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僕と言葉は、ひとり、ひとりひとり、


作家はじぶんが書いたものをほうぼうへ送り届ける。そういう手続きを踏まなければ納得のいかない、特殊な人が作家になるのだと思う。

作家というのものは、自分が書いた書物にも、出会う書物にも、それがどれほどよくできたものであろうと、絶えず不満足である。だから書きつづけるのだ。たしかに作家は、不断に追い求め、接近するが、決して到達できないこの完全な書物──つまり自分に見合った書物──の理想的なイメージなしには、書きはじめることも、書きつづけることもできない。(ピエール・バイヤール)

僕の話には基本的にオチがない。「どうしていまその話題を選択し話しはじめたのか」。じぶんでもわからなくなってしまうことがある。それは森のなかで迷子になることと、感覚的に近い。それまで誰かにむけて発せられていた言葉は、途端に谺をしはじめる。幻界の森の中で、僕と言葉はひとり、ひとりひとり、迷子になる。

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