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産院に受入拒否されたお話

妊娠が分かってすぐ産院探しを始めた。妊娠判定を受けたところは婦人科クリニックであり、産科は併設されていないため、分娩先を探す必要があった。

私は無痛分娩希望だったので、無痛分娩可能で自宅から公共交通機関で30分圏内を目処に幾つかの病院をピックアップ。

意気揚々として第一希望の病院に診察予約を申し込む。障がい上、電話が難しいため、電話リレーサービスを利用。

しかし返ってきた言葉は「ここでは聴覚障がいをお持ちの方の受入はできません」だった。一瞬、頭が真っ白になった。

聴覚障がい者の入店お断りやマンション入居受入拒否というような類いのニュースを見たことはあるが、自分もその場面に遭遇するとは。

理由を問いただすと、以下2点より受入できないとのこと。
①万が一のことがあったとき、すぐ電話で連絡が取れない
 →電話リレーサービスがあると引き下がるも、直接本人と連絡が取れないのは致命的。何かあった時に責任が持てない。
②マスクを装着したまま、コミュニケーションを取ることが出来ない
 →コロナ禍のため、マスクを外すことは出来ない。マスクをつけたままコミュニケーションが取れないのは懸念が残る。透明マスク、フェイスシールドNG。

①②とも代替手段を提示した上で院長も交えて再考頂くよう交渉したが、取り付く島もない。紆余曲折を経て、第二希望(とはいえ、そこまで意向が高いわけではない)の産院に申し込んだところ、快諾してくれたので、そこに決定。

今となっては過ぎた話ではあるが、妊娠初期で情緒不安定な時期に受入拒否されることが、母体にどんな影響を与えるか。中には激しくショックを受ける人もいるだろう。その影響で流産してしまったら?と考えずにはいられない。

また、知人の弁護士に相談したところ、今回のケースは「差別解消法違反」の可能性が非常に大きいとのこと。もし、他に選択肢がなかった場合は訴えていたかもしれない。選択肢があったとしても、病院を選ぶ権利はこっちにある。

先輩の難聴ママに産院受入拒否の話をしたところ、「実は私も・・」という声があった。私だけではなく、他にも受入拒否に遭っている人がいたとは。このような事例は数としては少なく、百歩譲って当事者側が病院を変えることで終結しているため、なかなか顕在化されない。かといって、妊娠で身体を大事にしなければならない時期に訴訟など母体に負担をかけてまでしたいかと考えると、そこまで出来ない自分がいる。結局当事者側が泣き寝入りするようなものである。

近い将来、このような不当な扱いを受けることが無くなりますように。



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