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おっさんの父親が、愛犬のマメタロウとお散歩リードに散歩してもらった話


お散歩リード

おっさんは
犬を飼っていた…

現在も
飼っているのだが
その子の話は、
また
おいおいすることにして

今日は
もう亡くなって
しまったのだけれど、
すごく賢かった
マメタロウについて
書いていきたい。

彼は
僕とおっさんが
出会ったときには

もう成犬で、
とても賢く優しい子だった。

たまに、
おっさんに連れられて
職場に来ていた。

決まって
おっさんの車の助手席が
彼の特等席だ。

そこから
見える景色が
とても好きで、
助手席の窓は

彼の鼻とよだれで
とてもきれいに
汚れていたこと
を覚えている。

実家では
3匹犬を飼っていた
僕だけれど

離れているので、
なかなか会えないし
実家を離れてから
身近に会える犬は、
マメタロウだけだった。

僕も今でも
彼にもう一度会いたいと思う。

彼にスマホの
カメラを向けると、
決まって嫌そうな
顔をしやがる。

気にせず記録に
残そうと頑張るが

こっちを向きやしない。
そんなマメタロウ。

職場に寄った後は、
決まって河川敷に行って
おっさんと二人で
遊んでいたマメタロウ。

と、ここまで
マメタロウについて
熱く書いてきた。

冒頭でも
マメタロウについて
書いていきたいと述べた。

しかし、
今日の主人公は
実は彼ではない。

彼は
すごく賢き
被害者である…

では、
だれが主人公なんだ?
どうせいつも通り

おっさんなんだろ?
こんな誰もが
推測できる
おっさんも

実は、
今日に限っては
主人公ではない。

散々引き延ばしたが

今日の主人公を
発表し
ようやく
本題に入るとしよう。

今日の主人公は、
おっさんの親父である。

愛着を持って
パピー
ということにしよう。

おっさんの親父である、
いわば
DNAの祖先であるから、
パピーもまた
実に濃いキャラクターだ。

パピーの容姿は、
おっさんにそっくりで
おっさんより表情が
固い印象がある。

写真でしか見たことないけど

おっさんも
僕もドッグラン等の
安全が確保されない場所、

逆を言うと
危険が考えられる場所においての

ノーリードは
大反対派である。

むしろ当然であるということを
前提として
言っておきたい。

以下、おっさんから聞いた

パピーとマメタロウの話。

おっさんと僕
始まって以来の、
アナザーストリーである。

~~~~~~~~~~~~~~~~

ある日のこと、
マメタロウを
散歩に連れて行くのが
日課のパピーが

マメタロウに
散歩に行くよと告げた。

彼は一気に
テンションが上がり、
パピーの周りを
クルクルと回りながら

玄関先へと向かう。

そこで、パピーは
いつも準備してある
お散歩バックを
手にしてから

興奮状態の
マメタロウに
お散歩リードを装着した。

いざ出発である。

パピーとマメタロウとの
お散歩ルートは、
いつもだいたい同じだ。

家を出て、
車通りを避けながら
決まったルートを歩いていく。

外のにおい、
景色が好きなマメタロウは
すごく楽しそうだ。

パピーはというと、
趣味の写真の
題材になるような
シチュエーションや

光景を探していた。

いつも同じ道を
散歩するのだが、
季節によって
違いがあるものだ。

個展を開いたりするくらいの
力の入れようのパピー。

最近は、
写真の機材を
運べる用の車にも乗り換えた。

この時も、
次の個展に向けて、
いろんな感性を
研ぎ澄ましていた。

散歩の最後に
短めの
トンネル?のようなところを通る。

マメタロウも
美味しい風を浴びながら、
道沿いの草に
寄り道したりしながら

パピーの後を追っていた。

トンネルを抜け、
家路につく。

玄関を開け、
家の中に入り

パピーは
お散歩バックを置いた。

廊下を抜けて、
マメタロウの足を洗うため

少しだけ
リビングを通る。

おっさんは
そこにいて、
「おかえり」と言いつつ
テレビを見ていた。

いつもの日常だ。

そして、
パピーの気配が
通り過ぎていくのを感じた。

が…その気配が…
すぐさま戻ってきた。

パピーが
おっさんに問いかけた。

パピー
「マメは?」

おっさんは振り返り、
驚愕の光景を見た。

そこにいたのは…

リードを
散歩させている
父親の姿であった。

もちろん洗う足もない。

ちょっと
ゾッとする展開だが、
最後まで
安心して見てほしい。

おっさん
「しらんやん、
 散歩行ってたんちゃうん?」

まさかの
珍しく正論である。

パピー
「散歩して
 もらっててんけど
 おらんなー
 どこ行ったんやろな」

パピーは
マメタロウに散歩に
ついてきてもらっていると
普段から思っている。

心優しい糖尿病。

とはいうものの

おっさんは、事の重大さに
気が付いているので
大慌てである。

おっさんは
上着に袖を通しながら
家を飛び出した。

散歩ルートは
だいたい把握している
逆から回ろう!

瞬時に
そう考えたおっさんは
トンネルへと向かった。

すぐに分かった。

そこに
お座りしている
見慣れた賢い犬がいた。

マメタロウだ。

ちょっと困った顔をしたのち、
彼は嬉しそうに寄ってきた。

帰ることを
察したマメタロウは、
リードを
装着されるのを待つため

仁王立ちしてくれている。

だが
慌てて飛び出してきたため、
リードがない。

肝心の
リードはというと
パピーが
散歩させていたままだ…

おっさんは、
そっとマメタロウを抱きかかえて

家に帰った。

到着するなり、
おっさんは
今回は、よかったものの
危ないから気を付けてと

無人のリードを
持っているままの
父親に注意をした。

そのまま、
マメの足を洗いに
おっさんが行った。

出てくると、

首をかしげながら
いまだに
パピーが無人のリードを見ている…

そうして、
その日は問題なく
終えることが出来た。

かに思えた…

その日の晩。

おっさんが
布団に入ってから、
静かな時が過ぎ
無音の世界。

おっさんの頭の中に
ジワジワと…

父親が、
無人のリードを引きずりながら

トンネルから
家までを
歩く姿が浮かび上がった…

シュールすぎて
ツボにはまり、
寝るまでに
相当時間がかかったそう。

ではまた次回。


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(๑╹ω╹๑ )