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文系&アパレル総合職出身の私がPomaloのデータアナリストになった理由

「ログデータやPOSデータを分析することに限界を感じたからです」(即答)

これは、私がデータアナリストとしてのPomaloへ入社した理由の一つです。本記事では、アパレル業界での経験からPomaloでのデータ分析まで、私のキャリアを通じてデータとどのように向き合ってきたかをお伝えします。

皆さんは「データ」と聞いて何を思い浮かべますか?単なる数字の羅列?それとも意思決定の鍵となる情報でしょうか?

この記事を通じて、以下のことを知っていただきたいと思います。

1.アナログな時代からデジタル時代へのデータ活用の変遷
2.数値データだけでなく、定性的なデータの重要性
3.Pomaloが取り組む「デジタルで情熱は伝わるか」への挑戦

特に、データアナリストを目指す方や、ビジネスでデータを活用したい方に、私の経験から得た洞察をお伝えできればと思います。

デジタル化が進む現代において、データは単なる数字ではありません。それは顧客の声であり、ビジネスの鼓動です。では、そのデータとどのように向き合い、どう活用していけばよいのでしょうか?

私の経験を通じて、その答えの一端を探っていきましょう。


データとは

そもそもデータとは一体何なのか、ChatGPT曰く以下のような答えです。

言っていることはわかるが、よくわからないですよね?

ここでの定義はやや専門的で分かりづらいかもしれません。そこでデータという言葉の起源をたどります。

データ(data) : データム(datum)の複数形で、「論拠・基礎資料、実験や観察などによって得られた事実や科学的数値」などを意味する。「与える」意のラテン語ダーレ(dare)の受身形からでたもの。

『大日本百科事典』(小学館)

もともとは「客観的で再現性のある事実や数値」のことを示しており、ラテン語のdare自体が「与える」という意味であることから、「事実や知恵を与える・共有する」という意図も含んでいると考えられています。

データとはそれ単体で存在することに価値はなく、データを基に何らかの役に立つ情報・行動を促す示唆が得られて初めてデータの意味を持つのです。

ここからは私のキャリアを通じてデータと向き合うきっかけとなったプロジェクトや本格的に統計を学んだ経緯を紹介します。

私の業務遍歴とデータとの向き合い方

まずは簡単に私が経験した業務の中から抜粋してお伝えしたいと思います。
ここでは大きく分けて以下の3つに分けて、それぞれの場面ごとに紹介していきます。

1:アパレル企業の営業部門
2:アパレル企業のデジタルマーケティング/EC部門
3:Pomaloでのコンテンツ分析

アパレル企業の営業部門でのデータ分析

私が新卒で入社した当時(2009年)はiPhone 3GSが発売された年で、世の中はまだまだアナログで顧客管理も紙で行われていた時代です。

入社後には店舗研修があり、新入社員は店舗業務やお客様とのコミュニケーションの方法を学ぶのですが、顧客管理の様子は今と全く異なります。

アプリがない、会員プログラムもない時代のため、顧客管理はすべてアナログ!

新規の顧客には顧客カードと言われる少し厚い紙に個人情報を記載してもらい、お店の裏で名前の順でファイリングをする。

当然レジのデータと会員の情報は接続されず、顧客情報カードの裏にその日に買っていかれた商品の品番や接客時に会話した趣味や今後の予定などの情報を手書きし、1週間以内にお礼の手紙を書く、店長や営業はファイリングされた顧客カードをめくりながら次のイベントにどの顧客を招待するか決める、という具合です。

そんなアナログな時代でも顧客購買の傾向や店舗ごとの健康診断のためにRFM分析が行われていました。

RFM分析とは「Recency(最近性)」、「Frequency(頻度)」、「Monetary(金銭的価値)」の3つの指標を基に顧客を評価します。

  1. Recency (最近性): 顧客が最後に購入した日からの経過時間です。この値が小さいほど、顧客が最近購入したことを示し、その顧客が現在もアクティブである可能性が高いと考えられます。

  2. Frequency (頻度): 一定期間内に顧客が行った購入の回数です。回数が多いほど、その顧客が忠実であるとみなされます。

  3. Monetary (金銭的価値): 顧客が一定期間内にどれだけの金額を消費したかを示します。高い金額を消費している顧客は、より価値が高いとされます。

これらの軸で顧客をそれぞれのセグメントに分類し、各セグメントに対してのコミュニケーション戦略を変えるという活用がされ、総合通販事業者で広く利用されている分析手法です。

