見出し画像

負けフラグか勝利のフラグか?!〜米エンロンから学ぶ企業倫理〜

#企業のnote

Tichy and McGill (2003)は、良いビジネスリーダーを育てるためには、『勝つということの意味について、私たち自身の考えを変えることから始める』(p.3-4)ことを述べている。どんな形でも勝てば良いのではありません。あるいは、本当の意味での勝ちとは何なのかを問うことから始まります。

ですから、綺麗な勝ち方、相応しい勝ち方、正々堂々とした勝ち方かどうか重要です。さらに、ズルい汚い勝ち方であるなら、それが表面化した際には、フォロワーや組織だけではなく、社会的な信頼を失うことになります。

まさに、アメリカのエンロンが悪い勝ち方、無理矢理な勝ち方、強引な信頼を失う勝ち方をした例です。リーダーのモラルの欠如は、組織やフォロワーの範囲を超えて社会にまで及ぼすのです。

ですから、Tichy and McGill(2003)は、「米国が健全な民主主義社会と自由市場経済を維持するためには、最高の倫理基準に明確な根拠を持つ組織を構築し、国民の信頼を回復するリーダーが必要です」( p.24)と述べています。

アメリカ国民に対して、企業は信頼を失ったのです。だからこそ、企業が国民に信頼を取り戻すところから始まるのです。

日本の言葉に、「勝って不思議な勝ちあり。負けて不思議な負けなし」という言葉があります。これは、心形刀流・松浦静山の『常静子剣談』にあるこの一文で、ビジネスだけではなく、プロスポーツの選手たちの反省にもよく用いられる教えです。

また、相撲の横綱は、横綱に相応しい相撲を求められる。さらに、横綱としての品格や相撲に取り組む姿勢も重要なのです。


勝つのは、たまたま結果として勝つことがある。なぜか、理由はよくわからないけど勝ってしまうことがある。しかし、こうしたラッキー勝ちや、あるいは、無理矢理に勝ったとしても、決して有能なリーダーとは言えない。

また、倫理観を持たずに、ただ「勝つ」という結果しか見ていないとすれば、後で大きなしっぺ返しを喰らうことになります。それこそが、負けに不思議な負けはなしなのです。倫理的な間違った勝利を選ぶなら、そこで負けのフラグが立てているのです。

なぜなら、当然の結果として、リーダーは自分で将来において負けるための種を撒いて、負けるべくして負けるように自らの手で仕向けているのです。

ですから、汚いやり方や倫理的に間違ったやり方をしても勝つこともあるのです。しかし、後で大きなしっぺ返しを喰らうことになります。当然の結果として、蒔いた種を刈り取ることになるからです。

ですから、倫理観を持ってリーダーは、勝つための種を蒔く必要があるのです。それは、現在においては、損をするように見えるかも知れません。

しかし、いつも倫理的に正しく、正々堂々と恥じることのない種を蒔くことができるなら、今は結果が出ていなくとも、後の日には勝ちを刈り取ることができます。

さらに、その勝ちは、一度だけではなく、長く続けることができる勝ちを得ることができます。そのために、倫理的な種をリーダーが撒き続けることが重要です。また、倫理的に正しいリーダーをフォロワーは尊敬するでしょう。

ですから、リーダーが、勝利すること以上に、正直であること、倫理的に正しい選択をすることは、将来に向かって勝利のフラグを立てているのです。


Reference

McGill, A. R., & Tichy, N. M. (2003). The Ethical Challenge. Jossey-Bass.


この記事が参加している募集

企業のnote

with note pro

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?