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はっきりと生(せい)の映画


映画「君の名前で僕を呼んで」がめっちゃ良かったよ!という話です。

簡単なあらすじ→1983年夏、イタリアの別荘に両親と滞在する17歳のエリオ。考古学教授である父の元に、博士課程のオリヴァーが6週間のインターンとしてやってくる。最初オリヴァーを疎ましく?思っていたエリオの中に、少しずつ彼に対する抑えられない感情が募っていき……的な感じ。

あらすじや予告編で「ベニスに死す」を連想する人が多いらしく、なるほどなー!と思いました。まだ今ほど同性愛者の存在が認められていない時代(今もまだまだだけど)における禁断の恋。そして「死」。どうせそんなんやろって観に行かない人がいるなら本っっっ当に勿っっっっ体無い!!全然死なないから大丈夫。むしろこれははっきりとした「生」と、家族の物語でした。正直私も雰囲気映画なのかなって思ってたくらいだから(私が一番失礼なんだよ)、こんなにビシャビシャに泣くなんて思ってなかったです。

日本のドラマ「カルテット」に「泣きながらご飯食べたことある人は生きていけます」っていう言葉があったけどまさにこれで。きっとこの映画を大団円の超ハッピーエンド!と思う人はさすがにいないでしょう、「終わり」は来るものです。最後の暖炉のシーン、エリオに「あなたは絶対大丈夫」と心の中で声をかけながら号泣。刹那的だったかもしれないし無傷とも言えないけど、これを乗り越えたあなたは絶対大丈夫、これからどんなことがあろうとも。心身ともに子供から大人へと移る大事なフェーズに一緒にいられたのが「彼」で本当に良かったね。この目線でしっかりエリオの成長を見守っている家族がまた!敢えて何も聞かずに「日常していてくれる」優しさ、エリオを大人と認めた父がそっと打ち明ける人生の秘密の一節。私自身、自分の家族で同じことがあったなぁ〜〜〜〜とまた号泣。夏の終わりを待つだけの美しいイタリアも本当に惚れ惚れするし、エリオとオリヴァーの恋自体もすごく良かったんだけど。同性とか異性とか全く関係のない、始まっては終わるもの、そこから得た愛とか傷で子どもは大人になっていく……っていうあたりがグサグサきました。

自分がこういう感情主体の作品が響かないイメージがずっとあって自分でどうなのよと思っていたんだけど、ここ最近本当によく泣くので心が成長したのかもしれません。が、劇場鑑賞するには若干うるさい泣き方しちゃうのでこれまたどうかと思っています。静かにシクシク泣きたい。ウエウエ言いながら鎖骨まで濡らすのをどうにかしたい!

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