当時は店舗勤務が多かったので、エクセルを開くとすぐに固まる貸与PCで暗くて狭い店舗のバックヤードに座り込み段ボールを机にしてポチポチと関数を作っていました。

そんな思いをしてでも、この分析を行うことでのメリットはいくつかあります。

1つ目:店舗ごとの目標設定や商品配分の判断材料として利用できる
2つ目:各セグメントの具体顧客を提示することでスタッフが解釈しやすい

1つ目は各営業が作成したRFM分析の結果を本部集約することで、店舗の業態やリッチ・展開商品によって傾向が変わるということを理解したうえで店舗の目標設定に活用できます。また、商品を消化させるための配分時にもRFM分析の結果が反映されて商品展開がされていました。

2つ目はRFM分析を店舗ごとに実施するので、店舗スタッフがイメージしやすい・納得感があるということにあります。店舗のスタッフは常日頃から顧客の顔で名前を思い出し、購買情報を手書きしているわけですから、分析のロジックはわからなくても各セグメントの代表的な顧客名を挙げるだけで、スタッフにはどういう傾向のお客様なのか1発で浸透し、仮説がパッと浮かび上がります。

特に2つ目のメリットとして触れたスタッフが解釈しやすいという点はPomaloのデータチームとしても大切にしている部分でもあり、データがデジタル化されオートメーション化されることで薄れてしまいがちな部分に感じます。(もちろん上手にシステムやデータを活用している企業は沢山あります!)

アパレル企業のデジタルマーケティング/EC部門でのデータ分析

アパレルとしてのEコマースは2000年前後からニッセンやユニクロなどの企業がいち早くEコマースサイトを公開しておりましたが、セレクトショップ・百貨店や商業施設にあるブランドがEコマースを行うまでにはもう少し時間がかかります。

特に海外のブランドや歴史のある国産ブランドは旗艦店が最も尊重され、ステータスのある媒体やメディアに広告を出向することがブランディングを維持する、という世界観を持っていたためウェブサイト上でブランドの服が物販サイト的に表現されることを嫌いました。

そのようなブランドアパレル事業者にとってのEコマース食わず嫌いを解消したのが2005年に登場するZOZOTOWNです。

当時の通販サイトにはないサイトデザイン(読み込み時のギターを引いてるgifはこの頃からあります)や選ばれたブランドが好感を生み、セレクトショップや国産ブランドが相次いで出店しました。

一度食わず嫌いを克服してしまうと、アパレル企業も自分たちでEコマースをやってみようという業界的ブームも起こり大手セレクトショップ・大手アパレルがこぞって自社のECサイトを立ち上げます。この流れを受けて2010年の前後、iPhoneの普及やマーケティングがデジタル化される波の中でマーケティングオートメーションやWEB接客ツール・CDPというようなデジタルマーケティングを支援するサービスが沢山生まれました。

私がEコマースに携わったのは2015年から2022年とアパレル企業でもEコマースがある程度標準化された時期(とはいえ色々ありますが)で、強化チャネルとしてIRなどで発表されるようになった時代でした。

先程の「アパレル企業の営業部門でのデータ分析」で紹介した店舗で地道に手書きしていた頃に比べるとGoogleAnayticsでリアルタイムに結果が見れるし、メールの結果は配信後にすぐデータ化される、ECでの購買データは顧客IDが紐づいているのでRFM分析などはすぐに作れてしまう。情報はあふれるほど沢山あるので営業時代に比べれば「ここは天国だ・・・」と思ったのを覚えています。

Eコマースの担当としては商品手配から商品出荷・顧客対応まで求められるので非常に多岐にわたる業務をこなさなければならないのですが、顧客のリアクションが即時的に把握できるという点が非常に面白く、データを大きくすることに夢中になっていました。

私はこの頃から独学で統計学や機械学習、RやPythonといった領域を学んでいきました。仕事を終えてから会社の共用スペースで参考書を読んだりオンライン学習で知識と手法を増やしていきました。

多くのデータが自動的に構造化され、集計・可視化されるという観点は顧客ファイルをめくるだけでは得られないほどの情報を得ることができます。

何十万行という購買データがあるので、初回購買するユーザーの特徴をみつける、RFM的な分析フレームに顧客をプロットしそれぞれのセグメントでの限界獲得CPA(顧客獲得単価)を算出し、PL上で赤字にならないように販促予算計画に落とし込む、過去と同条件で開催されるイベントの訪問数や売上の予測を行うなど、データの活用は高頻度化し高度化されました。

