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手紙 月を見ながら歩いた 空気が優しく湿っ…
その日まで うちのうちがわ どろどろしとるんじゃ 自分でもどうなっとるんかわからんで …
おめでとう妊娠です、と医者は言ってくれなかった。また来週来てください。袋が見えます。こっ…
二〇一一年三月十一日 二〇一一年三月十一日 それは私のなかの小さな命が 命として この世…
誰かにとって特別でありたいと願うとき「誰か」は「本当はあの人」のことあるけど、すれ違うだ…
早朝、窓を開ける。ひんやりとした風がカーテンを揺らす。秋の風だ。しんとした、まっすぐな空…
八月 弔うことを許されないまま三年が経つ 明らかに明けた 夜の余韻を空の端に捉えながら 陽の下に呼吸すること を受け入れられないでいる 仮定法過去完了は心の中に ずんと沈んで 茶色くなった葉っぱを抱いた動かない水 みたいだ 生ぬるく静かにとろみを帯びていく 鼓動も呼吸も言葉にのせて飛ばせたのに あの日 おめ でとうもありがとうもごめんなさいも私の手の中にあふ れるほどゆれていたのに きっとあの人は どの色をし てどの形で現れても間違いなく私を 私の輪郭で撫でて くれたはず
息子が生後6か月目に入る頃だろうか、ひと月ぶりに帰省した。 末期の子宮がんを患っていた祖…
私はその日、予定日より2週間早く産気づいた。その一週前に、もう生まれますかね?いやまだま…
眠っていたいな 一生眠っていたいな 陽がこぼれてくる明るい森の中で ほんのりあたたかく湿っ…