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【編集者が編集者にインタビューVol.2】編集者ラジオ/西尾さやか

お疲れさまです。『ポママガ』編集部の足立です。私の所属するポマーロ株式会社が、“編集者向け”に勝手に月イチ配信している『ポマーロメールマガジン(ポママガ)』。このメルマガ内で、レギュラー企画として続けている、編集者という枠組みや既存の形に囚われず、チャレンジングに仕事をしている全国の編集者さんを紹介するインタビュー企画の第2弾です。

今回は、私の同僚でもあるポマーロ株式会社の編集者・西尾さやかとのインタビューです。編集者(音響とか動画編集のほうじゃないですよ)が音声コンテンツに挑戦したら? 編集者の新たな可能性を広げるべく2020年9月から始まった、弊社の新プロジェクト「編集者ラジオ」。この編集者ラジオで、西尾は子育てや子供の話に特化した音声マガジン『コドモノ ハナシ、』を配信中。音声コンテンツの魅力、編集者としての音声コンテンツへの向き合い方をインタビューしました。新しいことをはじめるには、なかなか勇気がいるものです。しかし、挑戦したからこそ、見える“景色”もあります。そんな本音も垣間見えるインタビュー、ぜひ最後までお付き合いください。

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自分らしい子育てのヒントを見つける“音声マガジン”

──「編集者ラジオ」をはじめたきっかけや経緯を教えてください。
「きっかけは、会社のチャレンジプロジェクトでした。ポマーロという会社は、『編集力を証明する』をミッションに掲げている会社。その新しいトライアルとして、編集者が音声コンテンツに挑戦したらどうなるんだろう?編集者の新しい活躍の場を広げよう!というところがスタートです」

── プロジェクトの話を聞いたとき、どのように感じましたか?
「考えてもいなかったし、“書く”ことと“話す”ことは、違う感覚という認識だったので不安でした。一方で、編集者の活躍の場を広げていったほうがいいという点は私も賛同できたので、できるかどうかは不安でしたが、チャレンジしてみようと思いました」

── 編集者は、どうしても裏方や職人のイメージが強かったりします。編集者ラジオを始めるにあたり、自分自身が表に出ることに対しての抵抗感や葛藤はありましたか?
「その葛藤はありました。ただ、実際やってみて、“音声メディアを雑誌と捉える”ことで、自分の落とし所にしました。編集者のポジションを認識するためにも、編集者ラジオを『音声マガジン』に置き換えたんです」

── 実際始めるにあたって、どんなテーマや企画にしようと考えましたか?「テーマは、“子供にまつわること”、自分の中でその一択でした。子供にまつわることは、産後ずっと取り組んできていたことで、私の強み。ただポマーロに入ってからは、ちょっとそこから離れていたので、改めて自分の強みを一番活かせる“子供の話”がしたいと考えました」

── それが音声メディア『コドモノ ハナシ、』につながったのですね。改めて、『コドモノ ハナシ、』について教えてください。
「自分らしい子育てをしたいと思っている人に向けた音声マガジンです。子育てには、正解がないと思うんです。だからこそ、みんな迷ったり悩んだりする。子育てに行き詰まったとき、ヒントになるのはやっぱり誰かの話だったり、情報や実体験。様々な価値観に触れることで、今しかない子供との時間がより楽しく豊かになったり、ときには疑問や迷いから抜け出すためのヒントになるはず。その自分らしい子育てのヒントに出会えるのが、『コドモノ ハナシ、』です」

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音声なら文字だけでは伝えられなかったことも伝えられる

── 配信してみて、手応えや実感を教えてください。
「手応えとしては、一緒にチャレンジしたいと言ってくれる編集者さんがいるんだなーというところ。実は、配信をし始めた2020年の9月当初は、子育てを通した色々な人の価値観を、私がインタビューする番組としてスタートしました。ただ、自分自身も編集者がラジオをやることに手探り状態。どういう風に台本を作るのか、どう声を出したらいいのか……。そして、5回配信してみて、この番組を音声マガジンと位置づけていくには、コンテンツの幅を広げていく必要性を感じました。なので、6回目に新企画を始めるという配信をして、外部の編集者さんに加わっていただき、子供にまつわる様々な情報を編集者が配信するという内容にアップデート。そして、2021年1月からは、自分らしい子育てのヒントが見つかる音声マガジンというメディアコンセプトを据えて、4人の編集者で回すことになりました。とはいっても、まだ試行錯誤の連続なんですが(笑)」

── 賛同し、参加いただいている編集者の方の反応はいかがですか?
「こういうことをやっている人はいないから続けたほうがいいよとか、音声マガジンと言い始めたら見え方がわかりやすくなったとか、色々と声をいただいていますが、ガツンと反応があるわけでもないので、ヒットするところをまだまだみんな模索している感じ。でも、新しいことにチャレンジしてるワクワク感があるとは、おっしゃってくださっています」

── 配信していて、課題に感じることはありますか?
「どうしたらひとりでも多くの人に届けられるのか、というのが課題です。今までご出演いただいたどの方も魅力的で、すごくいいお話をしてくださっているので、届かないともったいないという気持ちが強い。ただ聴いてほしいというよりは、届けなきゃいけないと感じています。また、雑誌のような紙媒体だと、どの企画がどれだけ読まれたかというのは数字としてわかりません。でも音声マガジンの場合は、アナリティクスで見れば数字が一目瞭然。分析しがいがあるので、編集者としての力を伸ばす場に向いているような気がしますね」

── これまでの配信で、印象に残る放送回はありますか?
「2020年のクリスマス週が私の担当だったんです。子供へではなく、“お母さんへ贈りたいクリスマスギフト”という企画を3日連続で配信しました。3日目に田尾沙織さんという写真家をゲストに迎え、田尾さんが出産された低出生体重児のお子さんのお話をまとめた著書『大丈夫、生きている。』を紹介しました。年が明けてもじんわり再生数が伸び続けているし、いいね数も多かったので共感を得られたのかなと」

── 音声コンテンツの魅力はなんでしょうか?
「音声コンテンツって、リスナーと話し手の距離が近いのが魅力だと思うんです。例えば、低出生体重児を出産した人って、自分のまわりで探そうと思っても、なかなかいないですよね。そんなときに同じ境遇の人の話を、音声なら近い距離で届けられて、気持ちに寄り添えるかもしれない。それに、私自身は、“声”ってすごくインタビューに向いていると感じています。文字だけでは、その人らしい話し方や人となりを伝えきるのが難しいと感じていました。でも音声だと、その人の声質や話し方、言い回しとか全部ダイレクトに伝わる。しかも、映像よりも、人の話に耳を傾けることになる。その人の内面すべてを聴くということに向いているし、すごくおもしろい。インタビューは、編集者としての今までの経験を活かせるコンテンツであり、音声とも相性がいい。なので、これを読んで興味を持ってくださる編集者の方がいたら“私もやりたい”と声を挙げていただきたいです。本を手にとってもらったり、長い文章を読んでもらうのが難しいこの時代に、ワンクリックで“ながら聴き”出来る音声メディアは、編集者にとっての新たな“伝える場”になっていくのではないでしょうか」

Profile
西尾さやか/Sayaka Nishio
株式会社 主婦の友社との業務委託契約6年を経て、出産を機にフリーランス エディター・ライターとして4年程活動。「tocotoco」(第一プログレス)など、主にベビー・キッズ誌のページ制作を手掛ける。また、同時にマザーディクショナリーの運営する「かぞくのアトリエ」「代官山TC」のスタッフとしても勤務。その後、Pomalo株式会社に所属。