しかし、ここで問題となるのは担当者が頑張って量的なデータをこねくり回しても上司や他部門の担当者には一向に納得感が伝わらないという点です。

正しい手法で王道のフレームを使って分析を行っても、それを普段から見ていない他部門や経営からすると見慣れない数字で報告されても、それを解釈する土壌がないから報告内容に納得感を持てないという現象です。

特に店舗を大切にする企業ほど、顧客の声を近くで日頃から聞く文化が強く、レポートは"生"っぽくなければ受け入れられにくい傾向があります。

もちろん、デジマチーム内では分析結果を健康診断や課題を発見することに役に立ちますが、それでも課題を深ぼっていくと「なぜ」が残ります。

なぜこの商品カテゴリが売れるのか、なぜ特定ユーザー層の離反が多いのか、なぜこのブランドは売上が下がっているのか・・・

例えば、月間で100万人がサイトを閲覧するとして、それぞれの顧客行動や購買を後押しした要因などは把握できるはずもなく、顧客のライフスタイルどころか名前も顔もわからない状態です。新しく公開したページの結果をどのように解釈すればよいのか、という問いが残ります。

以下はコンテンツページの振り返り時に往々にして起こることの一例です。おそらく誰しもが一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

このような状態で陥りがちなことは、必ず答えがあるはず!ともっと深くデータを見始めることです。なぜ?に対する仮説も持てない状態で探索的にデータを分析すると意味のない表を作ったり、傾向がわからないというレポートを作ったり、(最悪の場合は)分析者の主観で結果を切り取るということに繋がります。

このように大量のデータを扱い、顧客のなぜ?を知りたい場合は定性的なアンケートが有効です。

定量的なデータだけではなく、定性的なデータを取りに行くというアクションをすることで数値への解釈はグッと容易になります

なんらかの分析がなされある程度課題が浮かんでいる状態では、有り難いことにユーザーIDが分析データに紐づいていることが多いはずです。自社のメール配信ツールを活用してアンケートを配信することは容易にできます。
データ分析をしても施策に繋げられないという方は顧客に直接聞くということをぜひ試してみてください。

アンケートの作り方がわからないという方に向けてnoteを書いているので、よかったらこちらも参考にしてください。

Pomaloでのコンテンツ分析

最後にPomaloで行われるコンテンツ分析について紹介します。

ここまでのお話では「顔の見える顧客と商売をしている店舗」と「顔の見えない顧客と商売をしているEコマース」というそれぞれの立場からデータへの解釈について触れてきました。

ここからはコンテンツについてのデータ分析について私達が行っているアプローチを紹介したいのですが、その前に、私がPomaloに興味を持ったきっかけを紹介します。

それはPomaloのミッションでもあり、noteのヘッダーにもなっている…

「デジタルで情熱は伝わるかに挑み続ける」

です!

突然何を言っているんだという感じですが、データアナリストを志望する私はこの言葉を「心を動かすドライバーをデータの力で解く」ことが自分のミッションであると捉えました。

ビジネスに近い現場では質的な柔らかい部分をあまり顧みない・大切にされないというケースを見てきた私にとって、右脳的クリエイティブと左脳的ロジックとが持ちつ持たれるの関係を保っているPomaloは非常に興味深く、入社を後押しするきっかけでした。

それではいよいよ、Pomaloらしいデータ分析の例を紹介をさせていただきます。

昨年の10月にリリースしたEarlyinsghtsを紹介します。EarlyinsghtsはECサイトの販促ページや特集ページをターゲット顧客に調査し、最短3日間で売れるポイントがわかるというサービスです。

