あの子の”優しい”に憧れて


近頃、ちょっぴり悩んでいました。

私ね、過去の自分に優しく話しかけるように、そして同じような気持ちを持っているかもしれない誰かの心に触れるように、そうやって文章を書いていることが多いんです。

だから、優しい部分ばかり見せてしまっている気がして。嘘つきになっている気がしてて。


私、以前はもっと優しくなかったと思います。融通も利かなくて。

学生の頃は、まだまだ視野が狭くて、浅はかな考えしか出来ないのに、正しくあろうとしていたんです。だから、相手にも、正しさを求める。人間は正しく生きなければいけないって思っていたんです。でもその正しさって?それは、”一般的な”正しさ。正義感を履き違えていました。

だからもちろん、人を傷つけてしまったことがあります。

傷つけた自覚があるものもあれば、自分の自覚のないところで誰かを傷つけていることだってきっとあります。


最も記憶に残っていることは、中学生の頃「死にたい」という気持ちを私に話してくれた友人に、「そんなこと言ったらダメだよ。」としか言えなかったこと。

ドラマやドキュメンタリー番組を見ただけで、全てを分かった気になって。頑張って生きようとしている人がいるのに、なんでそんなこと思うの?なんて風に思っていました。

「あなたには分からないよ」と言いながら、それでも何度も私にその言葉をぶつけ続けてくる彼女は、きっと寂しかったんだろうと思います。誰かに目を向けて欲しかった。その寂しさを私に分かって欲しかった。当時の私はそんなことも分からず、その言葉を聞く度に、どんな言葉を伝えればいいの?と悩んで、悩んで、終いには熱を出して学校を早退してしまう日もありました。

でも、それだけ考えていたようで、私は何も分かっていなかった。「彼女が楽しく笑える為には」ではなく、「彼女が死にたいと思わなくなる為には」ということばかりを考えていたんです。私の思う″正しい″の押し付けでしかありませんでした。

だから、ドラマやドキュメンタリー番組で知った言葉を並べたって、何にも彼女に届かない。彼女の気持ちは救われない。救いたいだなんて思っていること自体が、間違っていたんですよね。自惚れていました。


私はきっと、彼女が今生きてくれていることへの感謝の気持ちを伝えるべきでした。友達でいてくれてありがとう、と。そしてふたりで、少し先の未来の話をすればよかった。今日の帰り道、海に行こうよ、とか。土曜日、カラオケ行かない?とか。

それでも私たちの関係は途絶えることはありませんでした。いわゆる思春期を過ぎて、彼女の環境も心も変わっていき、彼女の口から「死にたい」という言葉を聞くこともなくなりました。

そして、お互い社会人になって彼女と電話をしている最中、仕事が大変なことを伝えると、彼女とその恋人が私を海に連れて行ってくれたんです。海の夜風を浴びると、心のモヤモヤがその風に乗って飛んでいくように、気持ちが軽くなりました。みんなでたくさん笑いました。何より、時間を使って会いに来てくれて、連れ出してくれたことが、本当に嬉しかった。


私は、いつも、周りから教えてもらうんです。

誰かが困っている時は、どうしたらいいのか。

誰かが悲しい時は、どう寄り添えばいいのか。


誰かの優しさに触れて、憧れて、真似するんです。

私も、こんな風に、誰かに優しく出来たらなって。


だから、みんなの真似っこで出来ている私の優しさを、私がもともと持っていたみたいにここで表現している気がして、申し訳なく思ってきている自分がいました。

そんな今日、図書館でこんな本と出会いました。



それでね、凄くステキなひと言があったんです。

優しさは、だれかが気づいて優しさになるのかもしれない。


つくづく、本との出会いもタイミングだなと思いました。これまでこういうコーナーがあることすら知らなかった、イラスト作家さんのコーナーにあった本です。たまたま、目が合いました。今の私の気持ちを、こんな風に慰めてくれるなんて。凄く優しい本でした。

私の成分は、優しさ100%ではないので、時々トゲトゲしていたりもします。トゲトゲしていて優しく出来なかった時に、誰かに優しくしてもらうと、自分のことが恥ずかしくてたまらなくなります。でもせめて、誰かの優しさを優しさだと気付けるようにありたいなと、そう思いました。


こんな記事を書いているのも、あなたに嘘はつきたくないから。正直でいたいから。という私の自己満足だと思います。そんなこと知りたくなかったよ、言わないでいいのにって、あなたは思うかな。と思いながらも、この気持ちを書かなければ、これから文章を書けなくなる気がしました。

私のnoteは、みんなにもらった優しさから紡ぐ言葉のnoteです。

いつも読んでいただいて、本当にありがとうございます。





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