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大阪にある10名程度の社労士事務所の採用ブランディング/マーケティング施策を猛烈に進めた内容を赤裸々に公開

「一般的な社労士事務所さんとは異なる採用ブランディングをしていきたいんですよね」

大阪にある社労士事務所のAdjust HR代表の中野さんからお声がけいただき、採用支援をスタートしました。
本ブログでは、Adjust HRさんがどのように採用活動における「設計」を実施したのかをリアルな事例をもとにご説明したいと考えています。僕にとってもすごく勉強になる事例でしたし、代表の中野さんからも、赤裸々に状況を書いて良いと快くご了承を頂戴しておるため、記載したいと思います。


0. Adjust HRさんの概要

大阪にある社労士事務所さんで、従業員数は10名程度。
僕が、最初にAdjust HRさんと話をした印象は下記でした。

「一般的な社労士事務所さんと比較してかなりアグレッシブ」
「業務範囲が広く、顧客の為であれば、様々な業務を行っている」
「当社のメインターゲットであるベンチャー企業様のようにスピードが非常に早い」

正直申し上げると、社労士事務所さんはいわゆる「守り」の仕事が多いイメージで、保守的で決められた業務を行い、割とゆったりきっちり仕事をするイメージを持っていました。
ただ、良い意味で逆の第一印象だったことを覚えています。そんな中、代表の中野さんが自社の「見せ方」に関心が高く、まずは採用ブランディング+採用広報のご支援から開始しよう、ということでスタートしました。


1. 採用ブランディング支援の実施

当社の主力サービスである採用ブランディングとは、採用企業様の魅力の「発掘」「言語化」「整理」をいたします。
まずはAdjust HRさんの採用活動における魅力をヒアリングさせていただきました。約1時間におけるじっくりとしたヒアリングを2回実施させていただき、Adjust HRさんのお話をたくさん頂戴しました。
当時のアジェンダを一部公開いたします👇

ポイントとしては「他の社労士事務所さんとの違い」をあらゆる角度から明瞭にしたことです。あらゆる角度とは何か?それは当社の採用活動における魅力項目である「6P+CGM+tech」のすべての項目です。この中の項目において「違い」を見つけるためのヒアリングを重ねたイメージです。


2. 採用ブランディング支援の結果

結論としては、個人的には満足のいく内容になったと思っています。何故かと言うと、Adjust HRさんの色が存分に出た結果となっておりましたし、競合他社さまとの違いをポジティブに表現することができたからです。前述した通り、「6P+CGM+tech」の切り口で取りまとめたのですが、そのうちの幾つかを紹介したいと思います。

- Adjust HRは「労務」ではなく「戦略労務」という言葉を用いている
 - 「戦略労務」とは?
  - 労務を「点」ではなく「面」で捉えている
  - 「給与計算」「年末調整」などの労務系の業務(手続き)を「点」で
   実行するのではない
  - 会社にはミッション/ビジョンがあり、それらを達成するために
   経営戦略がある
  - 経営戦略を達成するために「労務」が存在していると強く認識して
   いる
  - つまり、労務は経営戦略を達成するためのキーファクターであり、
   経営者と同じ視点で労務を実行することを「戦略労務」と定義
   している
 - Adjust HRは一般的な社労士事務所や事業会社の労務担当とは異なる
  - 「労務は経営において非常に大事である」ことを顧客に啓蒙して
   理解してもらいながら仕事をしている

- 経営視点がない / 経営者と向き合えていない
  - 社労士事務所で事業会社を支援している側と、事業会社で労務を
   担当している側の共通項目として、
      経営を前に進めるための労務業務であると本質的に理解して業務を
   実行している方が限りなく少ないことだとAdjust HRは感じている
  - どの企業も労務は「守備」と捉えられるが、それ自体は間違いでは
          ない。ただ、労務は「人事」の一部であり、労務を強固することに
   よって、間違いなく経営が前に進む
  - 労務が整っていれば無駄な心配は不要で、経営はダイナミックな
   チャレンジができる。不要な邪魔はされずに全力で走ることができる
 - 「面」ではなく「点」で捉えてしまっている
  - 「給与計算」「年末調整」などの労務系の業務(手続き)を「点」で
   実行するのではない
  - 会社にはミッション/ビジョンがあり、それらを達成するために
   経営戦略がある
  - 経営戦略を達成するために「労務」が存在していると強く認識して
   いる
  - つまり、労務は経営戦略を達成するためのキーファクターであり、
   経営者と同じ視点で労務を実行することを「戦略労務」と定義して
   いる
 - Adjust HRは一般的な社労士事務所や事業会社の労務担当とは異なる
  - 「労務は経営において非常に大事である」ことを顧客に啓蒙して
   理解してもらいながら仕事をしている

