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セリフがきちんと聞こえるだけで、観る側にかかる負荷は、100倍くらい軽減される


老舗劇団の研修生になった大学時代の友人に誘われて、ひさしぶりに新劇を観ました。

新劇は1900年頃、芝居といえば歌舞伎と言われる時代だった頃に、歌舞伎を「旧劇」、新しい西洋スタイル(海外戯曲や洋服でやるお芝居)を「新劇」といったのが始まりです。

http://shibainomachi.com/2017/05/24/0251/ より


僕も大学時代に新劇の演出家さんにお世話になって、俳優として大切なことを数え切れないほど教えてもらいました。


お芝居を見て、稽古の過程を想うなどして、その日はとても楽しい観劇になりました。



今日、小さな劇場で行われているお芝居では俳優が発する声が聞こえないことがよくあります。「声が聞こえない」というのは、つまり声が小さすぎたり、滑舌がよくなかったりして、何を言っているのか認識することができないということ。

俳優の技術不足でそうなってしまうこともあるし、演出でわざとそのようにしていることもあります

会話のリアリティを追求するために、日常と同じ声のボリュームや滑舌で演技をしてしまうと、お客さんが耳を澄ませなければ何を言っているのかわからないお芝居になってしまいます。

そんなあたりまえのことを改めて考えるきっかけを与えてくださったのが、今回の観劇。セリフがきちんと聞こえるだけで、観客の負荷はここまで下がるものかと実感しました。

現代のほとんどの演劇は観る─観られるの関係で成り立っています。僕の個人的な考え方だと、観られるの側には観られる意識が必要だし、観る側に気を配るのが当然だと思います。だから、セリフは聞こえるべきだと思うんです。


作家が一文字、一文字を丁寧に紡いだ言葉を、演出家と俳優で工夫を凝らし、最後に俳優が身体と声を通して観客にライヴで伝えることができる。それが演劇の面白さです。そのことを1秒たりとも忘れたくないです。


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