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【詩】眠っていたいな

眠っていたいな

一生眠っていたいな
陽がこぼれてくる明るい森の中で
ほんのりあたたかく湿った
柔らかい土の上に
すうすう規則正しく息をして
その息のために肩を上下させて
風が吹けば髪をそよがせる
雨は木々がよけてくれる
小さい花が隣で揺れている
そして私の体には草木の種が芽吹くの
植物が私から育っていく
私は私の命のすべてを
明るい光をはらむような柔らかい
若い緑の葉に吸い上げられて
眠ったまま土に戻っていく
すうすうという音のない音を絶え間なく
空に送りながら
健やかな土であり続けたいな
一生ずっとそうやって生きていたい
          

              (川井麻希詩集「あらゆる日も夜も」より)

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