このような内容を打ち出す結果としております。
また、ここまで内容を整理した際に1つ気になったことがありました。それは、

「Adjust HR=労務」
「Adjust HR=社労士事務所」

というシンプルな表現に対しての違和感です。Adjust HRを一言で説明するのであれば、そして事業内容を表現するのであれば、上の2つの表現は適切かと思います。ただ、前述した採用ブランディングの内容にもあるように、一般的な社労士事務所様と比較した際に異なる点が多数あるわけです。
これらをうまく表現したい、適切な言葉はないのかと考えた際に、下記の言葉を思いつきました。


3. 「戦略労務」という表現

僕から代表の野村さんに提案をさせていただきたのですが、Adjust HRさんのアグレッシブさ、熱量、業務範囲、スピード、これらを表現したい。ただ、文章で表現するよりも、端的にキャッチフレーズのように表現できるような言葉がないと、求職者さまは正確にインプットができない可能性が高い。そんな課題を採用ブランディング時に抱えていたのですが、その際に自分なりに熟考しておりました。
そこでヒントとなったのは、当社ポテンシャライトが軸足を置いている「人事/採用」の領域でした。
誤解がないように申し上げると、Adjust HRさんの「労務」のメイン領域についても「人事」に内包されます。ただ、当社のメインの領域は、人事の中でも「採用」がメインではあるのですが、この採用の領域について参考になる表現がありました、という意味合いです。

どういうことかというと、人事/採用の領域において

「戦略人事」

という表現が、2018年頃からちらほら見受けられるようになりました。戦略人事とは、戦略的人的資源管理(Strategic Human Resources Management)」と言う意味合いになりますが、まさにAdjust HRさんの思想/職域が「採用」の領域で言う「戦略人事」と非常に近しいと感じておりました。

また、これは僕の第三者的な印象になるのですが、「労務」ということを言うと、少々守備的な言葉のイメージが先行しておりました。例えば、「管理部門」「守り」「細かい」「ミスできない」「融通が利かない」というイメージがありました。(これは、率直な感想になるため、本文に該当する社労士さん/労務担当の方、大変申し訳ございません)。
そんな中、Adjust HRさんは「未経験」の募集であったが故に、第三者的な社労士事務所さんのイメージを変革する必要がありました。その際に適切かなと思ったのが「戦略労務」という表現でした。


4. 採用ブランディングの内容をどのようにアウトプットしていくのか

本ブログの執筆に至った背景の1つに、この「採用ブランディング」のオーソドックスな活用方法のご紹介をしたいというところがありました。
繰り返しになりますが、採用ブランディングは、魅力の「発掘」「言語化」「定義」になります。そのため、採用ブランディングをただ実施しただけでは、魅力の「アウトプット」はしていない状態となります。そのため、手元に自社の魅力が取りまとまっているだけでは宝の持ち腐れと言いますか、シンプルにもったいないのです。

では、整理できた魅力をどのようにアウトプットするのか?
そのアウトプット手法/活用方法は多岐に渡ります。下記ブログをご覧ください👇

本ブログでは、上記活用方法について詳しく触れるわけでは無いのですが、あらゆる活用方法があります。
そのうちのオーソドックスな、適切な活用方法の1つが「採用広報」です。採用広報とは、その名の通り採用活動における広報活動のことになりますが、最も分かりやすい事例としてはWantedlyの採用インタビュー/入社ヒストリーでしょうか。あの類の記事を書く際に、採用ブランディングで整理できた魅力を活用することができます。
では具体的にどのように活用するのかを見て参りましょう。

 4-1. 各魅力項目の中で、採用広報の記事にする項目の優先順位付け

Adjust HRさんの場合は18の魅力に分類することができました。このすべての魅力に対して採用広報の記事を執筆するかというと、そんな事はありません。もちろん、時間と熱量があれば執筆いただいても問題ありません。
この18の魅力の中で、どのように優先順位を設定すべきなのかというと、2つの手法があります。