このサービスではknows社のパネルモニターにコンテンツページを読んでもらい、読んだあとの印象や目的と併せて購入意向との関係を調べることができます。

パネルモニターを利用するので、コンテンツ公開前にjpegやpng等で調査をしたり、本番URLを利用して公開後の振り返りとしても活用されています。

このEarlyinsghtsは定量的なアプローチだけでは解くことができない、読者の印象と購買意欲との関連をコンテンツ企画の意図に沿って解く試みをしています。

パネルモニターはコンテンツページを読んだあとに、印象に残った要素やコンテンツの目的だと感じた要素を以下の企画カテゴリに沿って回答してもらいます。

Pomaloのナレッジからカテゴリを選抜

その後に、コンテンツを閲覧後に購買したい商品があったかという設問に回答いただき、アンケート結果を相関係数を用いて明らかにします。

なんか難しいことを言い始めたと思い始めている頃だと思うので、サンプルを作成して実際にモニター調査した結果を交えながら何がわかるのかを紹介します。

Earlyinsghtsで分析することで、ユーザーの何%がコンテンツの読後に購買意欲が湧いたのか、何が印象に残ったのかといったシンプルな結果に加えて…

モニター回答者の57%がコンテンツページを読んだあとに欲しい商品が合ったと回答
回答者の印象残ったのは「インパクト/イメージ」、「素材や機能」

以下のような、購買意欲が上がるにはどの印象や目的が貢献したのかをグラフで可視化します。

真ん中の0を起点に右にグラフが伸びると、購入意欲と関係ありと読むことができます。
このサンプル調査に利用したコンテンツでは「HOW TO/着こなし」の要素を強く印象に残すことが購入意欲と最も相関がある、という結果です。

以上のようなことを継続して行うことで、一例ですが以下のように考察することができます。

■全体の購入意欲
・57%と過去平均よりも高い結果
■コンテンツ企画意図が伝わったのか
・読後感はコーディネート・HOW/TO着こなしとなっており、コンテンツ制作意図と近しい結果になった
■コンテンツ要素と購入意欲との関係
・紹介アイテムの具体的な活用に購買意欲との相関が高い結果だった。ブランドの魅力やテイストを理解した状態で読み進めることで自身の活用を想起させることができるかが重要な要素であると言える

このように定量的な結果だけではなく、モニターからの定性的な読後感を分析することで数値への解釈がされ、次の企画への示唆が生まれます。

Earlyinsghtsについては詳細を説明しようとすると難しい漢字ばかりが並ぶnoteになってしまいますので、もう少し詳しく知りたいという方がいらっしゃいましたら下記ページも併せて御覧ください。

まとめ

長い記事をここまでご覧いただき、ありがとうございます。この記事を通して、私のデータアナリストとしての旅路をお伝えしてきました。ここで、主要なポイントを振り返ってみましょう:

  1. データの本質: データとは単なる数字の集まりではなく、「事実や知恵を与える・共有する」という意味を持つものです。ビジネスにおいて、データは適切に解釈され、行動に結びつくことで初めて価値を持ちます。

  2. アナログからデジタルへ: アパレル業界での経験を通じて、顧客データの扱い方が劇的に変化していく様子を目の当たりにしました。手書きの顧客カードから高度なデジタル分析まで、データ活用の進化を体験しました。

  3. 定量データと定性データの融合: 数値データだけでは顧客の「なぜ?」を完全に理解することは難しいです。定性的なアプローチ、例えばアンケート調査などを組み合わせることで、より深い洞察を得ることができます。

  4. Pomaloの挑戦: 「デジタルで情熱は伝わるかに挑み続ける」というPomaloのミッションは、Earlyinsightsのような新しいアプローチを通じて、コンテンツの効果を定量的かつ定性的に分析する試みを続けています。

  5. データアナリストとしての役割: 単に数字を追うだけでなく、その背後にある人間の思いや行動を理解し、ビジネスの意思決定に貢献することが、データアナリストの役割だと考えています。

これらの経験から、私が学んだ最も重要なことは、「データが活用されるためには、相手にそれをどう伝えるか」ということです。数字の向こう側にいる人々の思いや行動を理解し、それをビジネスの成功に結びつけること。難しいからこそ面白い、それこそがデータアナリストの醍醐味だと信じています。

皆さんも、日々の仕事や生活の中で接するデータに、新たな視点で向き合ってみてはいかがでしょうか?そこには、思わぬ発見や洞察が待っているかもしれません。

最後に、この記事を読んで、データや分析に関して新たな興味や疑問が湧いた方、ぜひコメント欄でお聞かせください。また、Pomaloの取り組みにご興味を持たれた方は、ぜひ公式サイトもチェックしてみてください。

データの世界は日々進化しています。これからも、「デジタルで情熱は伝わるか」という問いに対する答えを、一緒に探っていけたら嬉しいです。

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