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人生諦めたやつの末路

諦めた。優秀なビジネスパーソンも、周りから愛される人気者も、いつでも前を向いているポジティブモンスターも、銀座のホステスを両手に抱えることも。


もう自分に無いものを探すことはやめた。そもそも無いものを見つけるなんて不可能だ。だって無いんだもん。

今あるものだけが自分の武器だ。それがたとえ、竹槍だろうと水鉄砲だろうと。

国際戦争ではクソの役にも立たないが、竹槍なら防犯グッズになるし、水鉄砲なら水着ギャルとキャピキャピできるかもしれない。


大切なことは自分のステージで戦うことだ。強豪校でベンチでなら、弱小校でエースでいい。

この考えにたどり着くまでにどえらい遠回りをした。何度も挫折を経験した。

ストレスで眠れなくなることもあった。目覚めたら足の感覚がないことも、腰が抜けたような日々が続いたこともあった。


思い返せば、将来について真剣に悩みはじめたのは3年くらい前になるだろうか。別にそれまで何も悩まずに生きてきたわけではない。

18歳から社会に出て7、8年も経てばキャリアについて考え始めるのは当然のことである。

今の仕事が嫌なわけではない。でも、現状に満足できない自分がいることにも気づいている。それが何のなのかはわからない。モヤモヤした気持ちが先行して雪だるまのように拡大していく。

そんなときに一冊の本に出会った。それから僕の運命はすこしずつ変わっていく。それは自己啓発系のゴリゴリのマインド本ではなく、ただの資産運用に関する本だ。


僕が衝撃を受けたことは書いてある内容ではない。知らないことを知るという学ぶことの楽しさだ。自分の世界が一つ広がった感覚がたまらなかったのだ。

この感覚を再び味わいたいと思って読書に没頭するようになる。

手当たり次第に気になった本を読み漁る。書店を徘徊したり、ネットでおすすめ本を検索したりした。

その中で成功者はみんな読書をしているという記事を目にした。頭のてっぺんに雷が落ちた感覚だった。衝撃だった。

これだ。本を読むしかない。
ここから僕は読書という沼にはまっていくことになる。

最も影響を受けた本が「7つの習慣」だ。どの言葉も一語一句が胸に刺さっていく。そのまま刺さっていればいいのだが、気が付けば溶けるようになくなっていく。自己啓発とはそういうものだ。それでも心に熱いものが残った。

なにかしたい。人生を変えたい。

このときの僕は、なんちゃって意識高い系ビジネスマン風を気取っていた。
最初に始めたことはプログラミングだ。ITの分野で勝負しなければ明るい未来はない。冗談のように思われるが本気で思っていたことにビックリだ。呆れて言葉も出ない。

案の定、たったの1か月で挫折。わかったことを箇条書きで述べよと言われれば、「プログラミングは難しい」の一言だ。

ただこの挫折で終わるほど、心は萎えていない。次に取り掛かったことはブログだ。本に書いてある内容をまとめて、ブログで発信しようという魂胆だ。樺沢紫苑の「アウトプット大全」を読んでまたもや刺さってしまった。

結果は見えていた。ワードプレスを立ち上げ、完璧な準備の末、一文字も書かずして挫折。今どこにそのサイトがあるのかさえ不明である。

ここまでくるとあきれてかける言葉もないが、どうせならどこまで突っ走るのかみてみたいものだ。

挫折とも言えない挫折の連続で途方に暮れていた時、Twitterを通して同い年で月収50万というアカウントをみつけた。今ならそんなアカウントは山のように存在するが、当時はかなり珍しい存在だった。

僕は夢中でラインに登録し連絡してみた。そしたらすぐに相談に乗ってくれるというではないか。何も知らない僕は早速テレビ電話で連絡してみた。声のキレイな女の人だった。数パーセントだが下心もあった。

話を聞いてすぐに高額なコンサルを受けることにした。これで人生変えられる。そう思った僕は寝る暇も惜しんでビジネスに没頭した。わずか2か月で収益化。でも嬉しい気持ちより何か違うという心のモヤモヤを感じた。

そもそも気づいたことは僕は努力ができない人間だということ。ここにきて初めて我に返った感覚があった。

僕にはきっと人生を変えることは無理なのかもしれない。ここで熱かったマインドが細々と消えていく。

それでもわずかな炎で、資格を取ったり英語の勉強をしたり再びTwitterを始めてkindle本を書いた。どれも手ごたえのあるものはない。

ここでついにあきらめた。そして気づいたのだ。自分がなんちゃって意識高い系ビジネスパーソンではなく、ぐったり体たらくポンコツリーマンだったことに。

でも、不思議とショックはなかった。ポンコツであることを自覚し、自分には無限の可能性があるという幻想から抜け出したら一気に目の前の景色が広がったような気がした。

これまでの道のりは決して無駄ではなかった。ポンコツにはポンコツなりの戦い方があるのではないか、そう思うと恥が自分の武器だとわかった。

だから、今こうして、自分の恥を赤裸々に書いている。恥をさらすことが人生をネタにし、より面白い方向に導いてくれる。そんな気がしてならない。

もしかしたら、今この瞬間も、なんちゃってビジネスパーソンになっているのではないかと思う。もしかしたらこの記事も日の目を浴びることなく深い眠りにつくのかもしれない。

もはやそれはそれで面白い。恥をさらして生きていくと決めたのだから。広げていくんだ自分の世界を。飛び出すんだ社会の窓から。そして、社会の窓を開けたままこの記事を書いていることに気づく。以上。終わり。




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