見出し画像

同じ夢でつながっていた

母と私の間には、離れていてもお互いの考えていることが伝わるようなところがあった。テレパシーだろうか。同じものを買ってくることはよくあった。同じパン屋さんの同じパンとか、おやつに食べたいと思って買ったアップルパイとか。母が買ったのと同じものを私が買って帰ると、母はよくこう言った、
「なんとなくあなたが買ってくるような気がしたんだけどね…」

その母は、数年前に突然他界した。淋しがりやだったはずなのに、子供たちに見送られることもなく、夜中に突然旅立った。
その瞬間、私は眠りの中だった。

母はテレパシーを使わなかった。よく死に際に枕元に立つとかいう話はあるけど、母はあの世へ行くことを伝えてこなかった。
それは、死を察知する余裕がないくらい、本人にとっても急なことだったからだろうと思う。

いつもは家族の帰宅時間がばらばらなので夕食を一緒にとることはあまりなかったが、久しぶりに家族で食卓を囲む。家族だから同じ悲しみを分かち合える。家族と話していると少しだけ悲しみが和らいだ。

葬儀の日の夜、夢を見た。
母が寝室で横になっている。いつもと違うのは、北枕で寝ているということだけ。あれ?体の向きが違うな、と思った瞬間、母がむくっと起き上がった。”死んでなかったんだ。寝ていただけだったんだ”ってほっとした夢。

その夢の話を夕食の時に家族に話すと、父も同じ夢を見たという。
同じ夜に同じ夢をみるなんて。

#私の不思議体験

いただいだサポートは、感動や喜びを見つける旅のために使わせていただきます。 インスタに身近にある素敵なものをアップしています。 https://www.instagram.com/poemist_akemi