【デザイン思考とアート思考】ビジネスにイノベーションを生み出す2つの思考法
こんにちは、ルートです。
皆さんは「デザイン思考」と聞くとどういうイメージ思い浮かべるでしょうか?
恐らくは、色や形を整えたりセンスが問われるとか芸術的なイメージがあるのではないでしょうか。
クリエイティブな業界では馴染みの薄い言葉ですが、ビジネスシーンにおいては変革や創造をもたらすもの思考法として注目されています。
今回は「デザイン思考」とは何なのか、というそもそもの部分を踏まえつつ、アートとの違い、ビジネスにどう活かしていくのかを5つのステップに分けてご紹介したいと思います。
1.デザイン思考って何?
デザインというクリエイティブな業界に身を置く人たち以外でも、当たり前のように使われている言葉。その本質は、意外と知られていません。
wikipediaで「デザイン」と調べると
デザインの語源はデッサン(dessin)と同じく、“計画を記号に表す”という意味のラテン語(designare)である。
つまりデザインとは、ある問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現することと解される。
と、出てきます。
デザインとは、美しいアート作品を作ることでもなければ、独創的な芸術作品を生み出すことでもありません。
デザイン思考とは、ある問題を解決する為にその問題を深く追求し、本当の価値を見つけ出し、その価値を伝えるにはどうすればいいのかを思考することです。
誰もが知っている「無印良品」は、「デザイン思考」を重視した商品開発を行っており、その思考法を用いて生まれたのが「体にフィットするソファ(またの名を人をダメにするソファ)」。
消費者のライフスタイルを調べ上げ、普段の生活で困っているコトは何かを徹底的に観察。
「ビーズクッションはいつもビーズがヘタってしまうので、ヘタらないビーズにしてほしい」「ひとり暮らしなのであまり場所を取らずにゆっくりしたい」といった声に耳を傾け続け、ユーザーの声を商品に反映。
その後、課題解決に向けて何度も試作を繰り返し、完成したそうです。
このように、デザイン思考は、美術的な要素はほぼ必要なく業界業種を問わず誰もが身に付けることができます。
日本企業においても、デザインが企業に与える重要性については徐々に認知されてきていますが、昔ながらの中小企業などではイマイチ浸透しておらず、「デザイン=センスが問われる美術的な要素」というような、認識のズレが未だ生じている現状です。
2.アート思考とは何が違うの?
「デザイン」と異なり、「アート」は自身の考えや想い、主張を自由に表現し創造することを意味します。
アートの目的は「自己表現」にあります。世の中の問題に対して創作という形を通して自身の考えを主張し、世間に投げかけるのがアートです。
ストリートアーティストとして有名な「バンクシー」が描く作品も、社会問題への提起です。
アーティストの主張に対して、他者が理解や共感をしようがしまいが関係なく、自分のやりたいように表現するのがアートの本質で、他の人に何と言われようと関係ありません。
アート思考とは、アーティストが作品を生み出す過程における考え方を基にした思考プロセスです。
クライアントの課題解決が着地点の「デザイン思考」とは異なり、「アート思考」は自分が軸となった思考法。アーティストのように目の前の問題や課題に対して、自分なりの発想を膨らまし答えを出すのがアート思考の本質です。
3.ビジネスにはどう役立てられているのか
一般企業・アート・デザイン。
これらは全く異なる存在であるように思えますが、2つの思考法は業種に限らず役立てていくことが可能です。
【デザイン思考がビジネスにもたらす効果】
実際にデザイン思考は、以下のプロセスを経て行われていきます
①共感(ユーザーのニーズの発見)
まずは商品やサービスを利用する人の欲求、共感を知り、ユーザーを深く理解します。ターゲットが普段どのように行動しているのか、そして、日々の暮らしの上で求めているモノは何なのかをインタビューなどを通して探る。
②問題定義
ユーザーインタビューなどを行い、「ターゲットが不満に思っていること」や「なぜ不満に思っているか」を明確にする。
導き出された問題に対して、考察、再定義を繰り返す。
③創造(アイデア出し)
2で導き出された問題を解決するための方向性を定める。
ユーザーの不満解決に繋がるアイデアを、ブレインストーミング等を用いてとにかくアイデアを出してみる。この段階では質より量を優先。
部署に関係なくさまざまな立場の人からアイデア集め、話し合う。
そこから、お互いにアイデアをシェアし、他人のアイデアを混ぜたり、練り直したりして、さらに発展させる。
④プロトタイプ
固まったアイデアを、実現可能かどうかを判断するためにプロトタイプ(試作品)を作成する。この段階では、どういった部分が優れていて、何が実現不可能にあるのかを判断することにある。
⑤テスト
プロトタイプをユーザーに使っていただき、フィードバックをもらう。
この段階で判断すべきことは、今回の商品でユーザーのニーズ、不満が解消できているのかを判断する。
どのセクションでも共通して言えるのは、常にお客様目線を大事するということ。日常生活で何に困っていて何が不便なのか、徹底的に探ることが重要です。
先ほど、無印良品のソファを例として挙げましたが、今度はこのソファを各プロセスに当てはめて考えてみます。
■無印良品 : 体にフィットするソファ■
通称「人をダメにするソファ。」
老若男女問わず、あまりの座り心地の良さから、そう名付けられたソファ。
低価格ながら、品質の良いビーズソファで、場所を選ばずくつろげるソファとして人気を博しました。
出典 : https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/detail/4550344500569
①共感(日々の暮らしで求めているモノはなにか)
「くつろげるソファが欲しいけど、一人暮らしだしスペースが限られているので、あまり場所を取らずにゆったりできる物がほしい」
「ビーズがヘタらないクッションがほしい」
「カバーを外して洗えるソファがほしい」
「体にフィットして長時間座っても疲れない」など
②問題定義
大人も子供もゆったりとくつろげ、場所も取らないソファを作るには?
③創造(アイデア出し)
【ビーズがヘタらないクッションがほしい】
→従来の商品にはない非常に細かいビーズを使用する。
非常に微細なビーズを使用することで、潰れにくく、体にフィットすることで長時間座ってもヘタれにくく疲れないような何とも言えない座り心地を表現。
【カバーを外して洗えるソファがほしい】
→外カバーはバッグ等に使用される、伸縮せず洗える生地を使用。
【場所を取らずにゆったりとくつろぎたい】
→内側のカバーは水着等に使用されている伸縮性に優れた生地を採用。普通のソファのようにひじ掛けが無くても体にフィットする絶妙な感触を生み出す。
④プロトタイプ
サンプルを作る段階で極小ビーズのコスト、カバーの材質、大きさなどの問題が発生。ビーズの量を減らしてみたり、カバーの材質を変えてみたり、試作を繰り返しさらに研ぎ澄ましていく。
⑤テスト
実際に完成したプロトタイプをお客様に使っていただく。
当初想定していた時より深く沈み込み、全身を包み込むような座り心地であることが偶然判明。このままこの座り心地を維持したまま商品化に。
4.まとめ
今回はデザイン思考について、実例を交えてご紹介させていただきました。
デザイン思考が芸術的な事ではなく、ロジカルな思考法であることがお分かりいただけたかと思います。
今や誰もが知っているAppleが、1兆ドル企業に成長を遂げたのも、スティーブ・ジョブズが「デザイン」に対して深い造詣があったからです。
デザイン思考は問題解決のための1つの手段でしかありません。
しかし、業種や職種に限らず様々な事業に変革をもたらす可能性を秘めているのです。
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