1つ目は「ストーリー型」です。このストーリー型については、下記ブログで説明をしておりますので、下記ブログの「目次」を見ていただけるとイメージが湧きやすいかと思います。

2つ目は「強み、プッシュ型」です。前述したストーリーは度外視して、御社が打ち出したい項目(内容)を優先順位を上げて打ち出していく手法です。
3つ目は「弱み補填型」です。御社が採用活動する上で、いまいち候補者さまに伝わりきっていない内容であったり、御社の弱みとなっている内容を採用広報の記事において補填する手法です。
今回は、1つ目と2つ目の併用パターンとさせていただきました。

 4-2. 各採用広報の企画書の作成

Adjust HRさんの場合は、これらの魅力の中で6つに分類して記事を書き進めることにしました。その6つとは下記の通りです。

中野さん創業ヒストリー
社員の方のヒストリー①
社員の方のヒストリー②
なぜAdjust HRは未経験採用をしているのか?
事業会社の労務 / 一般的な社労士事務所と、Adjust HRの仕事内容の違い
HRの中での労務の役割

上記の通りなのですが、やはり代表の中野さんのヒストリーは外すことはできないかなと。また、本ブログの中段にも記載しましたが「戦略労務」という考え方については強くプッシュしたいが故に入れています。それに加えて、Adjust HRさんと他社労士事務所さんとの違いをPRしたかったが故に、社員の方2名に記事に登場いただき、その違いを中心に記載する記事を執筆しております。
このような形で採用広報の戦略/戦術、そしてスケジュールを立て、一気に執筆をいたしました。

 4-3. 採用ブランディング後の採用広報の執筆はすごくスムーズに進む

すでに採用ブランディングにおいて、代表の中野さんにヒアリングをさせていただいていたため、採用広報に書く内容についてもある程度事前に想定できておりました。そのため、今回の企画書については想定されるメッセージングのレベル感で「インタビュー実施前」に明瞭にできておりました。

少し話がずれますが、(ただ非常に重要な話題になりますが)、
採用広報はインタビュー実施「前」にメッセージング(伝えたい内容や魅力)を明瞭にしておくのか、インタビュー実施「中」にインタビュー対象者の話をした内容が結果的にメッセージングになるのか。この2つのパターンがあるかと思います。
結論から申し上げると、前者が理想です。ただ、ある程度「インタビューの本数」が必要である場合、事前にメッセージングについてインタビュー対象者や人事側とコンセンサスをとってからインタビューを進める手法の場合、それ相応の時間が必要です。そのため、採用広報の現場の実態としては、

「目的やターゲット、質問内容は考えるけれども、メッセージング上 当日のインタビューにおいてインタビュー対象者の方がお話ししてくださった内容をもとに構築しよう」

と考えている企業様が多いのではないでしょうか。
話を戻して、採用ブランディングを実施すると、ある程度メッセージングが明瞭になります。そのため、採用広報のインタビュー「前」にスピーカーの方に想定されるメッセージを伝えることができるため、採用広報のクオリティーにブレが発生しないことが多いです。それがメリットになるかと思います。

 4-4. 採用広報記事 合計6本を1ヵ月でインタビュー実施

前項で記載した通り、事前に内容を想定していたこともあり、6本のインタビューを1ヵ月以内に実施。ライティングについては、当社の提携しているライターさんにご依頼をしたのですが、結果的に記事の納品については1ヶ月ちょっとの期間で実施することができました。もし仮に、事前にメッセージングが明瞭になっていないようであれば、おそらくこの期間で実施するのはかなり骨が折れる業務だったでしょうから、うまく進めることができたと感じております。


5. 求人媒体への掲載

結論から申し上げると、今回はWantedlyと Greenを用いて採用活動を進めることにいたしました。人事経験がある方はご理解いただけると思うのですが、新しい採用媒体に期待を寄せつつも、まずは採用媒体の「設計」を実施しなくてはなりません。特にWantedlyは「何やっているのか」「何故やっているのか」「どうやってやるのか」「こんな事をやります」この4つを採用企業側が設計しなくてはならず、Wantedlyのアカウントを作ったのはいいものの、ここで挫折をする企業様も多いのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、今回は採用ブランディングを実施していたが故に、WantedlyやGreenのいわゆる「会社概要」欄の記入についてスムーズに進めることができました。


