伸ばす。彼女もじぶんのきもちを入れて

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それは魔法

それは魔法

二〇一七年十月二十一日土曜日



パスカルさんに乗ってカフェスロー。雨でずっと家にいたからぐっと手足を伸ばせたきもち。家でココアをのむのと、お店でココアをのむことの違いのおおきさよ。鍋で牛乳をことことさせることもわるくないのに、好きな量をたっぷりのめることもわるくないのに、食器を洗わないことなのか。のむこと以外やることの選択肢がないということがゆったりしたきもちをつくってくれるのかな。それがい

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カメレオンの雨宿り

カメレオンの雨宿り

二〇一七年十月二十日金曜日

あかるい小雨

プラスティックのごみを出しに行くと雨は上がっている。気温もそこまで低くない。「このくらいの時間なら散歩へ行ける」そう思って起きたばかりののんさんを着替えさせて、灯油屋さんがノックしたら家を飛び出すことにした。

ブーブーに乗りたがったのんさんに傘を持ってだとむずかしいからごめんと伝えて、「こっち」と指さすほうへ向かう。コンビニがある方向。きょうはそんな

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はなの予感

はなの予感

二〇一七年十月十九日木曜日



大島さんのひらくうどん酒場へ、けいこちゃんとたつみと行く予定だったのだけれど朝のんさんに風邪の気配を感じて家で過ごすことにした。きょう外出したら風邪になるな、そういう予感はたいてい当たる。いやいや大丈夫かなと見ぬふりをして「あ、やっぱり」となることが幾たびとある。

頭にぼんやり思うこと、のんさんの行為や言葉を書き留めるまえに眠ってしまい溜めがちなこのごろ。何を

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予定不調和と安心安全

予定不調和と安心安全

二〇一七年十月十八日水曜日

晴れのち曇り

帰りの電車、井の頭線。狭いかしらと思う隙間にきゅっとお尻をおさめる。左側のおじさまが寄せてくれて、すみませんとそちらばかり見ていたら、右側のおばさまが「まあ」と話しかけてくれた。「何歳かな」「おばさんこどもだあいすき!」っと。きもちのいい大好きな雰囲気の方で、なにかが浮いているような気がしたらアメリカで暮らしているという。今はよくベビーシッターを頼まれ

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やさしき相棒

やさしき相棒

二〇一七年十月十七日火曜日

雨のち曇り

ひさしぶりに雨があがり、のんさんと駅の方へ歩く。行きの途中から眠たそうにしていたけれどよく歩いていくつかの用事に付き合ってくれた。スーパーのベビーカーは眠りをさそうゆりかごにも、眠気を散らすアトラクションにもなる。

この道を通るとお決まりになっている、溝を歩くことと石畳の余白スペースでの遊び。四角い石の上から両手で取ったそれをどうぞといくつもくれる

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月の子

月の子

二〇一七年十月十六日月曜日



三回目にして成功した脱出

暗闇を歩く

彼女は今も月のこども

地球と太陽をさらっとかわして、合羽にサンダル水たまりを踏む

今が何時だって、気温がどんなだって、天気がどうだって

彼女は歩きたい 歩く 扉の向こうを歩く

わたしは傘をさして

彼女が連れ出してくれた 誰もいない雨音のなかを

どこか目的があるようにまっすぐにすすむ彼女についてゆく

Uターン

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湯気

湯気

二〇一七年十月十五日日曜日



雨はふるふる。わが家ではじめてのパエリア。つくり食べることを目指してひとが集う。友人が多いというわけではないけれどパエリアは毎度入り口のような役割を担う。一組以外みんな知り合いだった今回、集ったメンバーは自然も文化もという方たちの印象。ものをつくる、心を動かすことをやめないそんなひとたち。

じぶんのまわりにいるひとたちはじぶんを反映している。素敵だなと思うその

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