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大人も夢中になる 7歳からの読み聞かせの本 #063

小さなお子さんを寝かしつけるときに、読み聞かせをされるご家庭も多いのではないでしょうか?

わが家も、子どもたちが眠るときに、読み聞かせをすることが定番になっています。

娘が未就学児のころは絵本が中心。「お!こんな絵本があったのか!」という発見や感動を、娘とともに大人になってから味わうことができました。

ただ一方で、絵本は子どもの興味関心に合わせて選ぶことが多かったり、「もう1回!」とお気に入りの本を何度も読まされたりするので、大人は読み疲れたり飽きてしまうこともしばしば……。

なので、娘が小学1年生になるタイミングで、読み聞かせの本を変えようと考えていました。

変えるポイントは、以下のとおり。

  • “私が”読みたいものであること

  • 娘にとっても、驚きと感動があるもの

  • 時代を問わず学びや気づきがあるもの

  • 多少難解でも、親が言葉を補足することで、娘もおおよそわかるもの(現時点で6~7割くらいわかっていればOKかな)

  • 娘が成長したときに、改めて読み直しても新しい発見があるもの

最初に選んだ本は、ミヒャエル・エンデ作『モモでした。

読み始めた当初、時代背景やモモの人となりがわかるまでは、娘はなかなか物語に入り込めないようでした。

数ページ読むと早々に寝落ちすることもあり、行ったり来たりをしながらゆっくりゆっくりのペースで読み進めていきました(最終的に読破するのに数カ月かかったように思います)。

言葉や文章の意図が難解なところは、私や夫ができるだけわかりやすく噛み砕いて意味を説明しました。

娘は、モモやモモを取り巻く人たちの魅力がわかり始めると、興味津々の様子。灰色の男たちが登場して、一気に物語が展開すると、それはもうドキドキハラハラしていました(寝かしつけの本なのに、なかなか寝てくれないことも……)。

娘に読み聞かせをしながら、私たち親もモモの世界に引き込まれました。昔読んだはずなのに、大人になってから改めて読むと、たくさんの学びや気づきがたくさんありました。

小さなモモにできたこと、それはほかでもありません、あいての話を聞くことでした。なあんだ、そんなこと、とみなさんは言うでしょうね。話を聞くなんて、だれにだってできるじゃないかって。
 でもそれはまちがいです。ほんとうに聞くことのできる人は、めったにいないものです。そしてこのてんでモモは、それこそほかにはれいのないすばらしい才能をもっていたのです。

ミヒャエル・エンデ作/大島かおり訳. モモ. 岩波少年文庫, P.23

いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、それはわかるかな? つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸(いき)のことだけ、つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ。いつもつぎだけのことをな。」
(中略)
するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃあだめなんだ。」

ミヒャエル・エンデ作/大島かおり訳. モモ. 岩波少年文庫, p.53

 時間をはかるにはカレンダーや時計がありますが、はかってみたところであまり意味はありません。というのは、だれでも知っているとおり、その時間にどんなことがあったかによって、わずか一時間でも永遠の長さに感じられることもあれば、ほんの一瞬と思えることもあるからです。
 なぜなら時間とは、生きるということ、そのものだからです。そして人のいのちは心を住みかとしているからです。

ミヒャエル・エンデ作/大島かおり訳. モモ. 岩波少年文庫, p.83

人間はじぶんの時間をどうするかは、じぶんできめなくてはならないからだよ。だから時間をぬすまれないように守ることだって、じぶんでやらなくてはいけない。

ミヒャエル・エンデ作/大島かおり訳. モモ. 岩波少年文庫, p.236


娘のために読んでいたはずなのに、いつの間にか自分たちのほうが夢中になっていました。娘が眠ったあとも、続きが気になって、そのまま黙々と読み進めたりもしました。

みんなで『モモ』を読んでいると、日常の会話の中でも、ふと登場人物たちのことが話題に上ったりもします。

「今思えば、モモは傾聴を実践していたんだね。あんなふうに聴きたいね」

youtubeは現代版の灰色の男たちだから、知らず知らずのうちに時間を盗まれないように気をつけないと」

「お父さんは、今日ベッポじいさん並みに働いてきてヘトヘトだよ」

絵本を読み聞かせしていたときも、絵本の登場人物を引き合いに出して「もじもじこぶくんのように勇気を出してね」と人見知りをする娘に伝えたりしていました。

『モモ』を読んでからは、日常の中で、より多彩に&リアルに引用ができて、それも面白いなと思ったりしています。

あと、まだ小さな娘には「時間は大切にしなさい」と抽象的に諭すよりも、「タブレットばかり見ていると、床屋のフージーみたいに、灰色の男たちにいつの間か時間を奪われて、本当にやりたいことができなくなるよー」と言ったほうがよほど刺さるみたいです(あまり脅しに使ってはいけませんが)。

日ごろ仕事や子育てでバタバタする中で、不朽の名作と呼ばれる作品を、ゆっくりじっくり読む時間を持つことは、正直なかなかできません。

ですが、子どもの成長に合わせて、寝かしつけのための読み聞かせの本を少し変えてみると、その時間は大人になっても再び夢中になれる時間に変わります。

声に出して文章を読んでみると、また新しい発見があるので、これもオススメです。

今は、『十五少年漂流記』を寝かしつけのときにゆっくり読み進めています。

自分が小学生のときに、読みながらドキドキワクワクした本。娘に読み聞かせながら、もう一度あのときの感情を辿って、冒険に繰り出しています。

今夜は、娘は早々に寝入ってしまったので(苦笑)、続きはまた明日ゆっくり楽しみたいと思います。

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