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ほのあたたかい三角

二〇一七年十月二十三日月曜日

雨のち晴れ

彼女の手のひらからどうぞと、いくつももらう。もらってばかりじゃわるいなあとわたしも渡すとまたすぐにたくさんもらう。
時々「しぇん」と言ったり、「っらしゃいませ」と言う。これはお店屋さんなのかもと、レジのひとになって「ありがとうございます」「おつりです」と彼女の手のひらに渡す。受け取るとすぐに何倍もくれる。お財布から小銭を探しながら出しているのかもしれないし、全くお買い物でもなくて気前がよくていろんなものをくれているのかもしれない。レジから取るような素ぶりをして渡すとそのうち彼女もレジのようなところから取るようになる。あれ、のんさんがレジのひとだったのかな。と思うとすぐにピアノに変わる。彼女は横に揺れながらうたをうたう。拍手をしながら聞くと、ふっとまた渡すのんさんに変わる。

そう、このすこし前、お風呂に入ってすぐは、のんさんのお喋りを聞いていた。「しーさんと、しーさんと、だんこんと、とっとと、」「しーさん、ごっふぁんごっふぁん、あむあむって、」いろんな出来事を話してくれていた。時々笑ったりしながら。名詞がふえてゆく。彼女の話がすこしずつみえてゆく。いつかはっきりみえるさみしさとたのしみとを思う。すーさん、たかくん、ゆうさんとなにかしたんだという話、すーさんがごはんをたべていた話を話してくれていた。もっといろんな内容が含まれていたのだけれどわたしが受け取れたのはこのくらいだった。けれど、これだけでもものすごく受け取れたきもちで、こんなに伝えられるようになったのかと感激する。

晩ごはんは、いつかの野菜炒め、ブロッコリーと海苔の佃煮、蒸しさつまいもと南瓜、トマトスープ (生姜、大蒜、椎茸、白菜、カブ、大根、玉ねぎ、人参、ごぼう)、帽さん焼きそば (パクチー、トマト、生姜、長葱、ぶた肉)、梅粥。

夜中に帽さんのあたまのうえで眠っていたのんさん。布団に移動されて目覚めると、"のんさんのおはなし"は元気にはじまる。おもしろくて聞いていたけれど眠たくなってきてねんねしようと声をかけるとすっと横になる。いつだってサービス精神旺盛のあなた。

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