応援します!能登半島を走る ②
金沢駅前のトヨタレンタカー。私がどう見ても運転が下手に見えるのか、何度断っても人を替えて追加の保険¥1500プラスを勧めて来る。
「ですから〜大丈夫なんです」
しつこい。
金沢を出て、能登半島をドキドキ北上。北海道で、かなり旅先の運転は鍛えられたようだ。曇り空が歯痒いが、これこそが北陸なのだと言う。雲の隙間から差し込む光、これが暮れゆく日本海だ。
★ 千里浜なぎさドライブウェイ
波打ち際の8kmにもおよぶ砂浜を、車もバイクも自由に走れる。ちょっと普通では考えられない。通常、砂がタイヤに絡まって動けなくなるのだが、ここの砂は、0.2mmと細かくて、水分を含んでギュッと砂浜が固くなるので、普通タイヤでも走行が可能になるそうだ。
青春映画でもあるまいし、四輪駆動車でもない限り「砂浜を走りたい!」なんて1度も考えた事はなかった。でも、あまりにオススメされているので
「ええ?そう?ふーん」
軽い気持ちで。そしたら!すごい。ふわっとした地面の感触が、何とも言えない。かつて味わった事のないドライブ感覚。何の規制もなく走行可能。好きなところで停めて、好きなように、好きなだけ、海を堪能出来るんです。
「こんなの初めて!うわー」
燃えるような夕陽はありませんでしたが、車も少なく、波の音と潮の香り、貝や石もなく、なめらかな砂の柔らかさを楽しめました。何もわからず連れて来られた夫が、1番テンション上がって海を眺めてましたね。
特に、海好きって訳でもないのに。
回りも1人で来て、車に寄りかかりながら海を見ている男性が結構いましたね。ロマンに酔える?あはは。
能登半島(金沢も)あるあるなんですかね、大して寒くないとこでも、どんな誰も来なそうなトイレも便座は必ず電源オン!必ず温かいんです。誰もがまず、お尻に北陸の愛を感じる。優しい土地柄なのだ。
★ 見附島
奥能登の素晴らしいこの景勝地が、私の旅の目当ての1つ。
能登半島を左右に横断する道、夕方に差しかかり結構距離があるし、初めての道で時間が読めない。宿に伝えてある夕飯の時間に間に合わないと悪いので、うたた寝から起きた助手席の夫に言う。
私 「(電話番号のメモを指差し)宿に電話してくれる?到着が遅れるって」
夫 「えっやだよう。ボク出来ないよ」
隣の白髪男がフツーに言う。
私 「なんで?💢」
夫 「○○ちゃんやってよ」
私 「あたし、運転してるでしょ?」
夫 「いーよ、夕飯くらい遅れても大丈夫だよ」
私 「(イラッ)番号押して」
スピーカーフォンで、私が運転しながら宿の人と話す。
宿 「大丈夫です。気をつけていらしてください。では、お待ちしてます。」
簡単も良いとこ。
いつもは小回り利かせて何でもやってくれるんですが、なぜだか急に、
この謎の「ボク何にも出来ない男」に…「?」わからん。もちろん全然可愛かない。はぁ〜
★ のとじ荘
見附島を間近に見る宿は、この1軒「のとじ荘」だけ。ゆっくり朝夕の景色を堪能出来るのは、ここに泊まるしかない。景色以外は特に贅沢は何もない宿。
同じ想いの人が集まるのでしょうかね。大きめの車椅子の老いた母を連れた息子家族に食堂で隣りあう。
「私、ごはんを3膳も食べました」
配膳係に嬉しそうに言う母を、息子(それほど若くはない)は何やら満足気に見つめていましたっけ。
とにかく景観だけ。豪華さは何もない宿でしたが、のんびりした温かな雰囲気で、能登米は美味、リーズナブルな宿泊代で大満足でした。
「星野リゾートはここ、喉から手が出るほど買収したいだろうなぁ」
なんて、つい。
星野リゾートになったら、高額料金の宿泊客以外は敷地には一切入れないしな。
ガンバレ、弱小 「のとじ荘」。
○ えんむすびーち / 正面
ホテルから出て100m先、公式の入口からの見附島は、恋人たちの誓いの鐘あり。夫が「せっかくだから」鳴らすと思いの外、大音量でグァングァン響きまくって、もうビックリ
「ヒーッ、やりすぎ」
★ 恋路海岸
見附島から車で15分ほど。夏は賑わいそうなこじんまりしたビーチ。ビックリしたことに、振り返るとすぐの狭い斜面に本物とは思えない駅が見えた。シーズンオフで閉まっていたが、海の家や民宿もある。夏はここ、石川県民で賑わうビーチになるのかなぁ?ちょっとそれも、見てみたいなぁ。
能登半島の道は 空港もあるからか、人が住んでいる気配があり、どこも整備されていて 運転しやすい。だけれど陶芸もあるから ?赤っぽい土が場所によって(風向きとかもある?)道路のセンターラインが砂で消えているので、暗くなって運転は怖いかも。
★ 白米の千枚田
海に向かって高低差のある大きな棚田。夜のライトアップは誰が選んだのか、静か過ぎる日本海の夜に ピンク色!(笑)
道の駅の裏に、長い階段で下まで降りられるが、先が見えないくらいの距離と海風もあって、観光バスの客が(時間がかかる?)途中で引き返していた。
◎ 道の駅 白米千枚田
小さい店なのだが、沢山の観光バスが出入りして賑わう。私の買物は直感的で素早い。
★ 輪島
★ 永井 豪記念館
漫画少年だった夫のために立ち寄った。私も「児島みゆきは、なんて色っぽいお姉さん」見てはいけないテレビの記憶はある。
輪島のメイン通りにあり、朝市の客もふらりと入るという。ここ輪島が生んだ日本を代表する漫画家 永井豪の記念館だ。代表作はマジンガーZ、ハレンチ学園、キューティハニー。
小さい頃から漫画が大好きだった三男坊の永井豪(77才)は、のんびりした能登半島から東京に出て、憧れの石ノ森章太郎のアシスタントになるが、すぐに連載デビューのチャンスに恵まれる。みずみずしい才能と若さ、なんと22才で早くも独立。翌年にギャグ漫画「ハレンチ学園」は、そのエロが世間で物議を起こすが、テレビ化、映画化の大ヒット☆25才で都内に自社ビルを持つという超スピード出世の人生だった。
連載を抱える売れっ子漫画家とは、朝から晩まで寝る暇もないほどの多忙で余裕がない。25年と言っていたか?故郷の輪島に帰省する事が1度もなかったという。昔は交通網も整備されてなく、時間がかかったというのもあるだろう。
この記念館のオープンで、まさに凱旋帰郷、ご実家の皆さんも同級生達も喜んだろうし、地元へ恩返し出来たに違いない。漫画界を休む事なく突っ走っていた本人も(下の写真)この一区切り、やっぱり嬉しそうですね。
朝市の終わった輪島は、少し寂しい。工芸の街、清潔感のある瀟酒なギャラリーが並ぶ。広い道に、港からの潮風が吹く。
空腹のタイミングが合わなくて、能登牡蠣や輪島フグも、あらあら 食べぬまま。やだ残念。
名残り惜しいですが、旅の目的の柱の1つ「金沢21世紀美術館」の夜間開館が まだ残っているので、早めに金沢に戻ります。
島も良いけど、半島って言うのも多彩な持ち味が見えて来る。海の景色も哀愁がある。昔は近県に住む人達の新婚旅行先だったのかもしれませんね。