6. Entrance Bookの作成(作成中)

採用広報の記事や採用媒体への求人内容の記入を終えたため、本格的に採用活動を始めるフェーズに入りますが、
まず実施するのはカジュアル面談になります。カジュアル面談の手法などは本ブログでは触れないのですが、カジュアル面談「前」にできる限りその企業の概要や魅力を伝えるべきだと思っております。
耳にされたことがある方もいらっしゃるかもしれないのですが、当社では「Entrance Book」と名付けている採用マーケティング施策がございます。前述した通りカジュアル面談「前」に候補者さまにとって適切な情報を取りまとめているものです。これをがあることによって、オンライン/オフライン問わず初期接点の前段階で候補者さまにAdjust HRのことを正確に認知してもらうことができます。


7. 今後取り組もうと思っていること

 7-1. Culture Deck

Adjust HRのカルチャーを文言化し、資料として整理をし、まとめて情報のアウトプットをしたいと考えています。
ポテンシャライトもカルチャーには拘っており、文言化して外部にアウトプットしています👇

Adjust HRは社労士事務所様の中でも特異なスタンス/職域だと感じております。
ただ、なぜ数ある社労事務所様がそこまで変化がないスタンス/職域なのに、Adjust HRが特異なスタンス/職域なのか?と考えていたのですが、その答えは「カルチャー」にあったと感じています。

これはポテンシャライトの定義ですが、カルチャーは「バリューを追い求めた結果、醸成された雰囲気」と定義しています。つまり、「今」のAdjust HRを表現している単語です。Adjust HRのスタンス/職域、そしてこれまでの実績を生み出しているのはカルチャーに他ならないと感じています。そのため、Adjust HRの強みはカルチャーなのではないかと個人的には思っており、Culture Deckの作成のお手伝いをしたいと個人的には考えています。

 7-2. 採用ピッチ資料

これは馴染みのある施策かと思うのですが、採用ピッチ資料はやはり必要であり、Adjust HRさまにもご準備いただこうかと考えています。
前述したコンテンツと比較して少々クリエイティブな要素も含むため、デザイナーさんも巻き込みながら動きたいと考えています。既存の社労士事務所さんとは一線を画したイメージをお持ちいただこうかと考えています。
下記ブログはご参考までに記載しておきます👇

 7-3. 動画コンテンツ

代表の中野さんのキャラクターが非常に素晴らしいこともあり、テキストコンテンツだけではもったいないと感じています。
そのため動画コンテンツを拡充することにより、候補者さまにさらに明瞭にAdjust HRのことを伝えることができると感じています。動画コンテンツと申し上げると、作成に時間がかかるイメージがあるかもしれないのですが、Zoomの録画機能を用いて会社概要の説明動画の作成を進めようかと考えています。
少し文脈はズレますが、こんな発信も過去にしておりましたので、参考までに。

 7-4. 音声コンテンツ

Adjust HRのメンバーの方々はすごくユニークな方ばかりです。冷静に考えると、Adjust HRのスタンス/職域などを考えると、一般的な社労士事務所様とは一線を画した雰囲気になることも頷けます。7-2で記載をした通り、この雰囲気をテキストで表現しきれないと感じており、ただ、メンバーの方に動画に出演いただくのも負担になるため、音声であれば良いのではないかと思っています。肩の力を抜いてラフな内容をイメージしています。
当社ですと下記コンテンツをアウトプットしています。

 7-5. エントリーマネージメントブック

エントリーマネージメントブックとは、「入社前後のギャップを限りなくゼロにする」ことを目的とした資料です。皆さまも1度はご経験があるかもしれないのですが、ご入社後に「こんなはずではなかった」と思われたことが少なかがらずあるのではないでしょうか?こんなはずではなかった、と感じるのは事前の情報提供不足です。そのために作成をしております。
下記は参考ブログです。

 7-6. EVP Book

EVPとは「Employee Value Proposition」の略で、日本語訳すると「従業員価値提案」です。当社では内定フェーズに候補者さまに見ていただいております。「魅力」と「価値」は異なるものだと思っており、もし仮に皆さまがある「魅力」をキッカケにある企業に興味が沸いたとします。ただ、入社をするか否かの検討をする際に、その魅力ではなく「その企業に入社をするにあたり、自分はどのような価値を得ることができるのか?」と考えることが普通の心理なはずです。つまりオファー面談で質問をするような内容を羅列しているイメージです。Adjust HRもこの内容が必要なのではないかと個人的には考えています。
下記は参考ブログです。


最後に

皆さんいかがでしたでしょうか。
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